公認会計士等の異動 2024年4月は3社と(前年同月17社)激減!多くの会社は監査報酬の増加を受け入れ

値上げ

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2024年4月単月の上場会社等の公認会計士等の異動についてご紹介します。

ご存じの方も多いと思いますが、大手監査法人からの主要な大きな受け皿となっていた太陽監査法人が2024年1月から3月まで新規監査契約の受嘱を停止されました。

太陽ほか直近2年金融庁から行政処分を受けた監査法人が6社あり、積極的に大手からの受け皿となりにくい現状下、監査報酬の値上げ傾向は続いているにも関わらず安い監査報酬で監査を受嘱する監査法人が不足しており4月の異動件数は前年の17社から3社へと激減しました。

このことはすなわち、多くの会社が監査報酬の増加を受け入れざるを得ない状況になっていると言えます

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

決算期(特に3月決算)によっては人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

横田公認会計士事務所

4月の公認会計士等の異動状況と異動理由の信頼性

IR(公表日)(退任監査法人)(就任監査法人)(主な異動理由)
4月12日新日本監査法人監査法人FRIQ監査報酬の値上げ
4月19日高志監査法人かなで監査法人新たな視点の監査(★)
4月23日誠栄監査法人新日本監査法人親会社の監査人と統一

★②は株式会社セイヒョー/東証スタンダード(2872)ですが、高志監査法人の就任は2021年5月であり、2022年2月期から2024年2月期までの3年しか連続して監査を受けておらず、それ以前はトーマツが会計監査人であり監査報酬を下げて高志監査法人へ変更していることから、今回も「監査費用の相当性」についても異動理由の最後に“こっそりと”言及していることから実質的な異動理由は「監査報酬の値上げ」の可能性もあります。

私はIRで公認会計士等の異動理由を数多くみてきましたが、日本の上場会社は「監査報酬の値上げ等」をなるべく目立たないように公表する傾向が数多く見られます。

したがって、①のようにはっきり「監査報酬の値上げ等」を理由に公表する会社の方がディスクロージャー面において信用できる会社という印象を受け、好感が持てます。ただし、株式会社セイヒョーの名誉のために本当は「監査報酬の値上げ等」が異動理由という証拠はありませんので、「新たな視点の監査」が本来の異動理由であるかもしれません。

公認会計士等の異動理由「監査報酬の値上げ等」の具体的事例

スローガン株式会社/東証グロース(9253)

IR公表日 :2024/04/12

異動年月日:2024/05/29

退任監査人: EY新日本有限責任監査法人

就任監査人: 監査法人FRIQ

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人であるEY新日本有限責任監査法人は、2024年5月29日開催予定の第19回定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。現会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われる体制を十分に備えているものと考えておりますが、これまでの監査報酬が増加傾向にあり、今後もその増加が見込まれることから、当社の業務内容や事業規模に見合った監査対応及び監査報酬の相当性を総合的に勘案した結果、後任として監査法人FRIQを会計監査人として選任するものであります。

異動理由ではっきりと、監査報酬の値上げと今後の値上げを理由に記載しています。

それでは、監査報酬の増加傾向がどのようなものなのかスローガン株式会社の過去の監査報酬を有報ベースで見てみましょう。

決算期監査報酬(監査証明業務のみ)
2021年2月期22,500千円
2022年2月期23,500千円
2023年2月期27,000千円

過去4年の連結売上高は130憶円~140憶円、経常利益が最も少ない2021年2月期で約42百万円、最も多い2022年2月期で約2億8千万円。直近の連結従業員数は121名です。過去4年売上高も利益も2021年2月期を除いてほぼ横ばいの状況です。

比較的コンパクトな会社ですが、昨年の監査報酬の増加率は約15%で当期は30百万円を超え?今後も同様に増加するとなれば会社にとっては厳しいでしょう。

横田公認会計士事務所

まとめ(会社法の公認会計士監査ももっと広く実施すべき)

ここ数年、公認会計士業界に限らず、人手不足の状況が続いており監査報酬に限らずほぼすべての価格が上昇傾向にあります。

日本の監査報酬は、欧米各国と比べてまだ低い状況にあります。

したがって、今後も監査報酬の増加傾向は続くでしょう

2022年をピークに公認会計士等の異動件数は低下し、今年は半減(年間100社以下も?)となりそうです。

これは、消費者が物価の値上げを受け入れざるを得ない状況と似ているように感じます。ただし、今年の春闘では10%前後の賃上げが実現し、物価の上昇と収入の増加、会社の会計監査に置き換えると、売上の増加と費用の増加(社会的費用である監査報酬の増加を含む)が実現できると社会活動は循環するのでしょうが、一部の企業等で売上の増加が実現できない場合は、社会的費用である監査報酬の増加も受け入れがたい企業も出てくることでしょう。

今後は、監査報酬を含む上場コストを賄えず、市場から退出する企業が出てもおかしな状況ではありません。

逆に、値上げする監査報酬を含むコストを賄えない企業は退出し、利益を出せる企業が上場会社として成長する事が民主主義経済としては健全ではないでしょうか。

最後に、会社法監査も同様に、資本金や負債総額のみで公認会計士監査を義務付けるのではなく、売上高や従業員数などが一定規模以上の会社は利害関係者を保護する観点から公認会計士監査を義務付けるべきだと考えます。

以上

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公認会計士 3

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上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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