監査報酬は安くても満足度の高い会計監査をご提供(非上場の法定監査等)
当事務所が提供する各種法定監査等
当事務所が提供する各種法定監査等は以下の会計監査です。
・非上場の会社法監査(売上規模約500億円以下)
・学校法人の会計監査
・医療法人の会計監査
・社会福祉法人の会計監査
・労働組合の会計監査
・その他任意監査
当事務所の実績と方針
当事務所は過去に当時東証一部上場の会社(現東証プライム)の監査を他の個人の公認会計士事務所と共同で実施しておりました(上場会社だけは二人以上が監査報告書へサインしなければならないため)。期間は2010年~2017年です。当該期間に東芝の不適切会計問題があり、金融庁の対応も厳しくなってきておりましたが、当事務所としては金融庁の検査等でもなんら指摘事項はないとのお墨付きをもらっています。
上記の経験から、当事務所は、他の多くの個人の公認会計士事務所のように、大手監査法人出身というのみで、上場会社のサインをした経験のない個人事務所ではありません。
上記の経験を基にして、当事務所の方針は、上場会社の監査は、近年、規制当局への書類作成作業が監査工数の大半を占める現状から上場会社を監査すると非上場の各種監査も検査等の対象となるため監査工数の増加が非上場会社等へも派生し、規制当局への書類作成作業により事務所全体の監査工数が増加します。結果として、すべての関与先の監査報酬を値上げせざるを得なくなるため、敢えて上場会社の監査はお断りしております。
当事務所の監査メンバーの状況
原則、私が監査責任者として現場に同行し、全般的な監査業務を1年通してほぼすべての日程に対応いたします。
その他の監査メンバー(補助者)は実務経験を重視し、最低でも実務経験20年以上の公認会計士または公認会計士試験合格者となります。
またすべての補助者は税務申告業務を複数年行っており、会社等の税務の知識も有しております。
上記の通り熟練の「監査」経験と「税務」の知識も踏まえた会計監査を行うことが可能となり、税務対応等でお困りのクライアントに対しても的確にアドバイスが可能となっております。
会社の会計処理は、監査と税務の両面への対応が必要と考えておりますので、税務の知識がほとんどない大手監査法人等の補助者は上場会社の経理組織のように、監査対応と税務対応の両方が別々の人員で可能な人員豊富な組織であれば監査基準等のみの知識で監査を行うことが可能となりますが、非上場の中小規模の組織であれば「監査」と「税務」の業務を明確に分離することは不可能ではないかと考えています。
そのような組織にも対応できるよう、当事務所の補助者に求める知識は豊富な「監査」の実務経験と「税務」にも対応できる知識を有する人材を重視しています。
ただし、過度に税務に偏った監査を行うことはありません。あくまで会計監査上認められる最低限度の税務処理を踏まえた上での監査を実施する方針としています。
監査報酬の相場(会社法監査の製造業の例)
毎年、日本公認会計士協会から「監査実施状況調査」として、金商法、会社法、学校法人、医療法人など毎の売上規模別の監査報酬の平均額等が公表されております。
ご参考)監査実施状況調査2020年度
上記資料を見れば、例えば「会社法監査で製造業、売上規模10億円~1,000億円以上」の会社の監査報酬の全国平均額が公表されています(上記「監査実施状況調査2020年度」ページ10)。
一例として以下会社法監査:製造業:売上規模別の監査報酬平均額を紹介します。
(売上規模) (会社数)(平均監査報酬)
1.10億円未満 82社 7,670千円
2.50億円未満 128社 7,016千円
3.100億円未満 166社 10,998千円
4.500億円未満 716社 12,611千円
5.1000億円未満 194社 16,537千円
6.1000億円以上 215社 35,983千円
総計・総平均 1,501社 15,541千円
※50億円未満は10億円以上50億円未満となります(以下同じ)。
日本公認会計士協会が公表する「監査実施状況調査」においては業種別では、その他「建設業」「卸・小売業」「不動産業」「サービス業」など九つの業種ごとに監査報酬の平均額が売上規模別に公表されていますので、ご自分の会社等の監査報酬が平均額と比べてどうなのかという参考にしてください。
当事務所の監査報酬の一例
上記製造業の売上規模別で当事務所の場合の監査報酬の見積額は以下の通りです。
1.10億円未満 ・・・・・・・・・4,800千円~5,200千円
2.10億円以上50億円未満・・・・5,400千円~6,200千円
3.50億円以上100億円未満 ・・・6,800千円~7,500千円
4.100億円以上500億円未満・・・8,000千円~10,000千円
500億円以上は省略
いかがでしょうか。2020年度の主として監査法人等の平均監査報酬と比べ3割以上安い報酬にて、満足度の高い会計監査を行うことが可能です。
2021年度(2022年3月までに決算を終えた会社の1年間)の監査報酬は、まもなく日本公認会計士協会が「監査実施状況調査」を公表し明らかになりますが、昨今の監査報酬の値上げラッシュの影響を受けて、2020年度の平均監査報酬よりもかなり上回っているのは間違いないでしょう(2021年度監査実施状況調査が公表されればブログにてアップしていきます)。
※上記の当事務所の報酬に幅があるのは個別の会社の事情により(特に内部統制の整備状況や経理の決算作業能力等)監査工数が増減することが原因です。
当事務所の監査報酬が安い理由
それでは、当事務所の監査報酬が一般的な平均監査報酬に比べて安くても満足度が高い監査を実施できる理由について簡単にご紹介します。
1.間接コストが安い・・・監査法人の場合海外提携事務所への上納金が発生します。また、最小の監査法人においても5名以上の社員(役員)が必要なため少なくとも5名分の役員報酬が固定費として発生します。当事務所においては、海外に展開する会社を監査の対象としていないため、上納金はなし。また、個人の公認会計士事務所のため他の役員の固定報酬もありません。
2.実務経験20年以上のメンバーで監査を行うため、大手監査法人を代表とする監査法人における新人や実務経験5年未満で監査の時間に手間取るようなメンバーがいません。新人や監査効率の低い経験の浅い会計士等の行う監査時間も実績の集計においてベテラン会計士と同じく集計され、翌年の監査報酬は前年実績に単価を乗じて算定されます。
※大手・準大手では単純作業を資格のない職員が実施しその時間が実績の半数近くを占める状況です。
監査の単価も一般的には1の間接コストを反映して、高い順に大手>準大手>中小監査法人>個人事務所の順番となります。
3.上場会社の監査をあえて行わないため、金融庁の検査や公認会計士協会のレビュー(大手監査法人の場合は毎年実施される)に対応する間接時間を省略できることと検査やレビューの結果の指摘事項に対して次年度から実施しなければならない事務所共通の監査作業=監査調書の作成の時間も省略できます。
実は、この金融庁や協会から要求される作業に対する調書作成時間が毎年増加傾向にあり、監査実績時間のかなりの部分を占めてきています(これが被監査会社等にはわかりづらい値上げの原因となっている)。また一方で人手不足も毎年ひどくなり、監査法人は近年毎年監査報酬の値上げを実施せざるを得ないのです。
おわりに
ここ数年、監査法人等会計監査人の異動(交代)が毎年増加しています。非上場会社の交代は公表されないため、上場会社を例にすると、2020年は142社、2021年は219社、2022年はもうすぐ終わりますが、当事務所の集計で11月までですでに前年越えの234社となっています。
参考)2022年の会計監査人の交代も高水準!異動理由は監査報酬の見直しが3分の2!
2022年12月現在、上場会社数は約3,800社となっていますので、1年で6%以上の会社が会計監査人の交代を行っていることになります。
トレンドは大手監査法人から中小監査事務所へ!監査報酬の値上げが大手ほど活発に行われています。また人手不足によって、逆に割に合わない被監査会社を大手は契約継続したくないため監査報酬を1.5倍や2倍で提示し、会社が任期満了で交代するのを促しているのが実情です。
このような監査業界の実情の中、非上場会社も監査報酬の値上げラッシュは続いていくでしょう。当事務所では人的資源に限りがあるため、あと数社しか監査の契約をできませんので、『監査報酬が安くても満足の高い会計監査』を求めている組織の方は直ぐにご連絡ください。3月決算の会社等はすでにかなり日程が厳しく、規模によってはお断りする場合がありますのでご了承ください。
ご参考)個人の公認会計士事務所による会計監査はメリットだらけ!
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。
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四半期決算短信へ一本化後の公認会計士等のレビューの有無は開示すべき!
はじめに
自民党・金融調査会の企業会計に関する小委員会は12月7日、四半期開示などをテーマに会議を開催しました。経済団体、投資家、公認会計士それぞれの意見を聞き、議論を行いました。
四半期決算短信へ一本化後の公認会計士等のレビューのあり方
四半期開示については、金融庁のディスクロージャーワーキング・グループで検討が進んでいますが、現行の四半期報告制度を四半期決算短信に一本化する方向となっています。
これを受けて今回の自民党の企業会計小委員会も四半期開示の今後を中心に検討がなされました。金融庁をはじめ、民間、関経連、経団連、公認会計士に見解や課題を聞き、特にその中で挙げられたのが、四半期短信の一本化後の公認会計士等のレビューのあり方です。
金融庁案では、決算短信一本化後はレビューを義務化しないものの、任意のレビューを可能としながら、決算短信レビューの有無を明記する考え方が示されています。
各団体からの出席者からも「任意のレビューを受けたか開示すべき」との意見が出ました。鈴木小委員長は会議後「投資家目線でもレビューを経たものかどうか走るべき情報だ。小委員会でもその方向で働きかけたい」と述べました。
一本化後の虚偽記載に対する法令上の罰則の必要性についても議論されました。誤謬の場合でも影響を最小限にとどめるためにはレビューが必要との声もありました。
おわりに
将来的には四半期開示を任意化し、適時開示の充実で対応するという当面の方向性については小委員会として賛同しています。
ただし、そのためには、新型コロナのような予見しがたい事象が生じたとき、企業が業績への影響を判断し、積極的に開示するような環境が必要との認識です。
個人的には将来事象は企業により業績への影響が異なることであり、企業の判断も経営者等の考え方に左右され、バラバラの対応となることを考えると四半期開示の任意化には賛成しかねます。
以上
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非上場の監査対象会社の中間決算もレビューへ変更される?!
はじめに
金融庁・金融審議会は11月、ディスクロージャーワーキング・グループの第3回会合を開催しました。
速報性などの観点から、四半期開示を取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化する案が示されています。将来的には短信を任意化し、適時開示を充実させる制度に見直す案も浮上しています。
その将来的な方向性は、取引所規則での短信の任意化・適時開示と金商法での半期報告書・有価証券報告書となり、その際に非上場会社も上場会社の半期報告書の枠組みを選択可能とする事が提案されています。
では、そもそもの上場会社の四半期開示の議論について見ていきましょう。
四半期短信一本化後の方向性
金融庁は、第1・3四半期は取引所規則に基づく四半期短信に一本化し、第2四半期は半期報告書として引き続き金商法上の開示を求める方向性案を示している。
加えて、「将来的な方向性」として、四半期短信を任意化して適時開示に重点を置く案を打ち出している。
企業環境の変化や情報技術の進展等を背景に「企業が都度発信する情報の投資判断における重要性が高まっている」として、期中の重要な発生・決定事実について、信頼性を確保しつつ適時に開示することが考えられると提案しています。
四半期短信義務付けと適時開示
まず、四半期短信については、速報性や投資家の利用状況などの観点から一本化することが適切だとしています。
その上で、「積極的な適時開示により期中において充実した情報が適時に提供される環境が確立されれば、必ずしも一律に四半期決算短信を求める必要はないとの考え方もある」とした。ただ、当面は短信を一律に義務付けし、適時開示の状況を見て任意化のタイミングを検討する方向のようだ。
公認会計士等のレビュー任意化などの論点
一本化後の四半期短信の開示内容については、速報性を確保しつつ、セグメント情報やキャッシュ・フローなどの項目の追加を東証で検討することが提案されている。
この点は実務不安の面から難色を示す委員と、投資家にとって重要な情報だと述べる委員で意見が分かれている。
また、四半期短信に監査人によるレビューは義務付けしない方向とされた。近店について金融庁は以下の考え方を示しています。
・企業において任意によるレビューの利用を可能とするとともに、情報提供の観点からレビューの有無を四半期決算短信に明記する。
・会計不正が起こった場合や企業の内部統制の不備が判明した場合に取引所規則により一定期間レビューを義務付ける。
一方、半期報告書においては、現状の第2四半期報告書と同様にレビューとするとの意見で一致しています。
おわりに
当面、第1・3四半期は決算短信に一本化され、第2四半期は半期報告書となることで意見は一致しているようですが、意見が分かれているのは、将来的に第1・3四半期短信の廃止および半期報告書と適時開示のみでよいのかどうかの議論と第1・3四半期決算短信のレビューの取り扱いをどうするかの議論、この2点は今後の会合の行方を見ていきましょう。
個人的には情報開示の充実と最低限の保証の確保という観点から、第1・3四半期決算短信は今後も引き続き開示し、レビューの有無を義務付けるのではなく明記することが投資家にとって一番有用な制度ではないかと考えています。
ただし、レビューの無い四半期決算短信において不適切な開示が散見されれば、レビューの義務付けは必要となるのではないでしょうか。
非上場会社において、中間決算・レビューが導入されると我々公認会計士業界はますます人出不足で監査報酬の値上げのトレンドは今後も続きそうです。
参考ブログ)監査報酬の相場を教えて?!各社の現状と報酬の見積もりについて
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
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会計監査人の異動(2022年11月)15社中11社が監査報酬の値上げで中小へ
はじめに
直近11月の監査人の異動もほとんどの会社が実質監査報酬の値上げを理由に会計監査人を交代しています。この流れはここ数年続いており更に加速しているようです。
異動理由の一般的な表現としては以下のように各社記載しています。
「監査環境の変化等により近年の監査報酬が増加傾向にあることから、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性等を踏まえ~」
上記のような異動理由はすべて監査報酬の値上げの提示を受けたものと理解して間違いないと考えています。
具体的な異動理由の開示例
1.大手監査法人→中小監査事務所
株式会社 PLANT/東証スタンダード(7646)
IR公表日 :2022/11/10
移動年月日 :2022/12/19
退任監査人 : 有限責任監査法人トーマツ
就任監査人 : 清稜監査法人
異動理由 :任期満了
監査役会が清稜監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、当社の事業規模に適した会計監査人としての独立性、専門性、品質管理体制及び監査報酬の相当性等を総合的に勘案した結果、当社の会計監査人として適任であると判断したためであります。
上記と同様に大手から中小への交代はその他5社(総数6社)ありました。
2.大手監査法人→準大手監査法人
株式会社キャリアデザインセンター/東証プライム(2410)
IR公表日 :2022/11/15
移動年月日 :2022/12/16
退任監査人 : EY新日本有限責任監査法人
就任監査人 : 太陽有限責任監査法人
異動理由 :任期満了
監査等委員会が太陽有限責任監査法人を会計監査人の候補とした理由は、当社の事業規模に適した会計監査人としての専門性、独立性、経済性、監査品質の確保、監査計画及び監査体制の適切性を有し、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を整えており、当社の会計監査人として適任であると 判断したためであります。
上記を踏まえ、以下の「異動の決定に至った経緯」に下記のような文言があります。
~今般、EY新日本有限責任監査法人より、監査法人をめぐる環境が厳しい中、翌事業年度の監査業務を差し控えたい旨の申し出がありました。 これを受け、上記のような状況下においても当社の事業規模に適した監査対応と監査品質の両面から、適正な水準の監査を提供できる体制を有するものと判断し、新たに太陽有限責任監査法人を会計監査人として選任するものであります。
最近出版された週刊誌の特集記事に、太陽有限責任監査法人は準大手ではなく「ビッグ5」と呼んでもいいのではないかとの記事がありましたが、監査証明業務の売上高だけを見ればビッグ4のPwCあらたの半分程度の売上高まで迫っています。
同週刊誌の会計士1人当たり売上高もビッグ4のあずさを上回っています。
ただし、会計士の在籍者数があずさ3,083人に対し、太陽は380人です。
まだビッグ5と呼ぶことはできないのではないでしょうか。
太陽有限責任監査法人を数年前に辞めた知人から聞いた情報によると、大手監査法人の受け皿となれる理由は別にあるようです。
おわりに
ブログの表題の通り、2022年11月は15社中11社が監査報酬の値上げ等を理由に中小監査事務所へ交代を決定しました。
大手から中小へ6社、中小からより規模の小さい中小へ5社、大手から準大手は2社、準大手から中小は1社、大手から大手へ1社です。
さらに、監査報酬が理由の11社以外の4社の異動理由は、①解散する仁智監査法人からの異動、②一時会計監査人(個人)から中小監査法人が就任、③不適切会計による中小間の異動、④監査継続年数長期化による大手間の異動、となっています。
結論として、大手間の異動と不測の事態での異動を除き会計監査人の異動(交代)はほぼ100%監査報酬の値上げが原因と言えるのではないでしょうか。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
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地域医療連携推進法人制度の概要及び公認会計士等による監査
はじめに
地域医療連携推進法人とは、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、病院等に係る業務の連携を推進するための方針(医療連携推進方針)を定め、医療連携推進業務を行う一般社団法人を都道府県知事が認定(医療連携推進認定)する制度です。
制度について
地域医療連携推進法人は、医療機関相互間の機能の分担及び業務の連携を推進し、これにより競争よりも協調を進め、地域において質が高く効率的な医療体制を確保することにより、地域医療構想を達成するための一つの選択肢として創設された法人制度です(厚生労働省 医政局長 平成29年2月17日 医政発0217第16号「地域医療連携推進法人制度について」(以下「医政発0217第16号」という。)
地域医療連携推進法人制度は、医療機関の機能の分担及び業務の連携を推進するための方針を定め、当該方針に沿って、参加する法人の 医療機関の機能の分担及び業務の連携を推進することを目的とする一般社団法人を、都道府県知事が地域医療連携推進法人として認定する仕組みです(医政発0217第16号第1)
参加できる医療法人等
社員として参加できる法人は、病院等を開設する法人(医療法人等)、 介護事業等の施設又は事業所を開設する法人であり、営利を目的とする法人は除かれます。また参加法人に加え、地域において良質かつ適切な医療を効率的に提供するために必要な者(個人開業医等)を社員とすることができます(医政発0217第16号第2)。
実施できる業務
地域医療連携推進法人は病院等に係る業務の連携を推進するための方針(医療連携推進方針)を定め、医療連携推進方針に沿った連携の推進を図ることを目的として行う次に掲げる業務(医療連携推進業務) その他の業務を行うことができます(医政発0217第16号第2 1)。
① 医療従事者の資質の向上を図るための研修
② 病院等に係る業務に必要な医薬品、医療機器その他の物資の供給
③ 資金の貸付けその他の参加法人が病院等に係る業務を行うのに必要な資金を調達するための支援(一定の場合)
④ 医療機関の開設(一定の場合)
地域医療連携推進法人の監査
地域医療連携推進法人はその財政規模に関係なく、全ての法人に対して、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならないとされています(医療法第70条の14、第51条第5項)
監査の対象は、医療法人についての規定を準用し、財産目録、貸借対照表、損益計算書とされています(医療法第70条の14、第51条第5項)
おわりに
地域医療連携推進法人は2017年にスタートした制度で、2021年10月末現在29法人が認定されています。「骨太の方針2021」が地域医療連携推進法人制度の活用等による病院の連携強化や機能強化・集約化の促進を求めるなど、同推進法人の活用を後押しする動きが出てきています。
病院の再編統合、共同購入や研修等は地域医療連携推進法人でなくとも実施可能であり、実際、法人認定を受けない緩やかな連携で進めているところもあるようです。地域医療連携推進法人化したほうが良いかどうかは、今のところ、そういう形があったほうが進めやすいかどうか、参加法人の考え方によるでしょう。
以上
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医療法人において収益認識会計基準の適用は必要か必要ないのか?!
はじめに
医療法人においても収益認識会計基準の適用の必要性があるのかどうか及び検討状況について考えてみましょう。
医療法人会計基準に記載のない会計基準の取り扱い
医療法人について、収益認識会計基準の適用に言及した通知等は公表されていません。
医療法人会計基準に記載のない会計基準については、「医療法人会計基準について(Q&A)(平成30年3月30日厚生労働省医政局医療経営 支援課事務連絡)」において、次のように示されています。
① 医療法人会計基準について(Q&A)Q18【資産除去債務に関する会計基準の適用について】Aなお書き
『なお、資産除去債務に関する会計基準に限らず、医療法人会計基準に記載のない会計基準について、適用しないことにより財務諸表の利用者が誤解を招く恐れがある場合には、適用の必要性について監査人と十分協議することが必要となる。』
② 医療法人会計基準について(Q&A)Q19【会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準の適用について】Aなお書き
『なお、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準に限らず、医療法人会計基準に記載のない会計基準について、適用しないことにより 財務諸表の利用者が誤解を招く恐れがある場合には、適用の必要性について監査人と十分協議することが必要となる。』
まとめ
上記を踏まえると、収益認識会計基準について、適用しないことにより財務諸表の利用者が誤解を招くおそれがある場合には、適用の必要性について監査人と十分協議することが必要となると考えられます。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
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学校法人の会計処理:クレジットカード払いによる寄付金の計上時期など
Q1.クレカによる寄付金の計上時期
学校法人甲は、R5年3月に寄付金を受領することとなった。クレジットカード払いによる寄付金であるため、実際に学校法人甲に入金されるのは R5年4月である。この場合に、寄付金はいつ計上することとなるのか。
(考え方)
1.寄付金収入の帰属年度は、寄付金品の受領日の属する年度とし、寄付の申込みがあった場合でも寄付金品を受領するまでは未収入による 計上は妥当な処理として認められないとされています(学校法人実務指 針第39号第6項)
2.クレジットカード払いについて、特段の取扱いが設けられていないことから、本件のクレジットカード払いによる寄付金は、実際に学校法人甲に入金されるR5年4月に寄付金収入として計上することになるものと考えられます。
Q2. 雇用調整助成金の計上科目
新型コロナウイルス感染症の影響により、学校法人Aは、教職員を一時休業させることとした。これに伴い雇用調整助成金を申請し受領したが、この雇用調整助成金は補助金収入として処理するのか。なお、教職員には、非常勤の者が含まれている。
(考え方)
1.学校法人が様々な名目で受領した金銭その他の資産の処理を補助金収入として処理するか否かは、原資が国又は地方公共団体か否かで判断することとされています。
2.本件の雇用調整助成金のうち、雇用保険未加入者に関する助成については、国庫補助金を原資とすることから、補助金収入として処理するものと考えられます。
3.一方で、雇用調整助成金のうち、雇用保険加入者に関する助成については、雇用保険を原資とするため、補助金収入には該当せず、また、 寄付金は寄贈者の任意的行為として、募集に応じて行われたり、寄贈者の意思によって一方的に行われたりするものである(学校法人実務 指針第39号第7項)ことを鑑みると、寄付金収入として処理することもなじまないものと思われます。このため、当該助成金については、雑収入で処理することが考えられます。
Q3.給食費徴収時の会計処理
幼稚園を運営している学校法人Bは、食育の観点から、全員を対象として給食事業を行っており、給食費は授業料に含めて徴収している。この給食事業に係る経費は、教育研究経費として処理してよいでしょうか。
(考え方)
1.幼稚園における給食の提供については、文部科学省発出の「幼稚園 における食育の推進について(通知)」(平成19年1月17日18初幼教第 9号)において、給食は単なる食事の提供ではなく幼稚園における教育活動と一体のものであり、その経費は食育の観点から教育の実施に 必要な経費である旨、言及されています(日本私立学校振興・共済事業 団私学経営情報センター編「学校法人の経営に関する実務問答集<改正会計基準対応版>」No.101)。
2.幼稚園の給食費に係る会計処理については、第一に所管する都道府県からの指示に従うこととされています。ただし、所管する都道府県から特段の指示がない場合、上記1.の事情に鑑み、本件のように、一律全員に課すことを前提に授業料に含めて徴収しているケースであれば、給食の提供に係る経費は「教育研究経費(支出)」として取り扱うことも許容されると考えられます(日本私立学校振興・共済事業団私学 経営情報センター編「学校法人の経営に関する実務問答集<改正会計 基準対応版>」No.101)。
Q4.収益事業開始時の会計処理
学校法人Cが教育目的で保有していた土地 100 について、遊休状態となったため、私立学校法上の収益事業として賃貸することとし、その寄附行為の変更の認可を受けました。貸借対照表に計上していた土地は、別会計として学校法人会計の貸借対照表から振り替える必要があるでしょうか。
(考え方)
1.学校法人は、教育に支障のない限り、その収益を私立学校の経営に充てるため、収益を目的とする事業を行うことができますが、この収益事業に関する会計は、学校法人の設置する私立学校の経営に関する会計から区分しなければならないとされています(私立学校法第26条第1 項、第3項)
2.したがって、貸借対照表に計上していた当該土地は、別会計として学校法人の貸借対照表から振り替えることとなるものと考えられます。
<会計処理>
(学校会計)
(借) 収益事業元入金 100 | (貸) 土地 100 |
(収益事業会計)
(借) 土地 100 | (貸) 元入金 100 |
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。
各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。
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電子化された監査報告書等を発行する場合の被監査会社との事前合意に係る留意点
はじめに
2022年5月12日付けで日本公認会計士協会から「電子化された監査報告書等を発行する場合の被監査会社との事前合意に係る留意点(お知らせ)」が公表されましたが、その概要について見てみましょう。
事前の被監査会社との承諾
電子化された監査報告書等を発行する場合には、事前に被監査会社との承諾を得ることが求められており(公認会計士法第25条第3項、 第34条の12第3項)、当該承諾は、口頭ではなく、書面又は電磁的方法によることが必要とされています(公認会計士法施行規則第12条の2第 1項、第24条の2第1項)。
上記の承諾を得るに当たっては、被監査会社に対し、「電磁的方法の種類及び内容」として、次の事項を示さなければならないとされています(公認会計士法施行規則第12条の2第1項、第24条の2第1項)。
・監査人が被監査会社に対して受渡しを行う方法
・監査報告書のファイルへの記録の方式
電子化された監査報告書等の受渡し方法
受渡しを行う方法については、監査基準委員会研究報告第6号「監査報告書に係るQ&A」Q3-2では、公認会計士法施行規則第12条の2第2項及び第24条の2第2項に示された、次のいずれかによることが示されています。
① 電子メール
② 電子契約サービスなどのウェブサイトからダウンロードしてもらう方法
③ CD-ROM・USBメモリ等の記録媒体
被監査会社に対して、受渡しを行う方法として上記3.の①~③の方法を並列的に記載することは、被監査会社に対して明確に示したことにはならず、適切ではないと考えられています。法規・制度委員会研究報告第1号「監査及びレビュー等の契約書の作成例」の「Ⅲ2.(5)⑤ア.被監査会社から承諾を得る場合の同意書の文例」においても、受渡しを行う方法の種類を特定した文例とされています。
おわりに
被監査会社との同意書の記載においては、不測の事態に備えて代替的な方法を予備的に記載することは差し支えないと考えられています。例えば、被監査会社の事前合意の段階で電子メールによる方法を指定する際に、あらかじめ次のように記載しておくことができると考えられるため、留意しましょう。
例1:「メールサーバーの停止等の事態が生じて当該方法が利用不可能となった場合」には、「ウェブサイトでのアップロード・ダウンロード又はCD-ROM・USBメモリ等の利用によることとする」
例2:「メールサーバーの停止等の事態が生じて当該方法が利用不可能となった場合」には、「書面による監査報告書を発行する」
さて、電子化された監査報告書についてはどれほど普及するでしょうか。当事務所においては導入する予定はありません。一部上場会社等で完全ペーパーレス化された被監査会社の場合には要望があるのかもしれません。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
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上場会社監査に関する登録制の導入など:公認会計士法等の改正
はじめに
公認会計士法及び金融商品取引法の一部を改正する法律2022 年5月11 日付けで通常国会で可決・成立、公認会計士法が改正されましたが、もう一度ここでその概要について解説しましょう。
本改正は、上場会社監査の担い手の裾野の拡大や、ダイバーシティの進展・働き方の多様化といった、会計監査を取り巻く経済社会情勢の変化を踏まえ、金融庁「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」から公表された論点整理「会計監査の更なる信頼性確保に 向けて」において示された論点のうち、会計監査の信頼性確保や公認会計士の一層の能力発揮・能力向上に資する制度を実現するために行われたもので、主な改正は次のとおりです。
会計監査の信頼性確保 |
① 上場会社監査に関する登録制の導入 ② 公認会計士・監査審査会によるモニタリングの見直し |
公認会計士の能力発揮・能力向上 |
③ 監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し ④ その他の事項 |
上場会社監査に関する登録制の導入
本改正では、これまで日本公認会計士協会の 自主規制の枠組みにおいて運用されていた上場会社監査事務所登録制度について、法律の下で運用する枠組みに変更されています(公認会計士法第34条の34の2等)。
なお、制度の詳細設計と運用は引き続き日本公認会計士協会(JICPA)で実施することとされています(公認会計士法第34条の 34の6)。
また、登録を受けた監査事務所に対しては、適切な業務管理体制の整備等について、より高い規律付けが行われています(公認会計士法第34条の34の14)。
すべての監査事務所に共通の規律 | + | 上場会社等の監査へのより高い規律 |
・特定の利害関係を有する場合の業務制限 ・一定の非監査証明業務との同時提供の禁止 |
・登録制による適格性の確認 ・適切な業務管理体制の整備 (監査法人のガバナンス・コードに基づく組織運営や、情報開示の充実) |
公認会計士・監査審査会によるモニタリングの見直し
本改正では、公認会計士・監査審査会の立入検査等において、監査法人等の業務運営に加え、虚偽証明等の検証も行えることとされています(公認会計士法第49条の4第2項)。
現状の金融庁による監査法人への行政処分勧告等は、監査法人等の業務運営に対してのみでした。例えば、2022年5月31日の仁智監査法人に対する行政処分の処分理由の一部に以下の指摘があります。
『法人代表者及び品質管理担当責任者を含む各社員においては、各人の個人事務所等における非監査業務への従事割合が高く、当監査法人における監査の品質の維持・向上に向けた意識が希薄なものとなっていることから、上記の改善勧告等を法人の業務運営の根幹に関わる問題として認識していない。』
今後は、虚偽証明等の検証も行えることから虚偽証明があった場合についても直接行政処分の理由とされることが想定されます。
監査法人の社員の配偶関係に基づく業務制限の見直し
現行法では、監査法人の独立性確保のため、 監査法人の社員の配偶者が役員等を務める会社等に対して、その社員が当該会社の監査に関与するか否かを問わず、監査法人による監査業務の提供を制限していましたが、本改正では、監査に直接関与する社員等に限定した制限に見直しが行われています(公認会計士法第34条の11第1項)。
簡単に言うと、監査法人の社員の配偶者が役員等を務める会社に対しては、直接その会社の監査チームの一員として監査を行っていなくても監査法人として監査することができなかったわけですが、直接チームの一員(業務執行社員)としてかかわらなければ監査法人としては監査することができるということです。
これは、共働き世帯の増加・女性活躍の進展・監査法人の大規模化が進む中、独立性に及ぼす影響を踏まえ、配偶者である監査法人の社員が直接監査証明業務に関与するケースに業務制限の対象を限定することで、監査法人としてはより業務の幅が広がる点に注意してください。
その他の事項
その他の事項としては次の改正が行われています。
・企業等に勤務している公認会計士の登録事項に「勤務先」を追加(公認会計士法第17条)
・資格要件である実務経験期間の見直し(2年以上→3年以上)(公認会計士法第3条)
・継続的専門研修の受講状況が不適当な者等の登録抹消規定の整備(公認会計士法第21条)
・日本公認会計士協会による会計教育活動の推進(公認会計士法第44条第1項)
おわりに
施行は、公布(2022年5月18日)の日から起算して1年を超えない 範囲内において政令で定める日からとされています(附則第1条)。
会長声明「公認会計士法の改正について」 | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp)
以上
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上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。
各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。
依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。
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金融庁 中小監査法人や個人事務所も対象としたガバナンス・コードへ見直し
はじめに
金郵貯は、11月14日「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」の第7回会合を開催しました。
前回の議論を踏まえコードの見直しの方向性案が示されました。大手監査法人に限定した記載内容の削除、中小監査法人に形式的な経営機関や監督機関の設置を必須としないことなどが盛り込まれています。
日本公認会計士協会(JICPA)は中小監査法人等の体制整備支援に向けて「監査品質のマネジメントに関する年次報告書」の作成を求めるなど、具体的な取り組み案を説明しています。
監査法人のガバナンス・コード見直しの方向性案(概要)
<コードの対象>
・現行の大手監査法人を念頭に置いた記載を削除し、上場企業等の監査を担う監査法人における組織的な運営の姿を念頭に策定していることを「前文」に明記する。
・上場企業等の監査を担う共同監査事務所や公認会計士個人も対象とする。
<運用手法>
コンプライ・オア・エクスプレイン(=遵守(コンプライ)せよ、さもなくば、説明(エクスプレイン)せよ)の在り方や考え方を「前文」に明記する(形だけのコンプライではなく、コンプライしない理由や将来的な方向性の説明など)。
<JICPAの役割>
監査法人の体制整備等が実態を伴ったものになるよう、JICPAが自主規制の下で十分な指導・監督機能を発揮していくことが期待される胸を「前文」に明記する。
近年、上場企業の監査を大手監査法人から中小監査法人に交代するケースが増加していることに加え、改正公認会計士法等により、上場企業の監査を行う監査法人等はガバナンス・コードに沿った業務管理体制の整備が求められる方向にあります。
大手監査法人を念頭に置く、現状のガバナンス・コードをどのように見直すかが注目されていますが、中小監査法人等の受け入れになじむ工夫の観点に関しては、現行のガバナンス・コードでは、法人の組織的な運営に関する機能を実効的に果たすことができる経営機関の設置(原則2)、経営から独立した立場で経営機能の実効性を監督・評価する機関の設置(原則3)について見なおす方向です。
見直し案では「特別な機関を設置せずに経営機能や監督・評価機能を確保している場合は、その合理性を説明すること」、「監督・評価機能を担う独立第三者に期待する要件を開示すること」を各原則に明記することを提案しています。
おわりに
ガバナンス・コード見直し案の適用時期は2024年7月以降となりそうであり、次回の金融庁の検討会でガバナンス・コードの改定案が示される予定となっています。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。電話でのご依頼の場合も同様の項目をまずはお伝えください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。
各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。
依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。
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