公認会計士による会計監査の業務の流れを教えて?!

会計監査

はじめに

今日も東京で700名以上の新型コロナ感染者が発表されました。早くワクチンの接種ができるよう政府には期待しています。

以前、公認会計士監査は税理士事務所等が行ういわゆる巡回監査と言っているものと違い、保証業務であることをご説明しました。公認会計士監査は企業等が発する財務情報について独立した第三者である公認会計士がその内容を検証し、「適正」か「不適正」かを判断した結果を企業等の利害関係者に報告するという意味で保証業務であると言われています。公認会計士が財務情報を保証することによって、利害関係者は安心して当該企業等と取引をしたり、投資をしたりできることとなります。

法令等で監査が義務付けられているのは上場企業や非上場の大企業(会社法監査対象会社)だけではありません。学校法人、独立行政法人、社会福祉法人、医療法人など、その財務諸表の適正性を保証することが求められている事業体や団体等は、それぞれの法令等で監査が義務付けられています。

また、法令で監査を義務付けられていない会社においても任意で監査を受けることがあります。理由は財務情報の保証を得て利害関係者に安心して取引等を行ってほしいということです。

公認会計士監査の流れ

1.予備調査

監査の依頼が来ると、監査人はまず公認会計士としての責任が果たせる状況にあるかどうかをチェックします。監査を受ける会社が監査に協力する体制にあるか、監査に対応可能な内部統制が構築されているかどうかなどを調べます。

監査は官庁の調査などと違い、試査(サンプリング)により幅広い勘定科目に対して行われるため、内部統制が確立していない会社はその構築から始めなければなりません。ただし、取引量がそれほど多くない会社はサンプリングの件数を増やして監査を行うため、内部統制が確立していない会社の場合は、結果、監査日数が増加し、監査に対して支払う報酬が増えることになります。また監査を受ける会社の経理担当者や責任者が監査に協力する体制にないと実質的に監査を行えません。

2019年3月期から法定監査が導入された医療法人の場合では、予備調査を実施したあと、内部統制の確率の支援に1年を要する法人がほとんどであるため2018年3月期から公認会計士や監査法人と契約する法人がほとんどであったような状況です。

2.監査計画の立案

管理組織のレベル、内部統制の整備・運用状況、取引の実体などを分析して、不正が起こる可能性や間違いの可能性の高い箇所をピックアップします。この不正や間違いの可能性の高い箇所をリスクと呼び、そのリスクに焦点を当てて監査することによって、より効率的な監査を実施することができます。それがリスク・アプローチと呼ばれる手法で監査計画立案において最も重要な手続です。

リスク・アプローチにより、逆にリスクが低い箇所の監査を簡便的な方法により実施することができ、監査時間数を減らすことができるため、結果として監査費用も抑えることが可能となります。

3.監査手続の開始

立案した監査計画の結果に基づいて具体的な監査手続を行います。監査は監査対象組織の規模にもよりますが、通常は数人のチームで編成され、大会社については数百名の場合もあります。「売上」や「仕入」「固定資産」「人件費」などの勘定科目ごとに担当者が決められ、実査・立会・確認・勘定分析など監査手続を効率的に行い、監査証拠を積み上げていきます。

4.監査意見の形成

それぞれの担当が、その勘定科目に記載誤りがないと確信できるところまで調べがつくと、その業務の過程を監査調書にして現場の責任者に報告します。現場責任者(主査)はそれらの報告をまとめて相互の関連性や整合性を見ながら、全体としての正しさを検討します。その結果を監査責任者(業務執行社員)に報告し、監査責任者は最終的に適正かどうかを検討して、監査チームとしての意見を形成します。

5.審査

監査チームの結論を、その監査に携わっていない別の公認会計士が客観的な視点でチェックをします。これを「審査」と呼び、上場企業を監査する事務所には必ず「審査担当」を置くことを日本公認会計士協会では義務付けています。監査現場を見ていない審査担当は、監査責任者から監査意見形成の過程の説明を受け、監査調書を査閲し、その判断が適切かどうかを客観的に判断します。その結果を審査担当者の結論として最終的に監査チームの意見に同意するまで追加の監査手続が必要な場合もあります。

6.「監査報告書」の提出

審査担当者の同意を得た後に、公認会計士監査の報告書は作られます。「監査報告書」は監査責任者が自筆のサインをして、監査した企業の取締役会(理事会・監事など)宛に提出します。企業等は財務諸表にこの「監査報告書」を付けて、自らが作成した財務書類に間違いがないことを明らかにします。

おわりに

以上が通常の公認会計士監査の流れです。監査を受けている組織の方は経験があると思いますが、これから監査を受ける予定の組織の方の参考になれば幸いです。

これまで税務顧問をやってきて、税務のみの小規模の会社の場合は税務署と借入がある場合には金融機関にも財務情報(決算報告書)を提出します。

個人的な経験ではありますが、税理士として決算書を粉飾した経験があります。それは、社長が金融機関の目を気にして、利益を出したい(損失の決算書にはしたくない)という理由でした。顧問税理士の場合は、税務調査の対策も行いますので、費用(損金)計上ができるかどうかには気を配りますが、費用計上できるのに計上しないことには寛大です。税理士は最終的には顧問先の意向が最優先となりますので、税務調査で問題にされない、利益を出す(計上すべき費用を計上しない)粉飾は、顧問先の意向であればほとんどの税理士が行っていると言っても過言ではありません。

一方、公認会計士は粉飾を許すと、財務情報の信頼性がなくなり、公認会計士自身の責任も問われますので、ほとんどの公認会計士は監査において粉飾を見過ごすことはありません。ほとんどという意味は、士業の中にも悪徳○○士はいるということです。ただし、悪徳○○士は最終的には哀れな結果になると私は信じています。

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横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い会計監査を目指しています。

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