医療法人会計基準!退職給付引当金の設定対象となる役職員の範囲

医師とナース

退職給付引当金には理事に対する退職慰労金も含まれる?

医療法人Q&Aの重要な会計方針等の注記例では、退職給付引当金について、次のように示されています。

役職員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務に基づき、当事業年度末おいて発生していると認められる額を計上している。なお、当医療法人は、前々会計年度末日の負債総額が200 億円未満であることから、簡便法による期末自己都合要支給額を退職給付債務とする方法を採用している。】

上記の注記例では「役職員」と記載されているが、医療法人会計基準では、理事に対する退職慰労金も退職給付引当金に含めて計上することが認められるのでしょうか。

会計監査のご依頼・お見積りについてはこちらの問い合わせフォームより

医療法人会計基準も原則企業会計と同様

医療法人会計基準において、退職給付引当金は、退職給付に関する会計基準(平成10年6月16日企業会計審議会)に基づいて行うものであり、2点の例外事項を除き、企業会計における実務上の取扱いと同様とされています(医療法人運用指針12)。

(参考)例外事項

   本会計基準適用に伴う新たな会計処理の採用により生じる影響額(適用時差異)は、通常の会計処理とは区分して、本会計基準適用後15年以内の一定の年数又は従業員の平均残存勤務年数のいずれか短い年数にわたり定額法により費用処理することができる。

   前々会計年度末日の負債総額が200億円未満の医療法人においては、簡便法を適用することができる。

以上から、設定対象については、企業会計と同様と考えられます。

なお、「役職員」に関しては、厚労省発出の「医療法人の機関について」(平成28年3月25日、最終改正令和元年9月13日)において、理事が当該医療法人の職員を兼ねている場合の取扱いがあり、理事が職員を兼務することは禁じられていません。

私の経験上も、管理部長兼理事である理事長のご子息のいる医療法人は数多くみられます。

結論として、医療法人Q&Aの重要な会計方針等の注記例は、理事が職員を兼ねている場合の、職員としての退職給付を設定対象に含める場合を想定したものと考えられます。

参考)医療法人の会計監査の詳細についてはこちら

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

推奨ブログ)→公認会計士等による会計監査は横田公認会計士事務所による「柔軟な会計監査」をご提案!

監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。

各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。

依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。

問い合わせ専用E-mail:info@yokota-profession.com

会計監査のご依頼・お見積りについてはこちらの問い合わせフォームより

医師とナース