メニュー

ブログ - 大阪で会計士の監査は横田公認会計士事務所

〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島3-18-9 新大阪日大ビル5F

tel:06-4862-7812

お問い合わせはこちら

ブログBLOG

公認会計士の仕事内容(会計監査等)と税理士との違い

カテゴリ: 監査 最終更新日:2020年09月12日(土) 公開日:2020年09月12日(土)

はじめに

公認会計士と税理士は、それぞれ会計や税務に関する業務を行うため、同じような業務を行っている(混同している)方が多いかもしれません。
しかし、それぞれに独占業務があり、その仕事内容は大きく違っています。

公認会計業務と税理士業務の相違点

税理士と公認会計士は、それぞれに該当の資格を取得していないと行うことができない独占業務があります。

公認会計士の独占業務は、組織の「監査」です。
企業等が作成した財務諸表等に重大な誤りがないかどうか、公認会計士が第三者の立場から監査し、評価します。

会計監査業務は公認会計士か監査法人のみ行うことができる独占業務です。

当初は、公認会計士が大企業も含めてすべての企業等を監査していましたが、大企業になると、業務も複雑になり、また、過去に上場企業で粉飾決算が多発し、社会問題となったことも有り、個人の公認会計士の監査ではなく、組織的にチームを組んで監査を行うことが求められるようになりました。

その結果として、会計監査業務を専門に行う組織を「監査法人」と呼びます。

少なくとも5人以上の公認会計士が所属し、チームを組んで大企業の監査に取り組みます。現在では、上場企業の監査の70%はBig4と呼ばれる大手の4大監査法人が監査を行っています。

税理士の独占業務は、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」の3つです。
税務に関する相談を受け、クライアント(納税義務者)からの依頼を受けて税務申告書の作成や提出の代行などが主な業務となっています。

税理士が所属している事務所は、「税理士事務所」「会計事務所」と名乗ることが多いです。

公認会計士は税理士登録することもできますが、税理士が公認会計士として登録することはできません。

ですので、公認会計士・税理士として「会計事務所」を名乗る公認会計士もたくさんいます。

公認会計士は税理士の「上位資格」と思われる方もいらっしゃいますが、公認会計士試験は「租税法」の科目として数問が問われるのみです。

そのため大手監査法人を含めて、監査法人で監査業務のみしか経験していない公認会計士の税務の知識は一般の方より少し上といった程度でしょう。

ですので、税理士登録して税理士業務を行う公認会計士は「会計事務所」や「税理士事務所」に所属して、税務に関する実務を何年か経験する人が多いのが現状です。

公認会計士の仕事内容

税理士の仕事内容については、自営業の方や確定申告を経験した方ならある程度わかっているのではないでしょうか。

ここでは、公認会計士の仕事内容について詳しく記述します。(興味のある方は読み進めてください)

【監査】

企業から学校法人、公益法人など幅広い対象について、独立した立場から監査意見を表明し、財務情報の信頼性を担保します。監査業務には、法定監査と法定監査以外の監査があります。

(法定監査)

法令等の規定によって義務付けられているものです。主なものは、次のとおりです。

  • 金融商品取引法に基づく監査特定の有価証券発行者等が提出する有価証券報告書等に含まれる財務計算に関する書類(貸借対照表や損益計算書等)には、公認会計士又は監査法人の監査証明を受けなければならないとされています(金融商品取引法第193条の2第1項、同第2項)。
  • 会社法に基づく監査大会社及び委員会設置会社は、会計監査人を置くことが義務付けられています(会社法第327条、同第328条)。また、会計監査人を置く旨を定款に定めれば、すべての株式会社は会計監査人を置くことができます。会計監査人の資格は、公認会計士又は監査法人でなければいけません。
  • 保険相互会社の監査
  • 特定目的会社の監査
  • 投資法人の監査
  • 投資事業有限責任組合の監査
  • 受益証券発行限定責任信託の監査
  • 国や地方公共団体から補助金を受けている学校法人の監査
  • 寄付行為等の認可申請を行う学校法人の監査
  • 信用金庫の監査
  • 信用組合の監査
  • 労働金庫の監査
  • 独立行政法人の監査
  • 地方独立行政法人の監査
  • 国立大学法人・大学共同利用機関法人の監査
  • 公益社団・財団法人の監査
  • 一般社団・財団法人の監査
  • 消費生活協同組合の監査
  • 放送大学学園の監査
  • 農業信用基金協会の監査
  • 農林中央金庫の監査
  • 政党助成法に基づく政党交付金による支出などの報告書の監査
  • 社会福祉法人の監査
  • 医療法人の監査

など

(任意監査)

  • 法定監査以外の会社等の財務諸表の監査(※)
  • 特別目的の財務諸表の監査

※法定監査以外の組織のおいても、その組織の財務情報の透明性・信頼性の保証を受けたい組織は、公認会計士の監査をいつでも受けることは可能です。例えば、マンション管理組合など

【税務】

公認会計士は税理士登録をすることにより、税務業務を行うことができます。

税務業務の事例としては、次のようなものがあります(税理士の仕事内容)。

  • 税務代理(申告、不服申立て、税務官庁との交渉など)
  • 各種税務書類の作成
  • 企業再編に伴う税務処理及び財務調査
  • グループ法人税制、連結納税制度などの相談・助言
  • 移転価格税制、タックスヘイブン税制についての相談・助言
  • 海外現地法人、合弁会社設立を含む国際税務支援
  • その他税務相談・助言

【コンサルティング】

独占業務ではありませんが、監査業務を行って得た経験を活かして、経営戦略の立案から組織再編、システムコンサルティングなど、経営全般にわたる相談・助言を行うことも可能です。

コンサルティング業務の事例としては、次のようなものがあります。

  • 相談業務(会社の経営戦略、長期経営計画を通じたトップ・マネジメント・コンサルティング)
  • 実行支援業務(情報システム・生産管理システム等の開発と導入)
  • 組織再編などに関する相談・助言・財務デューデリジェンス
  • IFRSに関するコンサルティングや業務支援
  • 企業再生計画の策定・検証
  • 統合報告の実施支援
  • 環境・CSR情報の相談・助言
  • 株価、知的財産等の評価
  • Trustサービス(WebTrust、SysTrustの原則及び基準に基づく検証・助言)
  • システム監査、システムリスク監査(システム及び内部統制の信頼性・安全性・効率性等の評価・検証)
  • システムコンサルティング(情報システムの開発・保守・導入・運用・リスク管理等に関するコンサルティング)
  • 不正や誤謬を防止するための管理システム(内部統制組織)の立案・相談・助言
  • 資金管理、在庫管理、固定資産管理などの管理会計の立案・相談・助言
  • コンプライアンス成熟度評価
  • コーポレート・ガバナンスの支援

【組織内会計士】

公認会計士は多くの一般企業等でも活躍しています。

  • 経理業務(財務諸表の作成、M&A、国際税務、連結納税など)
  • 財務業務(財務方針・財務戦略の策定、経営分析結果の経営計画への反映など)
  • IR業務(経営情報の管理・分析・発信など)
  • プロジェクト業務(内部統制の構築、IFRSの導入など)

 おわりに

以上、公認会計士仕事内容と税理士の違いについてお分かりになりましたでしょうか。上記の通り、公認会計士の仕事内容は、経営者・経理・財務部門を主に対象として仕事をしており、その他の営業職や技術職の方と多く接する仕事ではありません。そのため、公認会計士の仕事内容につて社会一般的に認知度が低いといえるのではないでしょうか。

因みに監査業務の中に緑色で記載した監査がなにか?不思議に思われた方はおられるでしょうか?当事務所が得意とする監査業務です!学校法人の監査、労総組合の監査も順次受け付けております。

監査法人ではできない、柔軟な対応と費用対効果の高い監査を行っていますので、監査法人からの変更等や新規の会計監査人のご検討を考えておられる中堅・小規模な組織の方からのお問い合わせをお待ちしております!

公認会計士の会計監査制度の歴史を振り返る①

カテゴリ: 監査 最終更新日:2020年09月11日(金) 公開日:2020年09月11日(金)

はじめに

日本の公認会計士制度は 2018 年に 70 周年を迎えた。この 70 年間で公認会計士制度は 大きな変化を遂げていますが、その背景には企業における不適切な会計も制度変更に影響を 与えているものと考えられます。 コラムでは過去の粉飾事案を紐解き俯瞰するとともに、その時代ごとに行われた制度改正を振り返ります。個別の粉飾事案と制度改正をすべて関連付けることは困難でありますが、70 年間の変遷 をたどることは、己の資格業務の社会的期待役割を知るうえで有用と考えています。

今回の①では、昭和の時代(1945 年~1988 年)を、次回の②では平成の前半(1989 年~2007 年)を、その後の③では平成の後半である 2008 年以降の粉飾事案、制度改正を取り上げるよていです。

公認会計士監査制度の誕生と成長

この時代は、日本の戦後復興から高度成長期、バブル景気を経て、日本の経済活動が拡大した時代です。そして、日本の経済活動の拡大に呼応して、公認会計士監査制度が整備され、成長を遂げた時代でもあります。この時代の会計・監査制度の主な出来事、経済事象等 は以下の通りです。

・1948年(昭和23年)・・・公認会計士法成立、証券取引法の全面改正

・1049年(昭和24年)・・・日本公認会計士協会成立、「企業会計原則・財務諸表準則」発表

・1950年(昭和25年)・・・上場会社に対する公認会計士監査の義務付け、「監査基準・準則」設定、財務諸表規則の制定

・1951年(昭和26年)・・・公認会計士監査制度の実施

・1963年(昭和38年)・・・計算書類規則制定

・1966年(昭和41年)・・・監査法人制度の創設

・1974年(昭和49年)・・・商法特例法による監査の導入(現会社法監査:会計監査人制度の導入

・1977年(昭和52年)・・・連結財務諸表の制度化、中間財務諸表の制度化

・1982年(昭和57年)・・・商法改正(監査制度強化)、計算書類規則改正

・1988年(昭和63年)・・・計算書類規則改正

日本の公認会計士監査制度は、「公認会計士法」が成立したことに端を発っしています。この法律 が成立する前までは「計理士法」に基づいて計理士が、検査証明業務も行っていましたが、1948 年の証券取引法の全面改正及び 1949 年の証券取引所開設に当たり、証券市場における財務諸表の信頼性確保を担う新たな役割として、1948 年成立の「公認会計士法」のもと、公認会計士が生まれました。 法制度、制度設計が進む一方で、1950 年には「監査基準」及び「監査実施準則」が制定 され、翌 1951 年に初の証券取引法に基づく会計監査(証券取引法監査)が行われました。その後、1957 年 1 月 1 日より開始される事業年度より、証券取引法監査が義務化され、正規の監査として実施されることとなりました。 正規の監査が開始されたころ、日本経済は神武景気( 1954 年~ 1957 年)、岩戸景気( 1958 年~1961 年)、そしてオリンピック景気(1962 年~1964 年)と長い拡大局面と短い後退局 面を繰り返し、段階的な成長を遂げました。しかし、このオリンピック景気後の後退局面において、「日本特殊鋼」、「サンウエーブ工業」、「富士車輛」、「山陽特殊製鋼」など多くの上場企業の倒産や破綻が相次ぎました 。この倒産等を通じてその内情が白日の下に晒された結果、これらの会社の中には、単純な業績不振の会社ではなく、粉飾を繰り返していた会社が多くあったことが判明しました。これは、この景気後退局面に露呈はしたものの、それ以前の好況とされていた局面から繰り返し実施されていたものだったのです。

山陽特殊製鋼事案

粉飾の手口としては、架空売上や各種費用の圧縮、在庫の水増しなどで、詳細な手口の内容までは不明ではあるものの、監査基準で求められる手続を実施すれば見つけられた不正も多くあったものと推察されています。本当に監査人は不正に気づいていなかったのでしょうか。 ここに、この事件が粉飾決算史上 1、2 を争う著名な事件として扱われる理由があります。 同社の監査人たる公認会計士は、大蔵省、東京証券取引所に呼ばれた際に次のように答えたとされています。 「7 年前から粉飾を知っていた。しかし、荻野社長から『明るみに出せば会社が困難な事態に直面するので書かないでほしい』といわれたので押さえた」 つまり、監査人は粉飾の事実に気づいていたが、監査報告書上なんら表現することも無く、適正意見を表明し続けたのです。 これを受け、同社の関与公認会計士については、1958 年 3 月から 1964 年 9 月を虚偽証明期間として、1965 年 9 月 4 日付けで、公認会計士法上に基づく懲戒処分として、登録抹消の処分が行われています。この公認会計士は上述の粉飾の黙認に加え、監査補助者を使用していなかったにもかかわらず、使用していたものとして監査概要書に虚偽の記載を行っていた とのことであり、単独の監査で独立性が保持しにくい状況にあったものと推察されます。

事案を受けての制度変更

当該事案を含む、この公認会計士監査成長期の各種粉飾事案を経て、監査の実効性に大きな疑念が生じたのは言うまでもありません。この監査の実効性への疑念を払拭するために、大蔵省は 1965 年 8 月に「当面の審査方針」を決定し、重点審査を実施しました。その結果、多くの粉飾決算会社が発見され、公認会計士監査制度の制度としての脆弱性が露見することとなりました。そこで、公認会計士法の改正等各種措置が講じられることとなったのです。代表的な制度変更として以下の4つがあります。

・監査法人制度の導入

・監査基準等の改訂

・商法監査(現会社法監査)の導入

・日本公認会計士協会の特殊法人化

組織的監査の発展

山陽特殊製鋼の事案をきっかけとして、( 1)監査法人制度の導入、(2) 監査基準の改訂、( 3)商法監査の導入、( 4)日本公認会計士協会の特殊法人化と大きく公 認会計士監査制度が変わっていきました。 昭和期においては、もう一つ公認会計士制度に大きな影響を与える事件が起きました。それ が不二サッシ事件です。不二サッシ事件は、山陽特殊製鋼の事案と同様に公認会計士が粉飾決算を知りながら、監査報告書にサインをしたとされています。特に問題視されていたのが、公認会計士1人で、監査を実施し、監査報告書にサインをしたことです。 この事件を通じて、1978年9月に大蔵省は、「公認会計士監査における組織的監査の徹底と独立性の保持について」を日本公認会計士協会に通達しています。上記を受けて、日本公認会計士協会は、1979年6月に「組織的監査要綱」を公表しています。このことにより公認会計士監査は、組織的監査へと大きく舵を切ることになったのです。

監査制度の改訂

不二サッシの事案で、公認会計士が故意による虚偽証明を行った要因として単独監査を行っていたことが指摘されました。前述した山陽特殊製鋼の事案をきっかけとして監査法人制度が導入されました。しかし、不二サッシの事案を通じて、個人の公認会計士による単独監査の実施が、監査人の独立性を害した要因として、改めて浮き彫りになり、これに応じて1978年9月に大蔵省は、「公認会計士監査における組織的監査の徹底と独立性の保持について」を日本公認会計士協会に通達しています。また、東京、大阪等の証券取引所は、1978 年9月に「財務内容の適正開示について」を公表し、単独監査をやめ、少なくとも2人以上 の監査責任者を置くように監査体制を整えるように要請しました。 上記を受けて、日本公認会計士協会は、1979年6月に「組織的監査要綱」を公表しています。 「組織的監査要綱」の狙いは、「監査に適する組織を整えるとともに、その運用の妙を発揮し、もって監査の目的を完全に遂行するにある。」とされ、「監査は、一定の方針のもとに指揮命令の系統と職務権限の分担とを明らかにした組織によって遂行されなければならない」としています。 上記は、①指揮命令系統と②職務分担の明確化を定めたものであるとされています。

上記の①指揮命令系統と②職務分担の明確化により、単に複数人による独立性の担保というだけでなく、「組織的監査要綱」の狙いとする監査に適する組織を整え、運用の妙を発揮し、もって監査の目的を完全に遂行することを目指しています。 そして、その後公認会計士監査は、監査法人による監査が中心となっていくこととなります。

おわりに

近年では監査を組織として行うことが一般的になっていますが、監査法人制度導入の狙いは下記の3つであるといわれています。 「①ある程度の規模の人的組織によって、監査を担うことで、組織的監査が可能になる ②ある程度の人数の人間が出資をすることで、財務的基盤を強化し、独立性を高める。 ③組織として監査することで、相互牽制が可能になり、かつ、品質管理システムの維持・運用が可能となる」。監査法人は、この後、合併を繰り返し大規模化して、企業のグローバル化に対応し、IT化に対処していくことになります。しかし、大規模化していく中でガバナンスの問題等が生じることとなるのです。組織的監査が有効に機能するためには、常にその組織の課題を把握し、 改善していく不断の取組みが必要とされると考えられます。

以上は大規模な被監査会社の監査には監査法人の監査が適しているということであり、中・小規模被監査会社の場合は、当事務所のように個人事務所による組織的監査(ベテラン監査人のチームによる監査)が適していると自負しています。

税理士事務所を例に働き方改革!コロナ禍でテレワークが必須?!

カテゴリ: 暮しのお役立ち 最終更新日:2020年09月10日(木) 公開日:2020年09月10日(木)

はじめに

新型コロナウイルスの感染が広がる中、2020年8月、日本感染症学会が「今、日本は第2波のまっただ中にいる」との見解を示したことが報じられました。さらに感染症シーズンの冬場には、第3波が来るとの見通しもあります。

新型コロナウイルスの感染拡大は、税理士事務所の働き方にも大きな影響を与えています。今後を見据え、テレワークや在宅勤務を導入しようと考えている税理士等士業の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、そのような方へ向けて「コロナ禍でどう対応すべき?税理士事務所の働き方改革!」と題し、お役立ち情報をお届けします。

オンライン会議の上座は?話題になった議論とその顛末

コロナ禍の今、離れた場所でもコミュニケーションがとれるオンライン会議は身近になりつつあります。そうした動きに比例して、オンライン会議にまつわる議論も活発になりました。

たとえば「オンライン会議では何分前に集合したらいいのか?」「服装はどこまで気を付ければいいのか?」など、マナーに関する議論もその一つです。その中でも最近話題を集めたのは、「オンライン会議の上座はどこか?」という議論だそうです。

この議論、当初は新時代到来の足をひっぱる古いマナー意識だとネットニュースで話題になっていたようです。ところが2020年9月、オンライン会議システムの「Zoom」が上座機能を追加したことで状況が一変しました。会議の度に上座の設定で時間をとられていたユーザーのストレスが解消されるとともに、使い勝手がよさそうな機能だとの評判が広まっています。

働き方改革の切り札としてのテレワーク

2017年から、総務省、厚生労働省、経済産業省など複数の中央省庁の連携によって行われている「テレワーク・デイズ」という取り組み。この中でテレワークは働き方改革の切り札として位置づけられています。では、政府の取り組みとして具体的にどのようなことが発表されているのでしょうか。

「テレワーク・デイズ」の発表資料によると、近年のテレワークには2つの変化が見られます。
変化の一つは、制度のあり方です。従来のテレワークは福利厚生的な使われ方であったのに対し、最近では経営戦略として認識されるようになりました。すなわちテレワークは、あればいい制度から、なくてはならない制度へと変化しているのです。

もう一つの変化は、テレワーク制度の対象者です。従来は育児・介護者など一部に限定されていましたが、最近では全社員が対象となりました。テレワーク制度の対象者について、もはや垣根がなくなっています。

また、「テレワーク・デイズ」の発表資料では、テレワークにより生産性が1.6倍向上した事例なども取り上げられています。テレワークは、新型コロナウイルス感染症対策としてはもちろんのこと、生産性向上の面からも導入効果が期待できるのです。

このように働き方改革の切り札として、テレワークは日本全国で大きく推進されています。

税理士事務所のテレワーク実態調査に関する詳しい情報はこちら

コロナ禍で働き方改革が急進!税理士がおさえるべき3つのポイント

では令和の時代、税理士事務所がテレワークや在宅勤務を取り入れる際には、どういった目線が必要なのでしょうか。おさえるべき3つのポイントを順にご紹介いたします。

1:テレワークは、withコロナとafterコロナで考える

withコロナ(ウィズコロナ)とは、ワクチンがまだない中で、3密回避などの手段で感染拡大を防ぐ、現在の状況です。それに対しafterコロナ(アフターコロナ)とは、ワクチンなどである程度コロナ禍をコントロールできるようになった状況を指します。

テレワークを考える際は、withコロナとafterコロナの2つの視点が必要です。つまり、目下の対策と中長期の対策、その両方を検討する必要があります。

たとえば、オンライン会議の導入を検討する際は、顧問先と会うことが制限されているwithコロナの視点から、どのように運用していくかを検討することになるでしょう。加えて、afterコロナの視点から、オンライン会議の運用開始が、長期的に見て顧問先との面会にどのような影響をもたらすかも同時に検討しなければなりません。

2:在宅勤務は、顧問先、事務所、スタッフの三方良しで考える

在宅勤務を導入するかどうか、導入するとしたらどの程度とするか、税理士事務所だけでなく、おそらく日本中の企業が考えていることでしょう。考える際のポイントは、顧問先、事務所、スタッフの三方良しです。

例えば顧問先からオンライン会議ではなく、実際会いたいと要望があったとします。お客様の要望ですから応えないわけにはいきません。しかし同時に、事務所としてのリスクやスタッフの健康面を思うと、戸惑いを感じることもあるのではないでしょうか。

このような場合、顧問先との取引関係を見直し、ときには断る勇気が求められるのかもしれません。コロナ禍においては、お客様ファーストを掲げていればよかった従来と異なり、顧問先、事務所、スタッフの三方良しで考えなければならないのです。

3:基本業務は真っ先にクラウド化を図る

オンライン会議のみならず、インターネットを使って情報をやり取りできるクラウドサービスは、コロナ禍により急速に普及しています。そしてこのようなクラウド化の動きは、働き方改革にも大きな影響を与えています。コロナ禍とクラウド化、この2点は働き方改革が急進している要因となっているのです。

税理士事務所のテレワークや在宅勤務を考えるとき、最大のポイントとなるのは、会計や給与、税務などの基本業務のクラウド化を図るということではないでしょうか。

従来、税理士事務所においては事務所にサーバーを設置するオンプレミスの会計専用機しか選択肢がありませんでした。しかし近年では、安心して利用できるクラウドサービスが登場してきています。その中には、会計、給与、税務など税理士事務所で必要となる業務一式がオールインワンで揃ったクラウドサービスもあります。

顧問先に会うことが制限されている今、オンライン会議のシステムのようなクラウドサービスの活用を検討することも急務ではあります。しかしそれと同時に、税理士事務所においてテレワークや在宅勤務を導入するのであれば、基本業務である会計、給与、税務のクラウド化もそれ以上に大切なのです。

税理士事務所におけるテレワークの実態調査からわかること

実際のところ、テレワークや在宅勤務について税理士事務所ではどのような取り組みがなされているのでしょうか。

いい税理士が集まるメディア「Lanchor(ランカー)」の運営元であるMikatus株式会社では、2020年5~6月にかけて全国の税理士事務所のみなさん177名(うち税理士146名)を対象に、新型コロナウイルス感染拡大の影響とテレワーク導入に関する実態調査を実施しました。

【調査結果のポイント】
●影響を感じている税理士事務所は69%
●過半の税理士事務所がテレワークを導入済み
●85%の税理士事務所は課題があってもテレワークを運用できていると回答

この調査では、過半の税理士事務所がテレワークを導入済みであることが明らかになりました。日本税理士会連合会(日税連)が4月上旬、テレワーク導入を推進する方向性を示したことも、少なからず影響しているものと思われます。

「テレワークを始めるために、どんなクラウドサービスを導入したのか?」「運用している税理士事務所ではどんな課題を抱えているのか?」

おわりに 

多くの税理士事務所にとって、働き方改革とは未知なる領域へのチャレンジともいえるのではないでしょうか。大変な状況ではありますが、苦難に負けず知恵を合わせ工夫してがんばっていきましょう。

成年年齢の引き下げと影響:相続税の未成年者控除の引き下げなど

カテゴリ: 税務 最終更新日:2020年09月08日(火) 公開日:2020年09月08日(火)

はじめに

成年年齢が、令和4年4月から、現行の20歳から18歳に引き下げられます。約140年ぶりに成年の定義が見直されることで、何が変わるのか、私たちの暮らしにどのような影響がもたらされるのか、今から心構えをしておきましょう。

未成年者控除

相続人が未成年者の場合に相続開始時の年齢に応じて相続税額から一定額を控除する未成年者控除の対象者が、令和4年4月1日以後開始の相続等から18歳未満となります。

これは上記の通り成年年齢が民法の改正により20歳から18歳に引き下げられることによる見直しで、未成年者控除額は「(18歳-相続開始時の年齢)×10万円」で計算することになります。

すでに、未成年者控除を受けたことがあるものが2回目以降で控除できる額は「“最初の相続等に係る控除可能額”からすでに控除を受けた額の合計額を控除した額」すなわち最初の相続税額から引ききれなかった残額となります。

ただ、今回の改正に伴い、最初の相続等が令和4年3月31日までに、2回目以降の相続等が令和4年4月1日以後に開始すると、2回目以降の控除可能額の計算で用いる“最初の相続等に係る控除可能額”は「(18歳-最初の相続開始時の年齢)×10万円」で計算しなおす必要があります。

例えば、1回目の相続が平成30年(2歳、相続税額100万円)に、2回目の相続が令和5年(7歳、相続税110万円)に開始した場合を想定すると、1回目の控除可能額は180万円(=(20歳-2歳)×10万円なので、相続税から控除される額は全額の100万円となります。一方、2回目は、1回目相続時の年齢が18歳に達するまでの年齢で計算しなおした控除可能額160万円(=(18歳-2歳)×10万円)から既往額100万円を引いた額の60万円(=160万円-100万円)が控除される額となります。

尚、このほか民法改正に伴う見直しとして、相続時精算課税制度における受贈者の年齢要件が令和4年4月1日以後の贈与から18歳以上になります。

おわりに(その他何が変わる?)

成年に達すると、未成年のときと何が変わるのでしょうか。
民法が定めている成年年齢は、「一人で契約をすることができる年齢」という意味と、「父母の親権に服さなくなる年齢」という意味があります。成年に達すると、親の同意を得なくても、自分の意思で様々な契約ができるようになるということです。

例えば、携帯電話を契約する、一人暮らしの部屋を借りる、クレジットカードをつくる、高額な商品を購入したときにローンを組むといったとき、未成年の場合は親の同意が必要です。しかし、成年に達すると、親の同意がなくても、こうした契約が自分一人でできるようになります。また、親権に服さなくなるため、自分の住む場所、進学や就職などの進路なども自分の意思で決定できるようになります。
さらに、10年有効のパスポートを取得したり、公認会計士や司法書士、行政書士などの資格を取得したりすることもできるようになります。

また、女性が結婚できる最低年齢は16歳から18歳に引き上げられ、結婚できるのは男女ともに18歳以上となります。

一方、成年年齢が18歳になっても、飲酒や喫煙、競馬などの公営競技に関する年齢制限は、これまでと変わらず20歳です。それは健康面への影響や非行防止、青少年保護等の観点から、現状維持となっているようです。

年末調整手続電子化10月からスタート

カテゴリ: 暮しのお役立ち 最終更新日:2020年09月07日(月) 公開日:2020年09月07日(月)

はじめに

10月からスタートする年末調整手続の電子化では、従業員が、保険料控除等の証明書(控除証明書等)をデータで取得することになりますが、データで取得できないケースもあるということです。

年末調整手続きの電子化

 これまで主に紙ベースで行ってきた

   控除証明書等の取得

   年末調整申告書の作成

   勤務先への提出

以上を電子化し、手続を簡便化するものです。保険会社などからデータで取得した控除証明書等を、国税庁が無償提供する年末調整申告書の作成ソフトウェア(年調ソフト)等にインポートすれば、自動入力、控除額の自動計算が行われ、従業員の申告書の作成が容易になります。

勤務先においても、チェック・検算や給与システムへの入力が不要となるなどのメリットがあります。

これらのメリットのいくつかは、控除証明書等のデータでの取得が前提となります。

ただし、発行者である保険会社等においてデータでの提供が義務ではないことも有り、今年は準備が整わず、顧客への控除証明書等のデータでの提供を見送るケースもあるようです。

税務署が発行する住宅ローン控除証明書についても、データで提供できるのは、居住年が令和元年(平成31年)以後のものに限られています。

さらに、居住開始年分の確定申告書をe-Taxで提出し、e-Taxによる電子データでの交付を希望することが必要となります。

おわりに

控除証明書等をデータで取得できなかった場合、従来通り紙で提出することになりますが、紙とデータでの提出が混在することになりますが、紙とデータでの提出が混在することに法律上の問題はありません。紙で提出する場合でも年調ソフトの仕様などにより一定のメリットは得られるということです。

また、電子化は段階的に行うことも可能です。

今年は、控除証明書等の提出は従来通り紙のみとし、年末調整申告書は年調ソフトを使って作成・データで提出するといった対応なども可能です。まずは、今年の電子化の方針を決定することが必要となるでしょう。

法人が中間申告をする場合の実務ポイント(コロナ禍、公認会計士からのアドバイス)

カテゴリ: 税務 最終更新日:2020年09月04日(金) 公開日:2020年09月04日(金)

はじめに

 新型コロナウィルス感染症は経済活動に大きな影響を与えており、資金繰りの関係から中間申告について、前年度実績による予定納税ではなく、仮決算によることを検討している法人も多いと思われます。今回は法人税の中間申告、対象、方法、計算の仕方、コロナ禍の特例など、基礎的なことからコロナ禍の特例について記載します。

法人税の中間申告、納付とは何?

前事業年度の法人税額が20万円を超えると、翌事業年度に法人税の中間申告と納付を行う必要があります。この中間申告は、課税期間で確定申告することにより決める年税額の前払いをしているイメージです。そのため、中間申告をして、納付した税額があるときは、確定申告をした際に中間申告で納付した税額が控除されます。また、控除しきれなかったときには払い過ぎとなった税金が還付されます。

この中間申告には1.予定申告という方法と2. 仮決算にもとづく中間申告の2つの方法があります。
(参照元URL:国税庁HP 中間申告の方法

法人税の中間申告の対象となる人、時期

中間申告が必要なのは、前事業年度の法人税額が20万円を超える場合です。中間申告が必要となったとき、その提出期限と税金の納期限は、事業年度開始後6月を経過した日から2月以内です。なお、法人税の中間申告の対象となる人は、地方税(都道府県税、市町村民税、事業税等)についての申告も必要です。

中間申告の方法、計算の仕方など

中間申告には1.予定申告という方法と2. 仮決算にもとづく中間申告の2つの方法があります。

  1. 予定申告による場合は、前事業年度の法人税の2分の1の額が法人税額となります。法人税額の計算方法は、「前事業年度の確定申告書に記載すべき法人税額を当該前事業年度の月数で除し、これに6を乗じた金額」と規定されています。そのため、まず、前事業年度の確定申告書に記載すべき法人税額を前事業年度の月数で除して(円未満の端数切捨て)、その整数値に6を乗じて計算します。なお、100円未満の端数は切捨てします。
  2. 仮決算に基づく申告方法では、その事業年度開始の日以後6か月の期間を1事業年度とみなして法人税額を計算します。

予定申告をするときは、税務署から送られてきた予定(中間)申告書用紙に必要事項を記入した上で、捺印をして税務署に提出します。この予定(中間)申告書用紙については、前事業年度の法人税の確定申告書をe-Taxにより提出した場合は、税務署から送付されません。予定申告書用紙を送付しない法人に対しては、「法人税予定申告のお知らせ」がe-Taxの利用者本人のメッセージボックスへ送信されます。e-Taxソフトを使用している場合には、このお知らせ内容から「法人名」、「納付すべき税額」等の欄が初期表示された予定申告書の作成画面に移り、作成・送信することができます。

なお、後述しますが、中間申告については、申告書を提出しなかったとしても、自動的に申告があったものとみなされます。仮決算に基づく中間申告を行う場合は、中間申告対象期間で年度決算と同じように法人税の申告書を作成し、提出します。仮決算をした場合は、中間申告書に、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書及び勘定科目内訳明細書等を添付して提出する必要があります。年度の確定申告書の添付書類とは異なっていますので注意してください。

中間申告は電子申告できる?

中間申告であっても、事業年度末の確定申告と同様にe-tax・eLTAXを利用して電子申告をすることができます。また年度と同様にダイレクト納付を利用して納税することもできます。

中間申告の勘定科目、仕訳方法

中間申告で納付した法人税等はあくまで年税額が確定していない段階での仮払いのような状態です。そのため、納付した法人税等の額を「仮払金」や「未払法人税等」のマイナスとして処理するのが一般的です。年度決算で法人税等の額が確定したときに、仮払金を取り崩し、年税額との差額が未収入金(未収法人税等)もしくは未払法人税等となります
もしくは、納付した法人税等を「法人税、住民税及び事業税」の勘定科目で計上することもあります。

中間申告をしなかった場合の特例

中間申告書の提出がない場合の特例が設けられており、中間申告書の提出が必要な事業者が提出期限までに中間申告書を提出しなかったときは、その提出期限の日に中間申告書の提出があったものとされ、前事業年度の法人税の年税額を基準にして計算された法人税額が確定することとなります。
なお、納付すべき法人税等の納付が遅れた場合、実際に納付した日までの延滞税を本税と併せて納付しなければなりません。

納税額が少なくなる方を選択することも

年度の法人税の支払についてはしっかりと把握していても、中間申告については時期や金額をうっかり忘れてしまっていることもあります。そんなときは、突然の税金の支払で資金繰りに慌てることになるかもしれません。中間申告について理解した上で、事前に資金計画の中に織り込んでおきましょう。また、予定申告でするか、仮決算に基づく中間申告をするかは、事前の届出も必要ありませんので、都度選択することができます。そのため、どちらか、納税額が少なくなる方を選択するということもできます。

新型コロナウィルス感染症の影響による期限の延長

災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、納付等につき、期限までにこれらの行為をできないと認められるときは、そのものの申請により、その期限を延長することができ(国通法11)、この規定による期限の延長については利子税、延滞税がかかりません。

新型コロナウィルス感染症の影響については、経理担当部署の社員が感染し部署を相当期間閉鎖しなければならなくなったこと等により通常の業務体制が維持できない状況が生じたことなどの理由により、申告書や決算書類などの申告・納付の手続きに必要な書類等の作成が遅れ、その期限までに申告・納付等を行うことが困難な場合などが該当しますが、このような理由以外であっても、感染症の影響を受けて期限までに申告・納付が困難な場合には、期限の延長ができます。

現状は、申告の際、申告書等の余白に「新型コロナウィルスによる申告・納ス期限延長申請」である旨を付記すれば適用できることとされており、申告期限及び納付期限は原則として申告書の提出日となります。

中間申告においても同様で、中間申告書の提出ができることとなった時点で、その提出の際に、その申告書の余白部分に提出期限の延長申請である旨を記載して提出することにより、事後的に提出期限の延長が認められます。

さらに、中間申告書を提出することが困難な状態が確定申告書の提出期限まで続く場合には、中間申告書の提出は不要となります。この場合、確定申告書のお提出の際に、確定申告書の余白に、中間申告書は新型コロナウィルス感染症の影響により提出できなかった旨を記載します。その際の納付については、中間申告での納付がありませんから、確定申告書で1年分をまとめて納付することとなります。

現状のコロナ禍、中間申告についても柔軟な取り扱いができることとなっていますので、これから中間申告を控えている法人の経理担当の方は十分これらの取扱についてアンテナを張って国税庁等の発する最新の情報を入手するようにしてください。

公認会計士の会計監査!AI導入で不正会計が発覚しやすくなるか!

カテゴリ: 監査 最終更新日:2020年09月03日(木) 公開日:2020年09月03日(木)

はじめに

企業の不正や経済関連の事件が多発している

2016年は上場企業の不正会計や粉飾決算による融資詐欺が多発し、大きな問題になった年です。

実際に、不適切な会計・経理を開示した上場企業は57社で、前年の52社を9.6%も上回っていました。なかでも、東証一部上場の大企業による不正会計の増加がみられました。大企業は、株主、従業員、関連会社や取引先、金融機関など多くの関わりを持ち、その影響は非常に大きいものです。こうした事件が発覚すると、同じ業態や類似の事件が起こりえる企業で臨時にヒアリングや調査が行われたり、より厳密な対応が求められることもありました。そうした潜在的な影響まで含めると、ある特定の企業が起こした不祥事でも、社会全体に与える影響は大きいでしょう。

しかし、報道された事件のように、監査法人が不正な会計処理を発見できず、後になっていくつもの不適切な処理が発覚するケースもあります。しかし、監査によって不正が発見され、是正された場合は、不適切な財務書類が外部に漏れることなく、企業の内部だけで事態が収束することになります。つまり、公認会計士が「監査」という職務をまっとうした場合、それは公認会計士の立場からすればごく当然なのかもしれませんが、さながら「影のヒーロー」のようで、実はものすごくカッコいいことなのではないでしょうか。

監査は公認会計士の独占業務。その社会的な役割と今後

公認会計士の業務は、公認会計士法によって「財務書類の監査」・「財務書類の内容証明」と定められています。これは公認会計士だけが行える業務であり、監査した財務書類の内容が適正であることを独立した第三者として公に証明することができます。

公認会計士の仕事は、監査対象の業務に貢献するだけでなく、監査対象の財務書類の内容を公に証明することによって、第三者に監査対象の判断材料となる情報を提供することにもつながっているのです。

財務書類は、その法人の優良性や健全な経営が行われているかを判断する重要な材料です。投資や融資だけでなく、取引先や就職先を選ぶときなど、あらゆる場面で必要とされる情報です。その際、財務書類が適正で虚偽の内容が含まれていないことが大前提となります。だからこそ、財務書類の信頼性を確保するため、財務書類の内容を証明する「監査」は、公認会計士の独占業務とされているのです。

企業の健全な経営を守り、社会全体に情報を提供する業務でありながら、監査業務の認知は一部の人や業種に限られています。公認会計士の仕事に対しても「数字を扱う」「細かい」といったばくぜんとしたイメージを抱く人が多く、監査の認知度はさらに低いと思います。財務書類に関する監査と内容の証明が、公認会計士にしか認められない業務であると知らない人も少なくないのではないでしょうか。その理由ですが、公認会計士が関わるのは、主に財務書類を第三者に公開する必要がある法人や団体で、しかも財務や経理などの部門以外には接触する機会が少ないこともあり、中小企業や個人でも関わる機会の多い税理士さんとくらべて、なじみが薄いと思われているのでしょう。

しかし、人口減少や高齢化により、中小企業を中心に事業承継や経営統合の事案が増加していくことは予想でき、それに比例して監査業務の需要は今後増加していくと考えられます。

AI導入で監査業務は効率化されるのか

さて、公認会計士が行う監査は「法定監査」と「任意監査」の2種類に分けられます。

法定監査は、所得税法や国税通則法などで規定される調書の提出義務者に対して実施される監査で、この場合の監査対象は主に上場企業などになり、中小企業や個人事業主には、法定監査を受ける義務はありません。法定監査が行われるタイミングは、期末や四半期などの決まった時期や特定の条件下で実施するよう、法律で定められています。そのため、決算が集中する時期(3月決算)には監査業務も集中し、公認会計士にとっては繁忙期となります。

一方の任意監査は、法律による義務ではなく、必要に応じて、任意のタイミングで行われる監査です。その企業との間に利害関係がある、もしくは発生する可能性のある企業や団体、投資家などの求めに応じて行われます。企業提携や事業譲渡の事前調査や融資先としての信頼性の確認など、法律とは関係なく、特定の目的のために独自に行われる監査であるため、実施されるタイミングは決まっていません。

こうした監査で不正が見過ごされてしまうのはなぜでしょうか。監査の限られた時間内に、すべての財務データに目をとおすことは不可能です。そのため、重要性の高い高額の取引や無作為に抽出した取引だけを検証する試査が中心でした。この方法では、監査対象にならない取引に不正があった場合や意図的に隠された不正を発見することは難しくなります。

特に経営者が意図的に粉飾に加担した場合は、内部統制が無効化され、不正リスクが増大します。

ところで、最近では監査にAIを導入する取り組みも始まっています。AIを活用すれば、全財務データを分析することも可能です。勘定科目間の相関の検証だけでなく、財務データと営業や業務などの非財務データの相関から異常点を抽出する監査手法も取り入れられています。もちろん、AIだけで監査ができるわけではありません。AIが異常点として抽出した取引について、その内容や会計処理の経緯を踏まえて、不正であるか否かを判断する必要があります。AIが分析したデータに人間の知見を組み合わせることで、精度の高い監査を効率よく行うことが可能になるのです。

おわりに

いまはまだ、AIは一部の大手監査法人にしか導入されていませんが、技術革新や普及に伴い、現在の会計ソフトと同じように誰もがAIを使用できる時代が来るでしょう。当事務所のような個人事務所でもAIを活用した監査を行うことができるはずです。膨大な検証作業はAIに任せて、監査人はAIが抽出したデータの検証や折衝に注力することで、より内容の濃い監査を行うことができます。また、繁忙期に監査が集中しても残業続きになることがなくなれば、ワークライフバランスも向上すると考えられます。

そうした時代の波のなかで本当に重要なのは、監査業務に臨む公認会計士としての矜持ではないでしょうか。公認会計士は健全な企業経営と経済活動を内側から支える仕事です。監査をビジネスというだけでなく、社会的な影響力を持つ仕事であると自覚し、信念や誇りをもって働ける人こそがAI時代の公認会計士として望ましいと思います。

当事務所もAI時代の公認会計士として、時代に乗り遅れないようアンテナを張って大手監査法人のような杓子定規の監査ではなく、AIを取り入れつつ経営者とのコミュニケーションを密にした監査業務を続けていくつもりです。

会計監査関連~四半期の非財務情報~

カテゴリ: 監査 最終更新日:2020年08月31日(月) 公開日:2020年08月31日(月)

はじめに

新型コロナウィルスの感染拡大を踏まえた対応として、同感染症の影響による提出遅延の場合、有価証券報告書や四半期報告書等の提出期限について各企業が個別の申請を行わなくとも9月30日まで延長されています。

その提出状況が懸念された四半期報告書ですが、3月末決算の上場会社の97%が縁にすることなく期限内に提出しています。

四半期の非財務情報

   今回の四半期報告書においては同感染症関連の非財務情報の開示も重要なポイントとなっています。

金融庁は同感染症に関する非財務情報の開示について留意点を示しており(7月1日公表)、非財務情報については、「事業等のリスク」における同感染症の影響や対応等の変更等、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容から重要な変更があった場合には、四半期報告書において当該変更の具体的な内容を記載することが求められています。

例えば日東化工は四半期報告書において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて、重要な変更があった旨を開示しています。

同社は「新型コロナウィルス感染症等の異常事態リスク」という項目を設け、「前事業年度の有価証券報告書において、新型コロナウィルス感染症か躯体の影響は、2021年3月期第2四半期に概ね収束するものと想定」していたものの、「足元の受注状況や、感染動向に鑑みて、2021年3月期の第2四半期までは深刻な状況が継続し、その後緩やかに改善しはじめ、2021年3月期の第3四半期にはおおむね収束するものと想定しております」と、収束時期の想定を見直した旨開示しています。

おわりに

8月も最終日となりましたが、新型コロナウィルス感染症の陽性者は7月をピークに緩やかに減少してきているようです。

皆さんは、収束の時期をいつごろと予想されていますか?私は、今後も増減を繰り返し、治療薬やワクチンが開発されるまでは収束が見通せないのでは?と少し悲観的に感じています。コロナ禍においては、皆さんそれぞれ、小さな楽しみを見つけて小さな楽しみの中乗り越えましょう。一刻も早い治療薬やワクチンの開発を期待しています。

コロナ禍ではありますが、各種会計監査のご相談・お見積りは横田公認会計士事務所が随時受付しておりますので気軽にご連絡ください。

「free」(フリー)「マネーフォワード」クラウド会計ソフトの特徴

カテゴリ: 税務 最終更新日:2020年08月29日(土) 公開日:2020年08月29日(土)

はじめに

会計ソフトは早くから存在していますが、クラウド化で確定申告までをサポートするなど、効率化が進んでいます。さらに経営分析や先々の資金繰りを予測し、資金調達の具体的提案を行う機能も登場しているのです。

クラウド会計ソフト「free」(フリー)

クラウド会計ソフト「free」では、法人向け、個人向けのサービスがあり、法人向けでは帳簿や決算書作成、請求業務に対応しています。個人向けでは、日々の経理から確定申告までを効率的に行えます。

注目したいのは「資金繰り改善ナビ」で、現金および預金の過去9か月分の残高推移と、翌3か月の残高予測がグラフで表示され、資金繰りの傾向を把握できることです。

残高予測のグラフは、同社が「会計freee」で蓄積したビッグデータとAIを活用し独自に開発したロジック(特許出願中)と、「会計freee」に取り込まれているユーザーの過去の資金推移を基に算出され、80%以内の確率で下限ラインと上限ラインの間に収まる予測が表示されるということです。

その結果をもとに資金繰りを改善するための手段も提示されます。提携金融機関に融資を申し込む「オファー型融資」、freeeに登録された売掛債権をオンラインで現金化する「請求書ファイナンス」、スモールビジネス向けのクレジットカードから借り入れを行う「freeeカード」、の3種類です。

データを開示することで、自社の財務状況に応じた資金調達可能額が試算され、借入手続が簡便なほか、借入審査に落ちるなどの事態を減らすことができます。

「スモールビジネスを世界の主役に。をミッションにビジネスを強くスマートに育てるためのサービスの開発、提供を目指しています」(運営会社:freee)

マネーフォワード

「マネーフォワードME」を提供するマネーフォワードはその法人向けクラウドシステムとして「マネーフォワードクラウド」も展開、個人事業や法人の会計においても「お金の見える化」を進めています。

「マネーフォワードクラウド」は会計、確定申告、請求書、経費、給与、勤怠、マイナンバーといったサービスを組み合わせることができ、「マネーフォワードクラウド確定申告」では、銀行やクレジットカードの明細データを自動取得して仕訳を提案、確定申告が手軽になります。

スマホからでも申告が完結できるよう、機能開発がすすめられています。「サービス、小売、情報通信など、様々な業種の個人事業主に利用されている」(運営会社:マネーフォワード)。

またクラウド型経営管理システム「Manageboard」を連携させることで、売り上げ目標やコストから、将来の業績やキャッシュフロー予測もできます。

経営資源が限られている個人事業主やフリーランスにとって、帳簿作成や税務の効率化に加え、経営面でのヒントが得られる利点があるといえます。

おわりに

会計、申告の実務が簡略化されるメリットは大きいですが、会計、税務について一定の知識を持ち、正しく記帳されるための設定を行うことが大切です。そうした点を支援するのもいいと思います。

公認会計士の監査業界の現状(金融庁のレポート)及び監査人交代理由の実情

カテゴリ: 監査 最終更新日:2020年08月27日(木) 公開日:2020年08月27日(木)

はじめに

2020年7月14日、金融庁の公認会計士・監査審査会は「令和2年版モニタリングレポート」を発表しました。

同レポートでは、監査事務所の状況などの最新情報が、一般の人々にもわかりやすく提供されています。新型コロナウイルスによって、日本社会は多大な影響を受けていますが、会計・監査業界ではどのような変化があったのでしょうか。

このコラムでは金融庁の「令和2年版モニタリングレポート」について、その中身を検討します。

モニタリングレポートとは

モニタリングレポートは2016年より、金融庁の公認会計士・監査審査会によって年次で作成・公表されているのです。

目的は、「監査や会計の専門家はもとより市場関係者及び学生や社会人など一般の人々をも読者として想定。審査会が実施するモニタリング活動の状況と成果を中心とした監査業界の現状や環境変化への対応を含む関連情報を分かりやすく提供することによって、監査の重要性に関する社会の理解を推進」するためとのことです。

(引用:「令和2年度モニタリングレポート 主なポイント」|公認会計士・監査審査会

レポート内容については、監査事務所や被監査会社の概況に関するデータを更新したり、審査会のモニタリング活動を通じて収集した最新情報を追加したりなど、年ごとに改訂されています。

年ごとによって傾向や特徴が当然異なっています。今回は、2020年7月14日に発表された「令和2年版モニタリングレポート」の中身について確認します。

「令和2年版モニタリングレポート」4つのポイント

まずは「令和2年版モニタリングレポート」のポイントから説明します。以下、4つのポイントにまとめられています。

Ⅰ.監査業界の概観

・公認会計士、監査事務所、被監査会社などの状況

・公認会計士試験関係及び金融機関監査、IPO支援業務に関する情報

Ⅱ.審査会によるモニタリング

・直近4事務年度の検査における大手監査法人、準大手監査法人と中小規模監査事務所の総合評価の状況など審査会の活動状況(制度の概要、審査、報告徴収及び検査の状況)

Ⅲ.監査事務所の運営状況  

・会計監査人の最新の異動状況などモニタリングを通じて把握した監査事務所の運営状況

・事務作業を集中処理する組織の構築に関する事例など、監査業務をサポートする組織体制について

Ⅳ.監査をめぐる環境変化への対応

・ITを活用した監査やグローバルネットワークとの連携の状況

・新型コロナウイルス感染症拡大の影響と対応

・監査に関する基準等の最近の動向や公表された重要な報告

レポートは全122ページとかなりの量となっていますが、理解しておきたい重要な内容を紹介します。

今回のモニタリングレポートのここだけは押さえておきたい

Ⅰ.監査業界の概観

大手監査法人(4法人)が、上場被監査会社の監査業務収入の83.6%を占めています。この寡占傾向は、日本だけではなくアメリカやイギリスでも同様です。

なお所属公認会計士の割合は、大手監査法人が8割で、準大手・中小監査法人が2割となっています。また日本公認会計士協会に所属している所属公認会計士の7割が、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の地域会に所属しています。

監査法人数は、2020年3月末時点では246法人で、増加傾向にあります。昨年は236法人でしたが、13法人が設立され、3法人が解散・合併によって消滅しました。2016年には214法人あった監査法人が、5年の間で32法人も増えていることがわかります。

その大半が中小規模の監査法人で、25 人未満の法人が全体の9割を占めている状況です。一方で、準大手の監査法人は吸収合併によって減少傾向にあります。

Ⅱ.審査会によるモニタリング

業務運営における総合評価について公表されています。

監査事務所の業務運営の状況に応じて、5段階評価をつけており、最上位区分である「概ね妥当である」に該当する法人はありませんでした。すべての法人が、「妥当でない点がある」(改善すべき点はあるが、業務運営が概ね良好と認められる場合)以下となっています。

Ⅲ.監査事務所の運営状況 

監査法人のガバナンス・コードを踏まえた取組について言及されています。

ガバナンス・コードでは、監査法人が果たすべき役割、組織体制(経営機能)、組織体制(監督・評価機能)、業務運営、透明性の確保という5つの原則が定められています。

令和2年7月1日時点で、このガバナンス・コードの採用を表明しているのは、大手監査法人及び準大手監査法人のすべてと、中小監査法人のうち8法人です。

5つの原則を実践して、実効的な組織運営を実現するために、自律的な対応を各監査法人に求めています。

Ⅳ.監査をめぐる環境変化への対応

会計監査人の異動に関して、合併による異動の影響を除き、過去5年で最多の142件を記録しました。といっても昨年は、138件で大幅な増加ではありません。

近年は、大手監査法人から準大手監査法人以下への異動傾向が見うけられます。大手から大手への異動は、28件(前年は25件)にとどまりました。

異動理由については、今まで「任期満了」がもっとも多く、実質的な理由は記載されていませんでした。しかし東京証券取引所の改訂版「会社情報適時開示ガイドブック」において、交代理由の開示が求められた結果、2020年では皆無となっています。

現在では、交代理由としては大手監査法人が「監査報酬」で最多。「継続監査期間」「会計監査人からの辞任等」が続きます。一方で、準大手監査法人及び中小規模監査事務所は「会計監査人からの辞任等」、「監査報酬」、「グローバルな監査体制」が、異動理由として挙げられています。

なお、より規模の小さい監査事務所へ異動した際、監査報酬が減少するケースは約8割です。

このような状況で、新たな監査報酬の算出方法を検討する動きが起きています。しかし報酬面だけではなく、ITの活用による1人当たり労働時間の短縮などの働き方改革や、新型コロナウイルスの影響による在宅勤務の実施など、業界全体で新しい環境変化への対応が求められているのが実情です。

会計監査人の働き方だけではなく、監査業務におけるAIやITの利用、サイバーセキュリティ対策など、IT・最新技術への投資が盛んになっています。

おわりに

「令和2年版モニタリングレポート」について検討しました。近年の傾向や問題点などをつかむことで、これからの監査業界について考察する手がかりにしてみてください。

会計監査人の異動の理由として、大手・準大手・中小事務所を経験した私の考えを大まかにまとめると

・監査報酬を抑えたい会社・・・大手監査法人→準大手監査法人又は中小規模監査事務所

・継続監査年数による監査の品質低下を危惧する会社・・・大手監査法人→他の大手監査法人

・監査法人と意見が対立する会社・・・大手監査法人→準大手監査法人又は中小規模監査事務所

・会社内部の不正等が発見された会社・・・大手監査法人又は準大手監査法人→中小規模監査事務所

以上のケースが私の考える会計監査人異動の現実です。ご参考までに。