公認会計士等の異動2024年7月は11社、半数の異動理由は会計監査人の辞任(退任)
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2024年7月単月の上場会社等の公認会計士等の異動についてご紹介します。
公認会計士業界の人員不足(人的リソース不足)についてはこれまでも異動理由として大半を占めていましたが、6月の株主総会シーズン直後の7月にも、監査法人の人的リソース不足を理由に辞任(退任)するケースが半数近くを占めています。
監査法人等の人的リソース不足は時を経るにつき深刻な状況となっており、大手・準大手・中小監査法人でも辞任するケースが増加しています。
受け皿となる監査法人は現状いない状況と言っても過言ではありません。
会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。
決算期(特に3月決算)によってはここ数年の公認会計士不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。
横田公認会計士事務所
監査法人の規模別異動状況・異動理由
異動社数 | 退任監査法人 | 就任監査法人 | 異動理由 |
4社 | 大手監査法人 | 中小監査事務所 | 監査報酬2社、辞任2社 |
4社 | 中法監査事務所 | 中小監査事務所 | 監査報酬2社、辞任2社 |
1社 | 大手監査法人 | 大手監査法人 | 監査継続年数 |
1社 | 大手監査法人 | 準大手監査法人 | 監査継続年数 |
1社 | 中小監査法人 | 未定 | 監査リソース不足 |
上記「異動理由」で監査報酬に分類していますが、具体的には以下のようなIRが公表されています。
・中小から中小への監査報酬を異動理由とした具体的事例
【レシジョン・システム・サイエンス株式会社/東証グロース(7707)】
IR公表日 :2024/07/30
異動年月日:2024/09/27
退任監査人: OAG監査法人
就任監査人: HLB Meisei有限責任監査法人
異動理由:[任期満了]
当社の会計監査人であるOAG監査法人は2024年9月27日開催予定の第39回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。現在の会計監査人は会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えているものの、当社の事業規模に適した監査対応と監査報酬水準の相当性を総合的に勘案した結果、新たな視点での監査が期待できることに加え、当社の事業規模に適した監査報酬水準であること、会計監査人としての品質管理体制・専門性・独立性等を勘案した結果、適任であると判断し、HLB Meisei有限責任監査法人を新たな会計監査人として選任する議案の内容を決定しました
監査リソース不足で会計監査人が辞任したケース
【株式会社イー・ロジット/東証スタンダード(9327)】
IR公表日 :2024/07/25
異動年月日:2024/07/19
退任監査人: 監査法人和宏事務所
異動理由:[会計監査人辞任]
当社は、2024年7月19日付で、当社の会計監査人である監査法人和宏事務所より、2025年3月期以降、注記がなされている継続企業の前提に対応する監査上必要なリスク評価及びリスク対応を適切に実施する必要がある状況において、同監査法人における人的リソースに限りがあり、監査チームの編成及び十分な監査時間数の確保が困難であることから、2025年3月期に係る監査契約を締結しない旨の通知を受領しました。
後日、以下のIRにより退任が正式に決定しました。
【株式会社イー・ロジット/東証スタンダード(9327)】
IR公表日 :2024/07/25
異動年月日:2024/08/20(予定)
退任監査人: 監査法人和宏事務所
異動理由:[会計監査人辞任]
当社は、2024年7月19日付で、当社の会計監査人である監査法人和宏事務所より、2025年3月期に係る監査契約を締結しない旨の通知を受領し、同監査法人が当社の会計監査人を2024年8月20日開催予定の第25回定時株主総会継続会終結の時をもって退任することとなりました。
8月19日現在、就任監査人はまだ決まっておらず、今後は一時会計監査人を探すことになるのでしょうが、「監査難民」となり上場廃止となる可能性も否定できないでしょう。
横田公認会計士事務所
おわりに
公認会計士業界の人手不足により、初期の段階で大手監査法人が手間のかかるクライアント(被監査会社)の監査報酬を値上げし、大手監査法人から準大手監査法人または中小監査事務所へクライアントが異動する。
次の段階では、準大手監査法人を含めた中小監査事務所全体が監査報酬を値上げし、より低価格で監査を受ける中小監査法人へクライアントが異動する。
現在の段階は、中小監査法人もクライアントを選別し、手間がかかり且つ監査報酬が安いクライアントはどの監査法人も引き受けない。という状況となっています。
資本市場にとっては、上場会社として然るべき内部統制や上場コストを負担する会社だけが上場市場に残るべきであり、ある意味健全な方向に向かっているのではないでしょうか。
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
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