持続化給付金 不正受給の調査の状況と給付金の課税関係~横田公認会計士税理士事務所

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はじめに

新型コロナウイルスの第三派が来ています。今日の東京のコロナ感染者数は493人と1日の感染者としては過去最高を更新しました。一方で持続化給付金の不正受給が社会問題となっています。

同給付金の申請受付がスタートした当初は、税務の専門家である税理士に、不正受給に関する相談が持ちかけられるケースも相当あったと聞いています。また、不正受給に関与した税理士もいるようです。同じ税理士として許しがたい行為ですね。

中小企業庁では、今年6月に持続化給付金の不正受給対応の専門チームを発足し、7月から本格的に調査を行っているようです。同給付金の不正受給による逮捕者が増加していることを受けて、自主返還を行う者も多くなっているようです。今年11月上旬の状況では、同給付金の返還件数は752件、返還金額は7億9,400万円、返還申出件数(変換完了分を除く)は7,355件にのぼっているようです。

持続化給付金のコールセンターには多くの情報が提供されている

持続化給付金は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、売り上げが大幅に減少した中小企業や個人事業者、フリーランスなどが給付対象となります。

申請時には、確定申告書や売上台帳等を提出する必要があるところ、これらの申請書類が原因で不正受給が発覚するケースも少なくないようです。

ただし、最も多いのは、いわゆる「タレコミ」が発端となるケースです。

持続化給付金事業コールセンター等には、不正受給を行っていると疑われる者に関する通報・情報提供が多く寄せられているようです。

ここでいう「不正受給」とは、中小企業庁が調査を行い、内部で不正受給認定を行った場合を指します。持続化給付金を受給したものの、自主的に返還したのであれば、不正受給には該当しないとのことです。そのため、不正受給については、罰則として、氏名等の公表や「持続化給付金と延滞金の合計額にその2割相当額を加えた金額」の支払い義務が生じます。ただし、自主返還した者については、これら2割加算等の罰則は化されません。

新型コロナによる売上減少でなければ調査で指摘される

持続化給付金の不正受給について、中小企業庁(以下中企庁)は、今年6月に不正受給対応の専門チームを発足させ、7月から本格的に調査を行っています。

同チームの具体的な人数等は明らかにされていませんが、現在も粛々と調査を行っているとのことです。

また、「持続化給付金給付規程」の解釈では、同チームに限らず、外部に調査を委託することも可能なようです。今後も、関係省庁等と情報共有を行って、調査に注力するようです。

この点、実務家の間で疑問に上がっていることが、同給付金の受給要件の一つである「新型コロナの影響で売上が減少していること」について、中企庁がどこまで詳細に審査・調査しているのかということです。

受給要件の一つであるため、本来、審査の段階で確認が行われるべきですが、中企庁によれば、基本的に、審査の段階で、新型コロナの影響で売上が減少したか否かの確認は行われていないとのことです。

ただし、受給要件の一つである以上、同給付金の支給後に疑義が生じた場合には、調査を行っており、罰則の対象になる可能性もあるとのことです。

持続化給付金の課税関係について

持続化給付金の課税関係については、国税庁が「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱に関するFAQ」で明らかにされています。

持続化給付金は課税対象であるため、同給付金を受けた個人は、令和2年分の確定申告で、総収入金額に含めて申告することが基本となります。

申告義務があるにもかかわらず、無申告となっている場合には、国税当局からの指摘があることになります。

事業所得者・・・・・事業所得

給与所得者・・・・・一時所得

雑所得者・・・・・・雑所得

持続化給付金の所得区分は上記となります。

おわりに

持続化給付金の調査は、中企庁が行っていますが、世間一般の方は調査といえば税務調査の印象が強いようで、当事務所でも「税務調査が入るのですが、持続化給付金ですか?」という質問を受けることがあります。

持続化給付金は経済産業省の中所企業庁が管轄であるため、税務署が調査を行うことはありません。

中企庁の専門チームなどが、申請書類や外部からの情報提供に基づいて調査を行っています。

ただし、持続化給付金の受給後に決算を迎えて税務申告を行った法人などでは、持続化給付金が収入(益金)に計上されているかの調査は行われることになります。その点、持続化給付金の受給があったかどうかについて、国税庁(税務署)と中企庁での情報共有が行われるかどうかについては今のところ不明ですが、税務調査の調査員も持続化給付金の計上の有無については目を光らせるでしょうから、何らかの情報共有は行われると考えて間違いないのではないでしょうか。

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