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雇用調整助成金の正しい会計処理及び表示方法(会計監査の観点から) - 大阪で会計士の監査は横田公認会計士事務所

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雇用調整助成金の正しい会計処理及び表示方法(会計監査の観点から)

カテゴリ: 監査 最終更新日:2021年10月13日(水) 公開日:2021年10月13日(水)

はじめに

コロナ禍、長く続いた緊急事態宣言の影響により、企業の経済活動を支えるための補助金や雇用維持のための助成金の受給申請が増加しています。

新型コロナ特例に係る雇用調整助成金では、10月5日時点で、支給金額が4兆円を超えたようです。

金額的に重要性が高まると会計処理をどうすべきか問題となります。

雇用調整助成金の会計処理

会計処理面からみると、雇用調整助成金は、労働者個人への支給ではなく事業主に支払われ、交付された金額であり、企業の収益という側面があるため、その会計処理及び表示方法について会計監査面から検討します。

従来の会計慣行では、助成金等は営業外収益に計上する実務が一般的とされましたが、最近では、特別利益への計上やその他の判断もあるようです。

雇用調整助成金の特例措置

雇用調整助成金とは、事業主が労働者に支給する休業手当等の一部を助成するもので、新型コロナに係る特例措置では、一定の要件に該当すれば、上限額の引上げ等が行われています。

適用期間は随時延長され、現時点では11月30日までとなっています。

中小企業だけではなく大企業や上場企業での申請も多く、金額的重要性が高まっている企業もあるようです。

上場会社の表示方法の現状

新型コロナ特例に係る雇用調整助成金の2021年3月期の単体の損益計算書上の表示方法の状況は以下の通りです。(以下、税務研究会集計結果)

表示方法 区分 件数

区分掲記

(113社)

営業外収益 89件(53.6%)
特別利益 29件(17.5%)

その他、助成金収入等

(29社)

営業外収益 10件(6.0%)
特別利益 19件(11.4%)

対応する費用と相殺表示

(12社)

売上原価から控除 6件(3.6%)
販管費から控除 12件(7.2%)
特別損失から控除 1件(0.6%)
合計(154社) 166件(100%)

区分掲記の勘定科目「雇用調整助成金」としている会社が多数となっています。

コロナの影響の長期化と助成率の引き上げで多額に

雇用調整助成金を計上区分については、財務諸表等規則などで例示列挙されていないことから、企業ごとに実態に応じて、計上性や金額的重要性を勘案して判断することになります。

通常であれば、人件費の補填という性質上、多額になることは考えにくく、こうした助成金による収入は、会計処理の過去からの慣行として、営業外収益に計上するケースが多いと考えられます。

ただし、新型コロナ特例に係る雇用調整助成金は、助成率や上限額の引き上げを行っているため、休業が続く企業であれば、受給が多額になり、金額的重要性が増していることで特別利益に区分することが考えられます。

営業外収益「その他」から区分掲記に

雇用調整助成金の受給額増加により、財規上の表示基準(財規90条)は営業外収益の総額の100分の10を超えるものは区分掲記することを求めています。

これに基づき、表示方法を変更する会社も多くみられます。

特別損失に対応させて、特別利益に計上するケースも

日本公認会計士協会(JICPA)が公表した「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その4)」では、操業、営業停止中の固定費等の会計処理について

「新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために政府や地方自治体による要請や声明等により、例えば、被監査企業が店舗の営業を停止またはイベントの開催を中止した時に、その営業停止期間中に発生した固定費や、そのイベントの開催の準備および中止のために直接要した費用は、臨時性があると判断される場合が多いと考えられる」としており、「監査上、損益計算書の特別損失の要件を満たし得るものとして取り扱うことができると考えられる」としている。

また、被監査企業の工場が操業を停止または縮小した時の異常な操業度の低下による減価への影響についても同様としています。

これらに基づき、特別損失が発生した場合は、これに対応する雇用調整助成金を特別利益として計上することも考えられます。

おわりに

当事務所の監査上の対応は、操業、営業停止による固定費等(人件費を含む)を特別損失に計上した場合は、雇用調整助成金も特別利益に計上するようアドバイスします。

上記以外のケースで、雇用調整助成金の対象の人件費を原価や販管費に計上している場合は、雇用調整助成金は営業外収益に計上し、営業外収益の100分の10を超える場合は、「雇用調整助成金」として区分掲記し、100分の10以下の場合は「その他」に含めて計上することは、適切な表示方法と判断します。。

最後の対応する費用(売上原価の人件費等)と相殺する表示方法は、人件費の金額が実態を表さなくなるため不適切として判断します。

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く会計監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い会計監査を目指しています。

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