その他の監査(医療法人など)の平均監査報酬

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はじめに

公認会計士協会(JICPA)が2020年12月14日に公表した、「監査実施状況調査(2019年度)」は2019年4月期から2020年3月期までに係る被監査会社等の監査実施状況を記載したものです。

調査対象は、(1)金融商品取引法・会社法監査、(2)信金・信組・労金監査、(3)学校法人監査、(4)その他に分類し、会社(法人)数、監査の実施状況(監査人の数)、監査時関数、監査報酬について売上規模等の各区分ごとに詳しく記載されています。

詳細をご覧になりたい方は、公認会計士協会(JICPA)のホームページを参照ください。監査実施状況調査(2019年度) | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp)

(4)その他は(1)、(2)、(3)以外の監査についての分類です。

今回はその他に分類されている医療法人や社会福祉法人について簡略化して取り上げます。監査時関数は8時間/日として日数換算し、監査報酬は平均監査報酬のみ取り上げました。

医療法人監査実施状況

(法人区分)   (法人数)    (監査日数)   (平均監査報酬)

医療法人     202      59日     5,804千円

社会医療法人   269      40日     3,943千円

総計・総平均   471      47日     4,741千円

社会福祉法人

(サービス活動収益区分) (法人数)  (監査日数)  (平均監査報酬)

30億円未満       121     30日   5,804千円

30億円以上       348     60日   5,551千円

総計・総平均        469               47日   4,777千円

おわりに

上記、医療法人及び社会福祉法人共通に言えることがあります。監査日数(1日8時間換算)と平均監査報酬の関係ですが、いずれも日数×10万円程度になっていることです。これは前回の学校法人でも同様ですが、我々公認会計士等の監査の平均監査報酬は

【監査報酬=10万円×日数】

これから監査を受けられる組織の方や現在監査を受けている会社や法人の方は上記監査報酬を参考にご自分の会社等の監査報酬について検討してみてください。

一般論ですが、あくまで上記10万円×日数の監査報酬は大手監査法人から中小監査事務所(個人事務所を含む)の平均です。監査報酬は、基本報酬プラス監査事務所の共通費の合計です。中小監査事務所は共通費が少なく、大手監査法人になるほど共通費は高くなりますので、監査報酬の高低は、高い順に、大手監査法人>準大手監査法人>中規模監査法人>中小監査事務所>個人の公認会計士事務所となります。

また、日数も監査報酬が決まるもう一つ重要な要素です。日数についても単価と同じく大手監査法人ほど多くなります。なぜでしょう?

大手監査法人を含む上場会社監査登録事務所は、日本公認会計士協会のレビューを少なくとも3年に1度(大手・準大手は毎年のように)、金融庁の監査審査会の調査を順番(大手監査法人がメイン)に事務所として受けます。これらレビューや調査への対応日数も監査日数と同様に所属公認会計士が対応します。また、レビューや調査での指摘事項に対しての今後の対応についても報告書を作成し、事務所内に周知するよう文書化等も行います。これらの指摘事項を反映して、文書化(データ化)するための監査手続が年々増える傾向にあります。

結果、日数は増加しているものの実質的な経営者とのコミニュケーション(形式的なコミニュケーションは手続き上必須)や会社等の実情を職業的専門家として肌で感じる余裕があるかどうかについて、私個人としては大いに疑問に感じています。

会計監査人を決める際に監査報酬は少なからず影響を及ぼす事項です。このコラムが参考になれば幸いです。逆に監査報酬は低い方が良いとは思っていません。費用対効果の問題です。中小監査事務所を選ばれるときには大手の監査法人等と違って、実績がない等のため当たり外れがあると思います。一定レベルの品質の監査を必ず求めるなら大手を含めた監査法人を選ぶのも間違いではありません。ただ、時間を掛けて費用対効果の高い監査を求めるなら中小監査事務所も一つの選択肢となります。

このコラムを見てくださった方の組織にとって、最も良い選択となる会計監査人を選ばれることを願っています。

会社法監査の平均監査報酬

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