監査人の交代(2021年)大手監査法人から中小監査事務所への流れ加速

はじめに

上場会社の監査人で、2021年監査人の交代件数は222件でした。前年より80件も増加しており、2008年以降では最多を更新しているようです(税務研究会集計)。

特に大手監査法人から中小監査事務所への移行が多く、全体の4割超えの95件となっているようです。前任監査人より規模の小さな監査人へ移行するケースは3分の2を占めています。一時会計監査人の選任事例では、監査人側から契約辞退を申し出るケースが目立っているようです。

中小監査事務所への交代が3分の2を占める

先ず、大手監査法人、準大手監査法人、中小規模監査事務所の定義は

・大手監査法人・・・あずさ、トーマツ、新日本、PwCあらた

・準大手監査法人・・・仰星、三優、太陽、東陽、PwC京都

・中小監査事務所・・・上記以外

上記の中小監査事務所は、かなり大雑把なくくりですが、中小監査事務所の中には、上場会社のクライアント数の順番で、アーク(47社)、ひびき(40社)、アヴァンティア(31社)が30社以上のクライアントを監査していますが、10社未満の監査法人が109社中76社(約70%)であり、3社以下が35社(32%)、1社が21社(19.2%)であり、中小監査事務所の中でもクライアント数の規模はかなり幅広いくなっている点にはご注意ください。

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さて、監査人の交代に戻ります。

最も多かったのは、「大手→中小」95件(42.8%)で前年より13.2%増加しており、大手から中小への移行が顕著に増えていることがわかります。

大手→中小のみならず、とにかく中小事務所に交代した件数は、148件(66.7%)となり、前年より9.7%増加しています。

一時会計監査人の選任は7件

任期の途中で前任の監査人との監査契約を解除し、一時会計監査人を選任した事例は7件ありました。内訳は、大手からの移行4件、中小間の移行3件。

大手から移行した4件中3件が監査人からの申出を受けた交代でした。また、監査工数の増加に伴う監査報酬の改定の申出(監査報酬の高額化)を受けたことを契機とした事例があります。

一時会計監査人の選任に限らず、中小への交代理由は監査報酬の高額化に対して会社が耐えられなくなっていることが一番の原因でしょう。詳細は、次回のブログにて記載します。

まとめ

上場会社において、大手監査法人から中小監査事務所への移行が年々増加しています。上場会社に限らず、非上場の法定監査においてもまったく同じ状況と理解しても構いません。非上場会社等の場合はデータで分析できないだけなので、上場会社で起きている現象は、非上場会社を含めたすべての被監査会社において起きている現象ということは明白です。

当事務所においても、ここ2年内で準大手や中小の中の中堅クラスの監査法人から当事務所へ監査を移行した会社等が3件ありました。

なぜでしょう。

それは、公認会計士の不足と監査報酬の高額化、更に各種規制(日本公認会計士協会や金融庁の検査)の強化による、監査の形式化です。

監査報酬も経費とみなせば安い監査事務所へ移行は進みます。

また、形式的な監査を受けるなら名前に縛られず、どこの監査を受けても同じと考えるのが通常でしょう。

次回は、監査人の交代に至った経緯・理由について分析します。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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