交際費等の範囲から除外される飲食費の範囲や1万円基準その他の個別論点
目次
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2024年4月から損金算入が可能となる「交際費等に係る飲食費の1人当たり1万円以下」の金額基準での飲食費の範囲やその他の個別論点について具体的にご紹介します。
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飲食費の範囲や飲食費に該当するものと該当しないもの
飲食費の範囲は、従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」のほか、得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」が該当します。
また、飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物の持ち帰りに要する「お土産代」、飲食等のために支出する「テーブルチャージ料やサービス料等」が該当します。
逆に、単なる飲食物の詰め合わせを贈答する行為は、いわゆるお中元・お歳暮と変わらないため、飲食その他これに類する行為には含まれません。そのため、上記の贈答に要する費用は、「飲食費」には該当せず、「交際費」に該当することになります。
上記のほか、得意先等を飲食店等へ送迎するためや飲食後に得意先等が帰宅に利用するタクシーチケットで支出する「送迎費」も飲食費に該当しません。
<飲食費に該当するもの>
●従業員等が得意先等を接待して飲食するための「飲食代」
●得意先等の業務の遂行や行事の開催に際して、弁当の差入れを行うための「弁当代」
●飲食店等での飲食後、その飲食店等で提供されている飲食物のお持ち帰りに要する「お土産代」
●飲食等のために支出する「テーブルチャージ料やサービス料等」
<飲食費に該当しないもの>
●飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
●得意先等を飲食店等へ、または飲食店から自宅等へ送迎するため等に支出する「送迎費」
●ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
交際費等の範囲から除外される飲食費の適用要件:保存書類への記載事項
令和6年度の税制改正では、飲食費の金額基準1人当たり1万円以下に引上げられたこと以外に見直しは行われていません。
したがって、改正前と同様以下の事項を記載した書類を保存しなければなりません。
1.飲食等のあった年月日
2.飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称およびその関係
3.飲食等に参加した者の数
4.新食費の額並びに飲食店、料理店等の名称およびその所在地
5.その他飲食費であることを明らかにするために必要な事項
社内飲食費の取扱い
社内飲食費は、交際等に係る飲食費には含まれません。
法令上、飲食費(交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用)の範囲から「社内飲食費(もっぱら当該法人の役員・従業員・これらの親族に対する接待等のために支出するもの)」は除かれています(措置法61の4⑥)。
そのため、社内飲食費が1人当たり1万円以下であっても、原則として、交際費等に該当することになります。
社内飲食費に関しては、仮に、接待する相手方である得意先等が1人の場合でも、その飲食費等のために従業員等が相当数参加する必要があったのであれば、社内飲食費には該当しません。
また、資本関係が100%の親会社の役員等であっても、社外の者であることから、その者との飲食等に係る飲食費は社内飲食費に該当しません。
同業者パーティーに出席して自己負担分の飲食費相当額の会費を支出した場合や得意先等と共同開催の懇親会に出席して自己負担分の飲食費相当額を支出した場合についても、互いに接待し合っていることから、社内飲食費には該当しません。
会議費
会議に関連して、茶菓、弁当その他これに類する飲食物を供与するために通常要する費用などについては、1人当たり1万円を超えても、その費用が通常要する費用として認められるものであれば、交際費等に該当しません。
今回の改正は、物価高騰に対応して接待などの飲食費などの価格が上がった現状に対応した税制改正であると考えてください。あくまで、会議に関連して発生した通常要する会議の費用は「交際費等に係る飲食費」ではありません。
1次会と2次会の飲食費の判定基準
1.飲食等が1次会と2次会など複数にわたって行われた場合でも、それぞれが単独で行われていると認められるとき(※1)には、それぞれに係る飲食費ごとに1人当たり1万円以下か否かを判定することができます。
2.複数にわたって行われた飲食等が一体の行為であると認められるとき(※2)には、その行為の全体に係る飲食費を基礎として1人当たり1万円以下か否かを判定します。
※1:まったく別の業態、例えば居酒屋と北新地のクラブなどの飲食店等を利用しているときなど
※2:実質的に同一の飲食店等で行われた飲食等であるにもかかわらず、その飲食等のために要する費用として支出する金額をわざと分割して支払っていると認められるときや領収証を2枚に分けてもらっているときなど(分割支払いや領収証の分割、そのほか参加者の人数を水増しして記載すること等は、事実の隠蔽または仮装に当たり、重加算税の対象となることがあります)。
1万円以下の飲食費に消費税等の額は含めるか否か
税込経理方式を採用している小規模法人等の場合は消費税等の額を含めて判定し、税抜経理方式を採用している法人の場合には消費税等の額を含めずに判定します。
税抜経理方式を採用する事業者が免税事業者などのインボイス発行事業者以外の者に交際費等(飲食費)を支払った場合には、原則として仮払消費税等の額がないものとされるため、仕入税額相当額の全額を交際費等(飲食費)に含めたうえで、1人当たり1万円以下か否かの判定を行います。
ただし、令和5年10月1日から3年間は仕入税額相当額の80%を控除できる経過措置があるため、経過措置を適用する場合は「税抜価額+仕入税額相当額×20%」が1人当たり1万円以下か否かで判定することになります。
結果、令和5年10月1日から3年間において免税事業者等の飲食店で飲食費を支出した場合の1万円基準のボーダーは、1人当たり「税抜9,803円(税込10,784円)」となりますのでご注意ください。
保存書類への記載事項:飲食等に参加した得意先等の氏名・名称の記載
保存書類への記載事項のうち「飲食等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係のある者等の氏名又は名称及びその関係」については、
原則として、相手方の名称や氏名のすべてが必要となります。自己の役員や従業員等の氏名等の記載は不要です。
ただし、相手方の氏名について、その一部が不明の場合や多数参加したような場合には、その参加者が真正である限りにおいて、「株式会社○○○・○○部、○○○○(氏名)部長ほか8名、販売先」というような表示であっても問題ありません。
保存する書類の様式は法定されていないため、記載事項を満たすものであれば、自社等で工夫した様式で作成することができます。
以上
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