リモートワークの環境下におけるJICPAの決算・監査上の対応状況

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はじめに

新型コロナ感染症の第4派が大阪を中心に広がっており、大阪府は今日20日にも緊急事態宣言を要請することが決定しました。今回の3度目の緊急事態宣言では昨年の緊急事態宣言と同様に、百貨店等の集客施設への休業要請等も行われるようです。どちらにしても、かなり強力な対策を行わなければ医療現場が崩壊する危機が迫っています。大阪の方はもちろんその他の地域の方もワクチン接種を終えるまで新型コロナに対しては十分注意してお過ごしください。

このような環境下、3月決算・監査がこれから本格化する時期が来ています。

新型コロナ感染症の拡大等により、リモートワークの一般化が進んで?いますが、決算・監査上の対応に当たって、参考となる情報が、日本公認会計士協会(JICPA)により順次公表されており、JICPAでの検討状況について以下まとめて記載します。

1.リモートワークを俯瞰した論点・課題の整理

企業側・ 監査人側双方のリモートワークの動向に関連する課題・論点を俯瞰的に検討し、論点整理・取りまとめを行うとともに、策定過程を通じて 外部関係者との協議・コミュニケーションを行うことが予定されています。

2.業務プロセス・内部統制の見直しに係る課題の整理

印鑑廃止に代表されるような企業のリモートワークの動向に伴う業務プ ロセス・内部統制の見直しに関する論点整理を行うほか、策定過程を通じて外部関係者との協議・コミュニケーションを行うことが予定されています。

3.電子的情報の真正性担保の仕組みの調査研究

監査人が被監査会社かPDFで企業内部の記録や文書を入手する場合における監査上の留意事項の取りまとめが行われ、2021年2月12日付けでリモートワーク対応第3号「PDFに変換された証憑の真正性に関する監査上の 留意事項」が公表されています。このほか、 電子署名、タイムスタンプ等の電子的情報の真正性を担保する仕組みに関する調査研究を行うとともに、監査上の対応を検討することが予定されています。

4.電子的監査証拠の利用の促進及び課題の整理

IAASB(国際監査・保証基準審議会)におけるISA500「Audit Evidence」改訂の動向のフォロー・意見発信のほか、ISO21378「監査データ収集」に代表される監査データ標準化に関する調査研究を行うとともに、監査上の活用方法、留意点を検討することが予定されています。

5.監査報告書の電子化に係る課題の整理

監査報告書の電子化に当たって阻害要因となるような制度上・実務上の課題の整理を行った上で、関係当局とも連携の上、対応を進めることが予定されています。

6.残高確認電子化に係る実務上の課題の整理

監査人のウェブサイト等による確認手続に対応した留意事項の取りまとめが行わ れ、2020年12月25日付けでリモートワーク対応第1号「電子的媒体又は経路による確認に関する監査上の留意事項~監査人のウェブサイト による方式について~」が公表されています。また、今後、その他の電子的確認手続の手法について検討を行うことが予定されています。

7.情報セキュリティ(リモートワークに関する課題の整理)

リモート会議及びリモート会議ツール利用に関する留意点について取りまとめが行われ、2021年2月12日付けでリモートワーク対応第5号「リモート会議及びリモート会議ツールの活用について」が公表されています。このほか、電子的情報の受渡し時の留意点など、会員に対して注意喚起を図る必要があると考えられる個別論点について、周知文書の発出を検討することや、リモートワークに対応したIT委員会実務指針第4号「公認会計士業務における情報セキュリティの指針」等の改正の要否を検討することが予定されています。

8.その他、会員に周知することが有用と考えられる事項

次の留意事項の取りまとめが行われ、公表されています。

・2020/12/25 リモートワーク対応第2号「リモート棚卸立会の留意事項」・・・直接的な実施棚卸の立会を行うことができない場合に、リモート方式で棚卸立会を実施する場合の留意事項についての解説

・2021/2/12 リモートワーク対応第4号「構成単位等(重要な子会社や重要な事業所など)への往査が制限される場合の留意事項」・・・構成単位等への往査に代えてリモートワーク方式によって監査手続 を実施する場合の留意事項についての解説

おわりに

来週から上場会社の決算発表が本格的に始まります。今が上場会社の監査の真っ最中という会社・監査法人が多い状況です。大手の4大監査法人ではすでにリモートワークによる監査を全面的に実施している法人もあります。幸い、私のような個人事務所では、会社法の会計監査や学校法人、医療法人、労働組合の監査がメインでありゴールデンウイークを境に監査が始まります。当事務所では少人数・精鋭による監査を実施しているため蜜を避けて現場に出向いて監査を行う方法がメインとなります。

また、当事務所の特徴である、効率的かつクライアントのニーズを可能な範囲で取り入れながら行う監査においては、リモートワーク監査は実施しづらい面がありますが、新型コロナ感染症には細心の注意を払いつつ、クライアントの要望を取り入れながらリモートワークでの監査についても取り入れていこうと考えています。

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い会計監査を目指しています。

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