4月1日から「上場会社等監査人名簿」への登録が法定化~上場会社の会計監査は厳格化へ!

公認会計士 5

改正公認会計士法が4月1日施行

2023年4月1日から「上場会社等監査人登録制度」が始まりました。

日本公認会計士協会(JICPA)がそれ以前に備えていた自主規制上の「上場会社監査事務所名簿」「準登録事務所名簿」が廃止され、「上場会社等監査人名簿」に一本化され法定化されました。

これまで上場会社等を監査したことがない監査事務所は改正法の経過措置(※)の対象外となるため、上場会社と監査契約しようとする監査事務所は、上場会社等監査人名簿への登録審査の段階から法令に基づく体制整備が求められることになります。

この制度変更により、上場会社では就任予定だった会計監査人を急遽変更するケースも出ているようです。

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従来の登録制度と法定化された新制度

これまでは、上場会社等の監査を行ったことがない監査事務所は、旧制度上は「準登録事務所名簿」は、上場会社との監査契約を結ぶ予定が生じた場合や将来的に上場会社の監査を行う意向がある場合にJICPAに申請し、JICPAは形式的に申請のあった監査事務所の品質管理体制などを確認し、過去に名簿の取り消し等の問題がなければ準登録事務所名簿に登録することが出来ました。準登録事務所名簿への登録により、監査契約予定の上場会社の監査を行うことが出来たのです。

準登録事務所名簿に登録された監査事務所は、上場会社の監査を行い、JICPAの品質管理レビューを受けると上場会社監査事務所名簿へ登録されるという流れでした。

今後は、改正法の施行日の4月1日以降の法定化により、「上場会社等監査人名簿」へ一本化され、新たに上場会社等の監査を行おうとする事務所は、登録審査の段階で改正法が要求する体制を整備する必要があります。

ただし、施行日(2023年4月1日)時点で上場会社等の監査を行っている監査事務所は、経過措置により、施行日から1年6か月間は、改正法の規定にかかわらず上場会社等の監査を行うことができます(改正法附則第3条第1項)。

参照ブログ)自社に適した公認会計士または監査法人を選ぶコツ

改正法が要求する体制とは?

4月1日以降の法定化された「上場会社等監査人名簿」への登録を判断するのは、JICPA内に設置された「上場会社等監査人登録審査会」です。

監査事務所の登録を行うとき、同事務所が登録拒否要件(公認会計士法第34条の34の6)に該当していないかに加え、業務管理体制が整備されているか(同法第34条の34の14等)を確認します。

例えば、品質管理体制の状況等を評価・公表できる体制(同法施行規則第93条)や、「監査法人のガバナンス・コード」に沿った業務を実施し、コードの適用状況を公表する体制(同第96条)などが必要となります(大規模監査法人以外は2024年7月1日以後適用とする一定の経過措置あり)。

上記の改正法が要求する体制は、現状では、JICPAの品質管理レビューを受けた監査事務所に求めるのと同程度の体制であり、上場会社を監査したことがない監査事務所にとっては、上場会社と監査契約する前から高度な品質管理体制等を備える必要があり、新規に上場会社の監査を行うハードルはかなり上がったと言えるでしょう!

参照ブログ)監査報酬は安くても満足度の高い会計監査をご提供!(非上場会社等)

すでに就任予定の監査人を交代する事例も発生

●就任予定だった監査人を急きょ変更する事例

株式会社田谷/東証スタンダード(4679)

IR公表日 :2023/05/22

異動年月日:2023/06/20

(一部変更)会計監査人の異動に関するお知らせ (続報)

当社は、2023 年5 月10 日に開示いたしました「会計監査人の異動に関するお知らせ」につきまし て、内容を一部変更することといたしました。これは、当初、アルテ監査法人を会計監査人候補とし、 アルテ監査法人も上場監査人名簿登録申請を進めてまいりましたが、今般の法令の改正により、審査手続が大きく変更されており、審査に想定を超える期間を要する状況となっております。これらの結果が判明する時期も不確定なことから、社内で検討を重ね、相応の期間において登録に至らなかった場合の 手続や事務負担などを考慮した結果、下記のとおり会計監査人の候補を変更することといたしました。

結果、上場会社等監査人名簿への登録審査の厳格化により、アルテ監査法人の登録期間が相当時間を要し、登録時期が未確定なことから、会社はみなし登録を受けている、みつば監査法人へ変更しています。

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おわりに

上場会社等監査人名簿の法定化により、今後も上場会社を監査していない監査事務所が急きょ上場会社と監査契約を行おうとする場合、上記と同様に、登録まで相当の期間を要し、登録できないような事例も少なからず発生するでしょう。

上場会社側が留意することは、昨今の監査費用の増額等により、「会社の事業規模に見合った監査対応と監査費用の相当性」を理由に会計監査人を変更するトレンドはますます強くなっていますが、まずは、監査契約を締結する監査事務所が、上場会社等監査人名簿に登録されているがどうか確認することです!目先の監査費用のことだけを考えるのではなく、就任予定の監査事務所の名簿登録の状況や申請の状況なども十分に確認したうえで、監査人の変更を決断しましょう!

 

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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