リモートワーク環境下での決算・監査上の対応についての公表物

監査現場9 2

はじめに

日本では現状、コロナ禍の感染者数は低く抑えられています。ただ、欧米各国や韓国では連日オミクロン株の感染者が増加し、感染者数も高止まりしています。

日本での感染者の減少傾向が続くのはなぜなのか?専門家でもはっきりした説明ができない状況ですが、世界的に見ると新型コロナウイルス感染症の影響はもう少し続くのではないでしょうか。

リモートワーク環境下での決算・監査上の対応についての公表物

新型コロナウイルス感染症の拡大等により、リモートワークの一般化が一部進んでいますが、決算・監査上の対応に当たって、参考となるような以下の公表物が日本公認会計士協会から公表されています。

1.「リモートワークを俯瞰した論点・課題の整理」

2.「業務プロセス・内部統制の見直しに係る課題の整理」

3.「電子的情報の真正性担保の仕組みの調査研究」

4.「電子的監査証拠の利用の促進及び課題の整理」

5.「監査報告書の電子化に係る課題の整理」

6.「残高確認電子化に係る実務上の課題の整理」

7.「情報セキュリティ(リモートワークに関する課題の整理)」

8.「その他、日本公認会計士協会の会員に周知することが有用と考えられる事項」

以下、1から順番に公表の趣旨を簡単に整理します。

「リモートワークを俯瞰した論点・課題の整理」

企業側・ 監査人側双方のリモートワークの動向に関連する課題・論点を俯瞰的に検討し、論点整理・取りまとめが行われ、2021年9月9日付けでIT委員会研究報告第58号「リモートワークを俯瞰した論点・課題(提言)」が公表されています。

「業務プロセス・内部統制の見直しに係る課題の整理」

印鑑廃止に代表されるような企業のリモートワークの動向に伴う業務プロセス・内部統制の見直しに関する論点整理・取りまとめが行われ、2021年7月30日付けでIT委員会研究報告第56号「リモートワークに伴う業務プロセス・内部統制の変化への対応(提言)」が公表されています。

「電子的情報の真正性担保の仕組みの調査研究」

監査人が 被監査会社からPDFで企業内部の記録や文書を入手する場合における監 査上の留意事項の取りまとめが行われ、2021年2月12日付けでリモー トワーク対応第3号「PDFに変換された証憑の真正性に関する監査上の留意事項」が公表されています。このほか、電子署名、タイムスタンプ 等の電子的情報の真正性を担保する仕組みに関する調査研究を行うとともに、監査上の対応を検討することが予定されています。

「電子的監査証拠の利用の促進及び課題の整理」

IAASB (国際監査・保証基準審議会)におけるISA500「Audit Evidence」改訂の動向のフォロー・意見発信のほか、ISO21378「監査データ収集」に代表される監査データ標準化に関する調査研究が行われています。

「監査報告書の電子化に係る課題の整理」

監査報告書の電子化に当たって阻害要因となるような制度上・実務上の課題の整理を行った上で、関係当局とも連携の上、監査報告書に係る公認会計士法改正への対応が行われています。

 監査報告書への押印に関する取扱いの見直し

「残高確認電子化に係る実務上の課題の整理」

・リモートワーク対応第1 号「電子的媒体又は経路による確認に関する監査上の留意事項~監査人の ウェブサイトによる方式について~」では、監査人のウェブサイト等による確認手続に対応した留意事項が

・リモートワーク対応第6号「電子メールを利用した確認に関する監査上の留意事項」・・・電子メールを利用した確認に関して監査上留意すべき事項が公表されています。

「情報セキュリティ(リモートワークに関する課題の整理)」

リモート会議及びリモート会議ツール利用に関する留意点について取りまとめが行われ、2021年2月12日付けでリモートワーク対応第5号「リモート会議及びリモート会議ツールの活用について」が公表されています。このほか、電子的情報の受渡し時の留意点など、会員に対して注意喚起を図る必要があると考えられる個別論点についての周知文書の発出の検討や、リモートワークに対応したIT委員会実務指針第4号「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」等の改正の要否の検討が引き続き行われています。

「その他、(日本公認会計士協会の)会員に周知することが有用と考えられる事項」

・リモートワーク対応第2号「リモート棚卸立会の留意事項」では、直接的な実施棚卸の立会を行うことができない場合に、リモート方式で棚卸立会を実施する場合の留意事項が

・リモートワーク対応第4号「構成単位等への往査が制限される場合の留意事項」では、構成単位等への往査に代えてリモートワーク方式によって監査手続を実施する場合の留意事項が公表されています。

おわりに

新型コロナウイルス感染症でデルタ株からオミクロン株へ置き換わり、オミクロン株は重症化のリスクが低く、インフルエンザのように飲み薬で治療できるならコロナ前のような生活様式に戻れるのではとの見解も一部で出ています。

そうなれば、リモートワークはどの程度残るのかわかりませんが、コロナ前の生活様式に戻ったとしても監査リスクが低い作業で、リモートワークが効率面で優れている点は残るのではないかと考えます。

ご参考) リモートワークへの対応に係る日本公認会計士協会の取組

リモートワーク環境下における企業の業務及び決算・監査上の対応 | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp)

以上

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