内部統制の実効性向上のため内部統制報告制度の見直し!年内にも方向性!

はじめに

金融庁は9月下旬、企業会計審議会総会・第9回会計部会を開催し、内部統制報告制度(J-SOX)の見直しに向けた議論を開始しました。

導入前後は、J-SOXという言葉をよく聞きましたがここ数年、内部統制報告制度やJ-SOXについてはあまり耳にしないのではないでしょうか。

導入の2009年3月期から始まって十数年が経過した同制度について、「形骸化」が指摘されてきており、2022年事務年度の金融行政方針において、「課題を整理の上、国際的な内部統制・リスクマネジメントの議論の進展も踏まえ、内部統制の実効性向上に向けた検討を行う」としていました。

10月中旬ごろから内部統制部会において具体的な検討を行い、年内に改正の方向性が示される見通しとなっています。

見直しに当たり想定される三つの論点

見直しに当たり想定される論点は多いが、まずは、法律改正等を要しない内部統制の基本的な枠組みの見直しや、基準・実施基準の見直しに関連する論点などから先行・優先して取り組む考えが示されています。

主要な論点となりそうなものは以下の3点です。

   評価範囲の数値基準の「例示」の撤廃を含めた見直し

評価範囲の数値基準の例示は、内部統制報告制度を円滑に導入するために、目安として複数設けられたものであり、重要な事業拠点の選定では、全社的な内部統制の評価が良好であれば、例えば、連結ベースの売上高等の2/3程度に入らない事業拠点は評価の対償とする事業拠点から除外することが容認されています。

数値基準が撤廃された場合、よりリスクベースで評価範囲の選定を行うことが考えられますが、目安が無くなることで判断に悩むケースも出てくることでしょう。

   ダイレクト・レポーティングの導入の有無を含めた内部統制監査の位置づけの再検討

現行の内部統制監査は、経営者による内部統制報告書に対して会計監査人が意見を述べる方式となっています。

ダイレクト・レポーティングでは、会計監査人が被監査会社の内部統制の有効性を直接検証するため、導入された場合、内部統制報告制度の建て付けが大きく変わることとなります。

   訂正内部統制報告書の記載内容の充実・訂正内部統制監査報告書の義務付け

最近では、上場企業の不正等の発覚により、当初有効としていた内部統制について、それを有効ではないと後出しで訂正するケースが多発しています。

会社が内部統制報告書の訂正を行っても、それに対する公認会計士の監査証明はなぜか必要とされておらず、その記載内容について公認会計士を含めた第三者が適切かどうかを評価することは行われていません。

このこと自体が内部統制報告制度の形骸化の主要な要因ではないでしょうか。

訂正内部統制報告書の信頼性を確保する観点から、会計監査人に対して訂正内部統制監査報告書を新たに義務付けること必要ではないか、会社の訂正内部統制報告書の記載内容を充実させることが必要ではないかなどが検討されることになりそうです。

おわりに

金融庁の※会計審議会総会では、会計監査等を巡る動向として金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ(DWG)報告の概要の説明もあったようです。

四半期開示等が今後の検討課題とされており、年末に向けてDWGにて検討されます。

一方、内部統制部会の検討次第では、年内に、基準・実施基準の見直しに係る公開草案が示される可能性があります。

内部統制報告制度の見直しと四半期開示等に係るレビューなど会計監査人の関与が喫緊の今後の検討課題として注目されます。

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以上

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