公認会計士等の異動 ‘24年2月は17社!監査報酬値上げ理由は10社!

監査現場⑤

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、主には、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2024年2月にIRを公表した、上場会社の公認会計士等の異動の内容についてご紹介します。因みに、2024年1月は公認会計士等の異動はありません。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、の問い合わせフォームよりお申し込みください。

監査事務所の規模別異動状況

2月の公認会計士等の異動は17社でした。前年同月の30社に比べるとおよそ半減しています。2022年をピークに公認会計士等の異動件数は減少傾向にあるようです。

その要因は、大手監査法人が監査報酬は低いが手間のかかる新興市場をメインとした管理部門のレベルが低い企業の監査を辞退(監査報酬の値上げを含む)するトレンドが一巡したことが原因でしょう。

今後は、大手監査法人から準大手監査法人や中小監査法人に異動した企業の中で、更に監査報酬の値上げを回避するために監査報酬をまだ低く提示できる中小監査法人への異動が増加すると考えられます。

退任監査人就任監査人企業数割合
大手監査法人大手監査法人2社11.8%
大手監査法人準大手監査法人1社5.9%
大手監査法人中小監査法人6社35.3%
準大手監査法人中小監査法人2社11.8%
中小監査法人中小監査法人5社29.4%
その他1社5.9%
合計17社 

明らかに監査報酬の値上げを理由に異動は17社中10社

上記の大手から中小、準大手から中小、中小から中小の一部が監査報酬の値上げ(事業規模に見合った監査対応及び監査費用の相当性を勘案など)を理由に会計監査人を変更しています。

(具体例①大手→中小

株式会社イメージ・マジック/東証グロース(7793)

IR公表日 :2024/02/28

異動年月日:2024/03/28

退任監査人: EY新日本有限責任監査法人

就任監査人: 史彩監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人であるEY新日本有限責任監査法人は、2024年3月28日開催予定の第29期定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。現在の会計監査人につきましては、会計監査が適切かつ妥当に行われる体制を十分に備えているものの、当社の事業規模に見合った監査対応及び監査費用の相当性を総合的に勘案した結果、新たな会計監査人として史彩監査法人を選任することとしたものであります。

(具体例②準大手→中小

株式会社ベビーカレンダー/東証グロース(7363)

IR公表日 :2024/02/28

異動年月日:2024/03/29

退任監査人: 東陽監査法人

就任監査人: 爽監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の公認会計士等である東陽監査法人は、2024年3月29日開催予定の第33回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。現在の公認会計士等については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えていると考えておりますが、M&Aなどによる当社の事業規模の拡大に伴いここ数年監査報酬が増額傾向にある中で、M&A等による先行投資を行う当社の財務状況を鑑みて、当社の企業規模に応じた監査報酬水準を維持できること~以下省略~

(具体例③中小→中小

株式会社IBJ/東証プライム(6071)

IR公表日 :2024/02/26

異動年月日:2024/03/25

退任監査人: あかり監査法人

就任監査人: 監査法人アリア

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人であるあかり監査法人は、2024年3月25日開催予定の第18期定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。当社は、将来的な当社グループの事業環境に見合った監査の相当性を総合的に勘案した結果、会計監査人を見直すこととし、新たに監査法人アリアを会計監査人として選任するものであります。

具体例③は、微妙な理由ですが、監査報酬も含めて総合的に勘案したそうです。

中小から中小への異動で、監査報酬を理由に挙げるのはかなり勇気がいることでしょう。

おわりに(今後の公認会計士等の異動のトレンド)

前述しましたが、大手監査法人から準大手監査法人や中小監査法人への異動が一巡し、今後は準大手監査法人や中小監査法人から他の中小監査法人への異動の割合が増加すると考えられます。

理由は、公認会計士業界の人手不足による人件費の増加と金融庁が上場会社の監査に対してかなり厳しい姿勢で指導を強化していることから、監査工数も増加傾向にあるからです。

監査報酬=監査単価(日給または時給)×監査工数

監査報酬は、上記の要因から算出されますが、監査単価も監査工数も上昇傾向にあることから監査報酬は今後も増加します。

それでも日本の監査報酬は欧米に比べてかなり低いのが実情です。

今後もしばらく、監査報酬の値上げは継続するため、監査を社会的費用ではなく単なる経費と考えている上場会社は、より安い監査報酬を提示する監査法人へ異動するトレンドは地味に続くことでしょう。

以上

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