公益法人の監査:公益法人特有の基準としての財務三基準の概要について

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はじめに

忘年会シーズンを前に、大阪市と札幌市の繁華街は午後9時まで、東京では午後10時までの時短営業の要請が出ました。これらの地域の飲食店の経営は厳しいですね。

一方で、日経平均株価は今日も上昇を続けています。株価はワクチン開発で実体経済の先を見越して景気が上昇するとみている投資家が多いようです。今、苦しい飲食店の経営者はなんとかこの時期を乗り越えられれば良いのですが。

さて、本題の公益法人特有の基準としての財務三基準の概要の説明をします。

財務三基準の概要

1.財務三基準は、公益法人制度に特有の制度である認定法第5条各号の公益認定基準において、公益社団・財団法人の財務に関連する基準として規定されているものであり、具体的には、次のとおりです。

① 収支相償

公益目的事業に係る収入が適正な費用を超えないと見込まれること(認定法第5条第6号)⇒公益法人は、その公益目的事業を行うに当たり、当該公益目的事業の実施に要する適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない(認定法第14条)

② 公益目的事業比率

公益目的事業比率が50%以上となると見込まれること(認定法第5条第8号)

⇒公益法人は、毎事業年度における公益目的事業比率が50%以上となるように公益目的事業を行わなければならない(認定法第15条)。

③ 遊休財産額保有制度

遊休財産額が一年間の公益目的事業費を超えないと見込まれること(認定法第5条第6号第9号、第16条)

2.上記1.①については、公益目的事業が、不特定多数の者の利益の増進に寄与すべきものであり、これに充てるべき財源を最大限に活用して無対価又は低廉な対価を設定し、受益の範囲を可能な限り拡大することが求められていることから、その確保を目的とするものである。

なお、求められているのは単年度ではなく、中・長期的な視点での収支相償です。

3.上記1.②については、公益法人が、公益目的事業を行うことを主たる目的とし、「公益法人」の名の下、国民からの寄附等を受けつつ事業活動を行うものであることから、公益法人が行う全ての活動の規模に占める公益目的事業の規模の割合について、少なくともその半分を占めていることを求めるものです。

4.上記1.③については、寄附等により取得・形成された財産について、速やかに公益目的事業の拡充等に使用されるべきであり、公益目的事業の実施とは何ら無関係に法人内部に過大に蓄積することは適当ではないことから、設けられた規定です。

5.公益社団・財団法人は、公益法人会計の基準に従って作成する財務諸表の数値を基に、毎年度、定期提出書類を作成し、提出する義務がありますが、当該書類の数値に基づき算定された財務三基準の遵守状況を行政庁に報告することとなるため、公益法人会計の基準と財務三基準は密接に関連することとなります。

財務三基準に対する監査上の対応

1.監査人は、公益社団・財団法人が属する制度によって適用される法令、公益社団・財団法人が当該法令をどのように遵守しているかを全般的に理解しなければならない(監基報250第12項(※)、実務指針第34号第24項)。

2.公益社団・財団法人が作成する財務諸表に重要な影響を及ぼすことがあるその他の法令への抵触の識別に資するため、監査人は、財務三基準の趣旨を踏まえ、理事者及び適切な場合には監事等への質問を行う必要がある。また、規制当局とのやり取りを記録した文書がある場合には、それを閲覧する(監基報250第6項(2)及び第14項(1)(2)(※)、実務指針第34号第24項)

3.また、財務三基準への抵触が疑われる場合には、当該事項について理事者及び必要に応じて監事等と協議する必要がある(監基報250第19項(※)、実務指針第34号第24項)。

おわりに

要するに、財務三基準に抵触していないかどうかは監査上、重要な手続きであり、抵触している可能性があれば、その違法性の重要性を考慮して、その違法行為が財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性があると監査人が判断した場合、監査人は、法律専門家に助言を求める必要があるかを検討しなければならない(監基報250「財務諸表監査における法令の検討」19)。ということになります。

公益法人の経理に係る方は、財務三基準に抵触していないかどうか常に注意を払ってください。

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