四半期開示の簡略化議論再開!監査人のレビューや中間監査も検討課題!
はじめに
金融庁・金融審議会は10月5日、2022年度の「ディスクロージャーワーキング・グループ」(DWG)の第1回会合を開催しました。
前回のDWGで金融商品取引法上の四半期開示義務(第1と第3四半期)を廃止し、四半期決算短信に一本化する方向になったことを受けて、その具体化に向けた課題を検討しました。
議論された主な課題は6つ
前回のDWGから四半期開示の見直しに向けた議論が本格化しています。6月に公表された報告では、金融商品取引法上の四半期開示義務の第1と第3四半期を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化することが提案されています。
今回のDWGでは、四半期短信への一本化に向けた議論が行われました。
四半期開示に関する主な課題
① 四半期短信の義務付けの有無
② 適時開示の充実
③ 四半期短信の開示内容
④ 四半期短信の監査人によるレビューの有無
⑤ 四半期短信の虚偽記載に対するエンフォースメント
⑥ 半期報告書・中間監査の在り方
以下、6つの課題についての論点の概要をご紹介します。
四半期短信の義務付けの有無
海外では、米国では義務化、欧州では基本的に任意化。金融庁は、シンガポールでは任意化したうえで、監査人が不適正意見等を表明した場合について四半期開示を求めるという事例を紹介しています。
投資家・アナリストからは「四半期短信は企業の中長期的な経営の進捗確認として必要」と、引き続き義務化を求めているようです。
四半期短信の開示内容
四半期短信と四半期報告書を比べると、非財務情報面では、「事業等のリスク」「経営上の重要な契約等」「研究開発活動」に重要な変更があった場合、四半期報告書では記載が必要であるが、短信では求められていません。
財務情報の点でも、短信はキャッシュ・フロー(CF)の情報やセグメント情報などは要請されていません。
短信に一本化する場合、どこまで情報を記載するかが焦点となります。企業側からは現行の短信を基本とする意見が多く、一方、アナリスト等はCFやセグメントなどは短信でも開示してほしいとの意見が多かったようです。
四半期短信の監査人によるレビューの有無
監査人の委員は「財務情報の公表を義務付けるなら、レビューも義務付けるべきだ。適正財務報告のアカウンタビリティを果たしたい企業にとって、独立監査人のレビューを受けるメリットがあり、資本市場の信頼性確保や投資家保護にもつながる」とのもっともな指摘がありました。
他の委員からは「仮に義務付けないならば企業の任意でレビューを受けるようにすべき」との意見もあったようです。
レビューを行う場合には、提出時期の遅れが生じる懸念についても議論が行われており、まだまだ結論には至らないようです。
四半期短信の虚偽記載に関するエンフォースメント
金融庁によると、第1・第3四半期のみを対象とした開示書類の虚偽記載は過去に1件のみとの報告がありました。
委員の多くは、業績予想の重要性を踏まえ「取引所の枠組みで十分ではないか」との声が上がっています。
半期報告書・中間監査の在り方
現行の第2四半期報告書の水準と変える必要はないのではないかとの意見が大半のようです。
中間監査については、国際的な整合性の観点から反対の意見が多く、現在求められている非上場企業の半期報告書も不要との大胆な意見もあったようです。
おわりに
「速報性」と「適正報告」は相反するものであり、速報性を求めると監査人のレビューの必要性は遠ざかり、適正報告を求めると、速報性を満たすことができなくなります。
この点、どちらを重視するかでしょうが、公認会計士としての意見としては、短信を発表してからでも監査人のレビューを行い、万が一虚偽記載があれば訂正報告書を提出するという観点で十分ではないでしょうか。第1・第3四半期の虚偽記載が過去に1件のみという現実を考えるとそれで「速報性」を「適正報告」の両方を満たせるのでないかと考えます。
どちらにしても、私が監査する非上場会社(会社法・学校法人・医療法人等)の監査には影響がないので、第三者の公認会計士としての意見ですが。
推奨ブログ)会社法監査等 上場会社以外の法定監査は「監査法人」に高い報酬を払う必要なし!
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。
各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。
依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。
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J-SOX年内に内部統制基準・実施基準の改正案公表!会社法監査へも影響か!
はじめに
金融庁・企業会計審議会は10月13日第22回内部統制部会を開催し、内部統制報告制度の見直しに向けた検討を開始しました。
主な論点として、
・経営者による内部統制評価範囲
・監査人による内部統制監査
・内部統制報告書の訂正時の対応
以上となっています。法律改正等を要しないものに限定される可能性が高そうです。
主な制度的論点
J-SOX導入から十数年が経過した内部統制報告制度については、形骸化も指摘されており、9月29日の企業会計審議会総会において、内部統制の実効性を高めるため、基準・実施基準等の改正を含めて、内部統制部会において審議を行うこととされていました。
参照ブログ)内部統制の実効性向上のため内部統制報告制度の見直し!年内にも方向性!
初回の審議となった10月13日の同部会では、事務局が「内部統制報告制度に関する国際的な議論の進展と現状」及び「主な制度的論点」を説明しました。
同部会で、今後「ご議論いただきたい事項」として、
① 内部統制の基本的枠組み
② 経営者による内部統制の評価範囲
③ 監査人による内部統制監査
④ 内部統制報告書の訂正時の対応
⑤ その他※
※上記4点のほか、内部統制基準・実施基準等を見直すにあたり、検討すべき点はないか
以上5点を示しました。
監査人による内部統制監査
経営者によるリスクベースの内部統制評価を促していく観点から、例えば、経営者と監査人の早期の緊密な協議を促すことや、内部統制報告書の中で経営者と監査人間の内部統制評価に関する議論を明らかにする意見が多かったようです。一方で、監査人のダイレクト・レポーティングを導入すべきとの意見もありました。
経営者による内部統制の評価範囲
経営者によるリスクベースの評価がなされておらず、経営者の評価範囲外で「開示すべき重要な不備」が検出される企業が一定程度見られることを踏まえたものです。
例えば、開示すべき重要な不備が認識された直近数年の訂正内部統制報告書のうち、当該不備が経営者による評価範囲外から認識されたものは2~3割程度あるようです。
その原因の一つと考えられるのが、評価範囲における選定基準の提要的な「例示」の存在です。
全社的な内部統制について、具体的には
・売上高で全体の95%に入らないような連結子会社は僅少なものとして評価範囲の対象から除外するというもの
重要な事業拠点の選定において、全社的な内部統制の評価が良好であれば、
・連結ベースの売上高等の2/3程度に入らない事業拠点は評価の対象から除外することが容認されている
企業が上記の「例示」に偏重して評価範囲を決定し、リスクの高い対象を含めることができていないといった指摘があります。
この点については、同部会では、リスクベースで評価範囲の選定を行うべき、といった意見が多く聞かれました。
「例示」については、全廃止に言及する意見もありましたが、一方で、「数値基準があることによって安定的な実務が遂行されている」として、プラスの面も踏まえて制度の改正を検討すべきなどの意見もあったようです。
内部統制報告書の訂正時の対応
訂正時の対応については、判断事由の開示に賛成する意見がほとんどでした。
その他として、非財務情報を内部統制報告制度の範囲に含めるべきといった意見もありました。
おわりに
次回の内部統制部会である程度の方向性を示し、年内に基準・実施基準の見直しに係る公開草案が公表される見通しとなっています。
内部統制報告制度をより実効性のあるものにすることは、内部統制を前提として監査を行う監査制度にも影響するものであり、内部統制が有効でなければ、会計監査の作業は増加し、現状の監査報酬の値上げラッシュがさらに続くことになるでしょう。
参照ブログ)監査報酬の値上げラッシュ!監査報酬が高いと感じたら相談ください!
この点、内部統制に依拠して監査を行うのは「会社法監査」その他法定監査全般に言えることであり、今回の内部統制報告制度の改正の議論は上場会社に限ったものではないと言えるでしょう。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
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上場会社の監査事務所へのガバナンス・コード適用についての議論の状況
はじめに
上場会社の監査事務所へのガバナンス・コード改定に向け、有識者検討会が再開されます。9月の企業会計審議会総会で明らかにされました。
ガバナンス・コードを中小監査法人でも受け入れられるようなものにするのが狙いです。なぜなら、大手・準大手監査法人から中小監査事務所への監査人の異動が過去最高を更新し、上場会社の監査における中小監査事務所の存在感が高まっているからです。
10月下旬ごろから検討を開始し、2022年度中に改定の方向性について結論を下す見通しとなっています。
上場会社の監査事務所は中小でもガバナンス・コードの受け入れが必須に
監査法人のガバナンス・コードは、「会計監査の在り方に関する懇談会」の提言(2016年3月)を踏まえ、2017年3月に策定されたものです。
組織としての監査の品質の管理の確保に向けた5つの原則と、それを適切に履行するための指針からなりますが、「大手上場企業等の監査を担い、多くの構成員からなる大手監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定」されており、中小監査法人の採用は、現時点でわずか9法人にとどまっています(2022年7月1日時点)。
他方、中小監査法人が上場会社を監査するケースは別途当事務所のブログでも何度も記載していますが(参照ブログ)「会計監査人の異動!5月は109社!大手・準大手から中小への流れ加速!」年々増加しており、公認会計士法等の一部を改正する法律(2022年5月成立)では、会計監査の信頼性を確保する観点から、上場会社の監査事務所に対して登録制度を導入するとともに、適切な体制整備(=監査法人のガバナンス・コードの受け入れや情報開示の充実を想定)を義務付けることとなっています。
すなわち、上場会社を監査するには監査法人(個人の場合は個人事務所)のガバナンス・コードの受け入れが必要になるということとなります。
中小監査法人や個人の公認会計士事務所で受け入れ可能なガバナンス・コードとは
中小監査法人等でも受け入れられるガバナンス・コードとなるよう、有識者検討会において改定に向けた検討を行うこととなっていますが、この点、本年1月の金融審議会・公認会計士制度部会報告では、「準大手監査法人・中小監査法人における上場会社監査の品質確保にも資するコードとなるよう、また、監査法人の規模等に応じた実効性のある規律を求めるコードとなるよう、必要に応じて、その内容に改訂すべき点がないか検討されるべき」としています。当然のことではありますが、総勢10~20名程度の監査法人において、大手監査法人と同じようなガバナンス・コードを求められても適用不可能と言わざるを得ません。
おわりに
会計監査の在り方に関する懇談会の議論整理(2021年11月)では、以下など7点を例示した上で、「監査法人のガバナンス・コード」に取り入れるべき事項が幅広く検討されることが望ましいとしており、これらについても今後検討が行われることになりそうです。
・国際的な動向を踏まえ、非監査業務の提供に伴う利益相反や独立性への懸念に対してどのような姿勢で対応しようとしているか
・グローバルネットワークやグループ法人との関係性・位置づけについて、どのような在り方を念頭に監査法人運営を行っているのか
上記など他5点
特に上記、2点目のグローバルネットワーク~については、監査人の異動において中小監査事務所へ変更している上場会社にとってはほぼ無縁の出来事ではないかと考えますが、今後の議論によっては、中小監査事務所のガバナンス・コードが厳しいものであれば、実質、中小監査事務所は上場会社を監査できなくなり、監査難民が激増するのではないかと危惧しています。
追記)個人の公認会計士事務所による監査のメリットは以下のブログ参照ください。もうすぐ監査資源的にお受けできる監査数の限界に来ていますので、ご依頼はお早めにお願いします。3月決算等、繁忙期によってはお断りする場合がございますのでご了承ください。
個人の公認会計士事務所による監査はメリットだらけ(監査報酬見直し、高品質保証)
以上
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インボイス制度開始まで1年!事業者のインボイス対応の現状と免税事業者との取引
はじめに
令和5年10月1日のインボイス制度開始まで1年を切り、半年足らずの令和5年3月末にはインボイス発行事業者の登録申請期限を迎えます。
他の事業者のインボイス対応の進捗状況が気になるところでしょう。
今回は、インボイス発行事業者の登録状況のほか、免税事業者との取引対応など、インボイス制度開始1年前の事業者の現状について記載します。
令和4年8月末時点のインボイス登録件数
インボイス制度開始の令和5年10月1日よりインボイス発行事業者となるには原則、令和5年3月31日までに、国税庁に登録申請が必要です。
公表資料の関係で8月末時点のインボイス登録件数までしかわかりませんが、東特件数は約99万件となり、全国約300万件の課税事業者(個人・法人)の3割が登録済ませているというのが現状です。このペースで登録が増加すれば、今年中には150万件を超え、全体の6割程度の登録件数に達すると思われます。
年明けの展望
実際、年が明けると確定申告が始まるため、年内にはほとんどの顧問先の登録番号の申請を行う東井税理士の声をよく聞きます。
税理士のとある対応は「顧問先のうち、課税事業者には基本的に登録してもらい、無料で申請代行を行う。免税事業者には、登録のメリット・デメリットの説明をするなどの手間がかかるため、申請代行をする際には数万円程度の報酬を受ける予定で、来年の確定申告の時期に説明する」と今後の対応を行うようです。
登録番号の通知等
インボイス制度の登録番号を取得した後は、売上先に対し、登録番号を一斉に通知することを検討する事業者もいるようです。
また、自社のウェブサイトに登録番号を掲載している事業者もいます。
一方、とある法人は「今後の取引で、登録番号を記載した請求書等を発行するため、必要な取引先への通知はそれで十分だと考えている。すでにアンケート等の形で登録番号を回答している」などとして、登録番号の一斉通知はしない方針のようです。
このような法人は今後も増えてくるのかと考えます。
免税事業者との取引対応
免税事業者との取引についてはその対応に苦慮しているようです。
大会社である資本金5億円以上の法人では、「塾や予備校等の講師(免税事業者)に対し、課税事業者に転換してもらう前提で説明会を開いたようですが、課税事業者になることへの反発が当該講師から強く、一律に課税事業者になってもらうことは断念した。免税事業者のままの講師には、個別に取引価格の交渉を行う。一方、免税事業者の立場から見れば、例えば飲食店などで取引相手の多くが一般消費者の場合には、登録しないといった検討も必要かもしれない」などの話があるようです。
飲食店でも喫茶店のような事業者は、登録する必要性はほどんどないでしょうが、居酒屋のような、会社の接待に使われるようなちょっと洒落たお店の場合は、例え、カウンターだけの狭いお店で免税事業者でも、会社の接待として使われなくなるデメリットは大きいでしょうね。
おわりに
免税事業者の取引先が多い法人の場合は、免税事業者の個人等にアンケートを実施して、登録の意向を把握し、できるだけ課税事業者への転換を勧めるよう努力が必要となります。難しい場合は価格交渉の協議に応じることを説明して、下請法等の観点で交渉の方法等や交渉の経緯等の記録を残すようにするのが後々のトラブルを防ぐ意味から必要になるでしょう。
また、接待ではできるだけ免税事業者のお店にはいかないようにといった対応も、営業部等にしていく必要があるかと思われます。
以上
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内部統制の実効性向上のため内部統制報告制度の見直し!年内にも方向性!
はじめに
金融庁は9月下旬、企業会計審議会総会・第9回会計部会を開催し、内部統制報告制度(J-SOX)の見直しに向けた議論を開始しました。
導入前後は、J-SOXという言葉をよく聞きましたがここ数年、内部統制報告制度やJ-SOXについてはあまり耳にしないのではないでしょうか。
導入の2009年3月期から始まって十数年が経過した同制度について、「形骸化」が指摘されてきており、2022年事務年度の金融行政方針において、「課題を整理の上、国際的な内部統制・リスクマネジメントの議論の進展も踏まえ、内部統制の実効性向上に向けた検討を行う」としていました。
10月中旬ごろから内部統制部会において具体的な検討を行い、年内に改正の方向性が示される見通しとなっています。
見直しに当たり想定される三つの論点
見直しに当たり想定される論点は多いが、まずは、法律改正等を要しない内部統制の基本的な枠組みの見直しや、基準・実施基準の見直しに関連する論点などから先行・優先して取り組む考えが示されています。
主要な論点となりそうなものは以下の3点です。
① 評価範囲の数値基準の「例示」の撤廃を含めた見直し
評価範囲の数値基準の例示は、内部統制報告制度を円滑に導入するために、目安として複数設けられたものであり、重要な事業拠点の選定では、全社的な内部統制の評価が良好であれば、例えば、連結ベースの売上高等の2/3程度に入らない事業拠点は評価の対償とする事業拠点から除外することが容認されています。
数値基準が撤廃された場合、よりリスクベースで評価範囲の選定を行うことが考えられますが、目安が無くなることで判断に悩むケースも出てくることでしょう。
② ダイレクト・レポーティングの導入の有無を含めた内部統制監査の位置づけの再検討
現行の内部統制監査は、経営者による内部統制報告書に対して会計監査人が意見を述べる方式となっています。
ダイレクト・レポーティングでは、会計監査人が被監査会社の内部統制の有効性を直接検証するため、導入された場合、内部統制報告制度の建て付けが大きく変わることとなります。
③ 訂正内部統制報告書の記載内容の充実・訂正内部統制監査報告書の義務付け
最近では、上場企業の不正等の発覚により、当初有効としていた内部統制について、それを有効ではないと後出しで訂正するケースが多発しています。
会社が内部統制報告書の訂正を行っても、それに対する公認会計士の監査証明はなぜか必要とされておらず、その記載内容について公認会計士を含めた第三者が適切かどうかを評価することは行われていません。
このこと自体が内部統制報告制度の形骸化の主要な要因ではないでしょうか。
訂正内部統制報告書の信頼性を確保する観点から、会計監査人に対して訂正内部統制監査報告書を新たに義務付けること必要ではないか、会社の訂正内部統制報告書の記載内容を充実させることが必要ではないかなどが検討されることになりそうです。
おわりに
金融庁の※会計審議会総会では、会計監査等を巡る動向として金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)報告の概要の説明もあったようです。
四半期開示等が今後の検討課題とされており、年末に向けてDWGにて検討されます。
一方、内部統制部会の検討次第では、年内に、基準・実施基準の見直しに係る公開草案が示される可能性があります。
内部統制報告制度の見直しと四半期開示等に係るレビューなど会計監査人の関与が喫緊の今後の検討課題として注目されます。
非上場会社(会社法・学校法人・医療法人・労働組合など)で、当事務所の柔軟で効率的な個人の公認会計士事務所による監査にご興味のある方は以下のブログを参照ください。
参照ブログ)個人の公認会計士事務所による監査はメリットだらけ(監査報酬見直し、高品質保証)
以上
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上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
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会計監査人の異動2022年9月は6社!中小への変更は4社!トレンド継続!
はじめに
9月に株主総会を開催する上場会社は6月決算であり、3月決算が大多数を占め、続いて2月(8月)の小売業の決算が多い日本企業の中では、6月決算はかなり少ないのが現実です。
そのような中、6社が会計監査人の異動を公表しています。
個別にみていきましょう。
6社中4社は大手・準大手・中小から中小監査事務所へ
① 大手監査法人から中小監査事務所へ・・・1社
② 準大手監査法人から中小監査事務所へ・・・2社
③ 中小監査事務所から中小監査事務所へ・・・1社
④ 大手監査法人から準大手監査事務所へ・・・1社
⑤ 中小監査事務所から準大手監査法人へ・・・1社
上記のうち、③はハイビスカスから中小監査事務所への変更のため、金融庁の行政処分が影響しています。
以下の章で、今年一番多い①の監査人の異動のIRと⑤の中小から準大手という一見、監査報酬の値上げが原因ではないと思われる監査人の異動について取り上げます。
会社のIR公表事例
それでは、①の事例です。
【株式会社カラダノート/東証グロース(4014)】
IR公表日 :2022/09/15
異動年月日:2022/10/26
退任監査人: 有限責任監査法人トーマツ
就任監査人: アスカ監査法人
異動理由:[任期満了]
当社の会計監査人である有限責任監査法人トーマツは、2022年10月26日開催予定の第14回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。近年、監査報酬が増加傾向にあり、次期以降も増加することが見込まれることなどを契機として、当社に適した監査対応と監査報酬の相当性について検討してまいりました。
やはり、監査報酬の増加及び次期以降も報酬の増加が見込まれるようです。当該IRはかなり正直に理由を書かれている印象を受けます。
大手・準大手から中小監査事務所への変更においても、監査報酬の増加を理由に挙げていない会社も多くみられますが、個人的に私の主観ですが、会計不正以外の大手等から中小監査事務所への変更は監査報酬の増加が原因の中心であると感じています。
次に、中小から準大手への変更の⑤のIRを見てみましょう。
【BRUNO株式会社/東証グロース(3140)】
IR公表日 :2022/09/06
異動年月日:2022/09/28
退任監査人: 東邦監査法人
就任監査人: 太陽有限責任監査法人
異動理由:[任期満了]
当社の会計監査人である東邦監査法人は、2022年9月28日開催予定の第27回定時株主総会終結の時をもって任期満了により退任いたします。現在の会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えていると考えておりますが、現会計監査人である東邦監査法人の監査継続年数を考慮し、また、太陽有限責任監査法人を起用することにより、当社の親会社であるRIZAPグループ株式会社と会計監査人を統一することによりグループ全体の監査の効率化が期待できることに加え、~以下省略~
太陽さんへの変更であったため、準大手の中で一番アグレッシブに監査人の就任を行っている太陽さんが中小監査事務所の案件まで取りに行ったのかと少し驚きましたが、実情は親会社の会計監査人と統一するためでした。
上記IR公表会社は直近監査報酬21百万円の東証グロース上場の会社であり、中小監査事務所で監査的には充分であったのでしょうが、親会社の太陽さんの意向が反映されたとも考えられますので、単なる連結グループでの会計監査人の統一を会社が選択したのかどうかは当事者のみ知ることですが。
おわりに
昨年、2021年の会計監査人の異動は219社でした。その前の2020年は142社です。それに対し、今年2022年は9月までの9か月で211社となっています。
このペースで推移すると今年の会計監査人の異動は250社を超えると予想しています。
一方で、今年は中小監査法人を中心に、金融庁の検査の結果、行政処分(監査体制が十分ではないと金融庁が判断した)を受けた監査法人はすでに3法人となっています。こちらも過去最高の行政処分のペースです。
今も、金融庁が中小監査事務所に対し検査を行っているという公認会計士業界の裏情報も漏れてきています。今行われている金融庁の検査もかなり、ピンポイントで厳しいと伝わってきていますので、年末までに中小監査事務所の中からもう1法人に対して行政処分の勧告がある可能性があります。
公認会計士の会計監査を巡る情勢から目が離せなくなっていますが、監査報酬の増加傾向は来期も続くと予想されることから、大手・準大手監査法人から中小監査事務所への会計監査人の異動のトレンドは今後も続き、金融庁が上場会社を監査する監査事務所に対するガバナンス・コードの状況など、なにか変化があれば、今後もブログを通して発信していきます。
非上場会社(会社法・学校法人・医療法人・労働組合など)で、当事務所の監査にご興味のある方は以下のブログを参照ください。
参照ブログ)個人の公認会計士事務所による監査はメリットだらけ(監査報酬見直し、高品質保証)
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
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給与・賃金のデジタルマネー払い(キャッシュレス受取)に向けた取り組み
はじめに
厚生労働省は、9月22日に「労働基準法施行規則の一部を改正する省令案」の意見募集を開始しました。
労働者に対する給与・賃金は現金払いが原則ですが、現行制度では、その例外として、労働者の同意を得た場合に
① 銀行口座への振込
② 証券総合口座への払込
による給与・賃金の支払いが認められています。
改正案では、上記の例外に、資金移動業者(PayPayなど)の口座への振込を加えることで、いわゆるデジタルマネー払いを可能とするものです。
キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化への対応
労働基準法では、賃金は現金払いが原則となっています。現状は銀行振り込みを行っている企業等がほとんどで現金での支給はアルバイトなどごく一部に限られているとは思いますが、労基では現金払いが原則です。
その例外として、労働者の同意を得た場合、
① 銀行口座への振込
② 証券総合口座への払込
上記による給与・賃金の支払いが認められているという現実とは原則と例外が逆転している状況なのです。
今回の改正案では、キャッシュレス決済の普及や送金サービスの多様化が進んでいることを背景に、現行の例外上記①、②に加えて、労働者の資金移動業者の口座(キャッシュレス決済で用いるアプリ等の口座)への給与・賃金支払いを可能とするものです。
キャッシュレス決済で用いるアプリ等の口座へ支払うための要件
対象となる資金移動業者については、資金決済法による規制のほか、一定の要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けなければなりません。
具体的要件は以下の通りです。
・給与・賃金支払いに係る口座の残高の上限額を100万円以下に設定していること
・破綻したときに、口座残高の全額を速やかに弁済できることを保証する仕組みを持つこと
・ATMの利用等により、1円単位で賃金等の受取ができ、最低毎月1回はATMの利用手数料等の負担なく賃金等の受取ができる措置を講じること
・賃金等支払業務の実施状況と財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を持つこと
おわりに
企業が資金移動業者の口座への給与・賃金の支払いを行う場合には、当然ですが労働者の同意を得なければなりません。労働者が銀行口座や証券総合口座への給与・賃金の支払いも併せて選択できるようにする必要も当然あります。
今回の改正案の意見募集は10月21日までであり、改正省令は11月に公布し、2023年4月1日には給与・賃金のデジタルマネー払いが可能となる可能性があります。皆さんはデジタルマネーによる給与・賃金の受取を選択しますか?どちらにしても、給与等の受取の選択肢が増えることは労働者にとっては良いことではないでしょうか。
以上
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社外取締役の増加傾向は今後も!その権限・役割について解説!
はじめに
社外取締役とは、文字通り、社外から招いた取締役のことです。
取締役は、企業の業務執行に関する意思決定をする重要な役割を担いますが、社外取締役は社内で昇格した人材ではないため、社内の利害関係にとらわれずに任務を遂行することが可能です。
欧米では社外取締役の設置が当然のこととみなされ、取締役の半数以上を社外取締役が占めるとも言われています。日本でも、改正会社法の成立により、上場企業を中心に社外取締役の設置が増加傾向にあります。
l 社外取締役の権限・役割
(1) 社外取締役の職務
取締役会の権限事項(362Ⅱ、Ⅳ、363Ⅰ②)を、会議体である取締役会の一員として行うことです。
(2) 社外取締役の責任の種類
① 一般の取締役と同様、法的責任と経営責任がある。
② 法的責任は、会社に対する忠実義務・善管注意義務違反による損害賠償責任等、法的効果に基づくものである。
③ 経営責任は、経営の結果に対する責任であり、法的な効果を持たないものである。
(3) 社外取締役の経営責任
① 社外取締役も、取締役として経営責任を負う。
② 経営責任の取り方は、社外取締役の職務、期待される役割(経営のモニタリング等)に応じたものでなければならず、その責任の取り方には、退任、辞任、報酬の返上・減額等がある。
(4) 社外取締役の法的責任
取締役としての法的責任を負う。
会社に対する忠実義務・善管注意義務を果たすため、社外取締役は、下記の職務を行う。
① 取締役会の上程(付議)事項に関して
ア.審議の過程について
説明や資料に基づき、必要な調査と検討が行われているか、合理的な手続が行われているかという観点から審査を行う。
イ.決議の内容について
取締役会の決定が、その業界における通常の経営者の経営上の判断として著しく不合理でないかという基準から検討する。
② 取締役会の上程(付議)事項以外について
ア.取締役相互間で役割の分担がなされ、相応の内部統制システム、リスク管理体制に基づいて職務執行に対する監視が行われていれば、次のイ.の場合を除き、担当取締役の職務執行が適法であると信頼することが許容される。
イ.社外取締役は、特に他の取締役の職務執行が違法であることを疑わせるような特段の事情がある場合には、適切な措置(監査役への報告等)を採る必要がある。
③ 内部統制システムの構築、運用等について
ア.社外取締役は、就任後のなるべく早期に、会社法上の内部統制、リスク管理体制の構築、整備について、会社の状況、業界の水準に応じた合理性を有する内容となっているか点検しておくことが推奨される。
イ.財務報告に係る内部統制については、独立監査人の監査証明を受けた内部統制報告書において有効であるとされている場合には、その後に粉飾決算等の財務計算に関する特段の不祥事等が現実に発生していない限り、報告時点において有効に整備、運用されていると信頼してよい(社外取締役が、公認会計士である等会計についての専門性を有する場合にも同様。前記第1、3(3)を参照。)。
ウ.会社に損失を発生させる事態、粉飾決算、反社会的勢力との取引等の不祥事が現実に発生した場合又は財務報告に係る内部統制報告書において開示すべき重要な不備があるとされている場合には、社外取締役は、内部統制、リスク管理体制の見直しを行うプロセスの監督責任を有する。(日弁連、社外取締役ガイドライン)
おわりに
社外取締役は、上記法的責任に記載のある通り、会社の内部統制システムの構築、運用について早期に点検することが求められています。
また内部統制システムが相応であれば、他の取締役の違法性を疑う状態にない限り、取締役の職務執行が適法であると信頼することが許容されています。
すなわち、内部統制システムや会社のリスク管理体制に対してある程度精通している人物が社外取締役としてふさわしいと言えるでしょう。
その意味では、公認会計士を社外取締役に選任することがベストな選択肢と言えるのではないでしょうか。
以上
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役員給与の損金不算入について再確認を!
はじめに
法人税法34条に規定する、役員給与の損金不算入について見てみましょう。
1.内国法人がその役員に対して支給する給与のうち次に掲げる給与のいずれにも該当しないものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
2.内国法人がその役員に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分の金額として政令で定める金額は、 その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。※1
3.内国法人が、事実を隠蔽し、又は仮装して経理をすることによりその役員に対 して支給する給与の額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。※2
4.前3項に規定する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益を含むものとする。 ※3
【以下、略】
※1 役員給与として支給したものであっても、不相当に高額な部分の金額は損金の額に 算入しないとされています。
※2 事実の隠蔽や仮装経理により支給しているものは損金の額に算入しないとされています。これはウソついて処理していたものは損金不算入になるというものです。
※3 役員給与として支給したものであっても、不相当に高額な部分の金額は損金の額に算入しないとされています。
以下に挙げる給与のいずれにも該当しないものは損金不算入(34条1項)
① 「定期同額給与」その支給時期が1月以下の一定の期間ごとである給与で当該事業年度の各支給時期における支給額が同額であるもの 。 その他これに準ずるものとして政令で定める給与
② 「事前確定届出給与」その役員の職務につき所定の時期に、確定した額の金銭又は確定した数の株式若しくは新株予約権若しくは確定した額の金銭債権に係る第54条第1項(譲渡制限付株式を対価とする費 用の帰属事業年度の特例)に規定する特定譲渡制限付株式若しくは第54条の2第1 項(新株予約権を対価とする費用の帰属事業年度の特例等)に規定する特定新株予約権を交付する旨の定めに基づいて支給する給与で、定期同額給与及び業績連動給与のいずれにも該当しないもの
定期給与を支給する役員に対する給与等で定期同額給与等に該当しないものにつ いては、事前に税務署に届出書の提出が要件となります。
③ 「業績連動給与」内国法人がその業務執行役員に対して支給する業績連動給与で、次に掲げる要件を満たすもの
業績連動給与の算定基準
業務執行役員については業績連動給与の算定方法を、役員の肩書ごとに開示する必要があります。改正後の基準に基づいた法人の役員給与に関して、以下の条件を全て満たしていれば、損金算入することが出来ます。
●算定に用いる指標
次のもののいずれかを指標として用いることが出来ます。
1.利益を示す指標
「職務執行期間開始日以降に終了する事業年度の利益を示す指標」とされ、営業利益、EBITDAなどがこれにあたります。
2.株式指標
「職務執行期間開始日の属する事業年度開始の日以降の所定の期間又は職務執行期間開始日以降の所定の日における株式の市場価格の状況を示す指標」がこれにあたります。
3.売上高を示す指標
「職務執行期間開始日以降に終了する事業年度の売上高の状況を示す指標」とされ、商品売上高などがこれにあたります。ただし、上記の1.2.のいずれかの指標と共に用いられることが条件になります。
●算定方法
以下の条件を満たす必要があります。
1.確定額又は確定数を限度としているものであり、かつ、他の業務執行役員に対して支給する業務連動給与に係る算定方法と同様のものであること。
2.所定の日までに報酬委員会の決定その他適正な手続きを経ていること。
3.その内容が、上記2.決定または手続きの終了の日以降遅滞なく、有価証券報告書に記載されていること。
●交付時期
給与の支給方法により、以下の時期までに交付されている必要があります。
1.金銭による給与の場合
指標の数値の確定後1か月以内
2.その他
省略
おわりに
上記のように、業績連動給与については、要件が厳しく、原則上場会社の業務執行役員に対して支給する給与と考えてください。
通常の非上場の会社であれば、定期同額給与、事前確定届出給与の2択となることでしょう。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
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会計監査人の選び方!公認会計士事務所と監査法人のどちらを選ぶべきか!
はじめに
上場会社や会社法監査などの法定監査において、会計監査人は監査法人から選ぶものとだと勘違いしていないでしょうか?
公認会計士事務所の方が会社等の規模や組織形態によってはベストな選択肢となる場合が多々あります。
ざっくり言って、上場会社でグローバルに展開している会社は大手監査法人の中から会計監査人を選ぶべきです!
一方、単一事業で、売上規模300億円以下や従業員数1000名以下の会社等の場合は個人の公認会計士事務所を選任したほうが監査報酬も安く、より身近な存在として親身に会社のことを考えて監査を行ってくれる傾向が強いと言えます。
監査法人や公認会計士事務所など監査事務所の分類
監査を行う公認会計士または監査法人を分類すると以下の通りです。
①大手監査法人
②準大手監査法人
③中小監査法人(上場会社の監査をしている)
④ 中小監査法人(上場会社の監査をしていない)
⑤個人の公認会計士事務所
①は、トーマツ、EY新日本、あずさ、PWCあらたの4法人
②は、太陽、仰星、東陽、三優、PWC京都の5法人
③は、1社以上上場会社の監査をしている監査法人は115法人(2022年9月時点)
④は、直近の日本公認会計士協会(JICPA)の会員数を基に、①~③を除くと153法人
⑤は、公表資料がないので事務所数は不明です。
監査法人を選ぶべき会社等
1.グローバルに海外展開している会社・・・主として大手監査法人
2.国内拠点が多く、売上規模が1,000億円以上の会社・・・大手or準大手
3.上場会社(拠点数が少なく、売上規模が1,000憶円未満の会社・・・中小または公認会計士事務所の共同監査
以上のように、主として、グローバルに海外展開していたり、売上規模が1,000憶円以上の会社はほとんどが上場会社となります。
上場会社で、規模が大きい会社は監査法人を選ぶべきです。なぜなら、上場会社の場合は監査責任者が二人以上必要であり、長くても7年間のローテーションにより監査責任者は交代しなければいけません。交代要員の多い監査法人を選ぶのが自然な流れとなります。
ただし、監査報酬は大手監査法人を筆頭に毎年値上げしている現状であり、監査コストについての負担は多くなります。
公認会計士事務所を選ぶべき会社等
① 上場会社でも単一事業を営み、売上規模300億円以下の会社は監査コスト面を考えると、公認会計士事務所の共同監査も選択肢に入れるべきです。
② 非上場の会社法監査、医療法人監査等法定監査で、売上規模300億円未満の会社等
③ 任意監査の会社等
以上の会社特に②と③の会社の場合、監査法人を会計監査人に選んでも何のメリットもありません。
デメリットは
・監査報酬が高い
・監査が形式的で、会社の実情に見合った密なコミュニケーションのある監査は期待できない。
・非上場のみを監査している監査法人の場合は、結局、名ばかり監査法人であり、個人の公認会計士事務所の寄せ集めの組織のため、間接コストを考えると、公認会計士事務所の方が監査コストも安く、監査責任者も代表一人であり責任と権限の所在が明確と言うメリットがあります。
おわりに
今後、法定監査の対象となり会計監査人を探しておられる組織の方、単一事業を営み、監査法人の監査を受けているが監査報酬の値上げを提案されている組織の方は、上記公認会計士事務所を選ぶべき会社等に該当しませんか?
該当するなら、迷わず、個人の公認会計士事務所を会計監査人に選任しましょう。
参照ブログ)監査法人より個人の公認会計士事務所を選任すべき会社等とは
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。
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