公認会計士等の異動2024年6月は9社、トレンドは監査法人の人的リソース不足で辞任ドミノ

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2024年6月単月の上場会社等の公認会計士等の異動についてご紹介します。

公認会計士業界の人員不足(人的リソース不足)についてはこれまでも異動理由として大半を占めていましたが、6月の株主総会直前に、監査法人の人的リソース不足を理由に辞任するケースも発生しています。

監査法人等の人的リソース不足は益々深刻な状況となっており、大手監査法人のみならず中小監査法人でも監査報酬の値上げだけでは対応できず辞任するケースが今後も増加すると思われます。

ただし、受け皿となる監査法人等は減少トレンド。太陽監査法人を含めこの2年余りで6法人が金融庁から業務改善命令等の処分を受け、準大手の東陽監査法人も金融庁の長期間の検査を受け何らかの問題を内部で抱えているようです。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

決算期(特に3月決算)によってはここ数年の公認会計士不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

横田公認会計士事務所

6月の監査事務所の規模別異動状況の概要

 規模別異動状況会社数割合
大手監査法人から中小監査法人へ3社33.3%
中小監査法人から中小監査法人へ3社33.3%
中小監査法人辞任→後任未定2社22.2%
準大手監査法人から大手監査法人へ1社11.1%

②の中でも1社は株主総会の招集通知に間に合わず辞任のため一時会計監査人が就任する予定です。

また、もう1社はすでに辞任のIRを発表していましたが、珍しいパターンで辞任を取り消し、来期の2025年1月期に再度辞任するようです。結局、後任の監査法人等が見つからなかったのでしょう!監査難民の時代到来の前兆です。

値上げ

中小監査法人が辞任し、後任が未定の会社2社の事例

【事例①】

株式会社トーシンホールディングス/東証スタンダード(9444)

IR公表日 :2024/06/26

異動年月日:2024/07/30

退任監査人: 監査法人東海会計社

異動理由:[会計監査人辞任]

当社の会計監査人である監査法人東海会計社より、2024年7月30日開催の第38期定時株主総会終結をもって、当社の会計監査人を辞任したい旨の通知を受領しました。監査契約の更新について当社の体制の状況及び今後の経営環境等の変化を総合的に勘案した結果、今後監査工数が大幅に増大することが見込まれることから、第39期事業年度(自2024年5月1日至2025年4月30日)の監査業務を辞退したい旨の申し出がありました。

⇒監査工数が増大することにより、人的リソース不足で対応できないのかor会社が監査報酬の増加を受け入れなかったのか、どちらかはわかりませんが、常識的には後任監査人の発表と同時に“異動”を公表するものですが、後任の会計監査人も見つけられない状況になっているのでしょう!

【事例②】

株式会社サンテック/東証スタンダード(1960)

IR公表日 :2024/06/25

異動年月日:2024/06/30

退任監査人: RSM清和監査法人

異動理由:[会計監査人辞任]

当社は、RSM清和監査法人より意見及び結論を表明しない旨の監査報告書を受領しており、当該監査法人より第77期(自2023年4月1日至2024年3月31日)の監査業務の完了をもって、2024年6月30日付で辞任したい旨の通知を受領しました。

現在、2024年6月10付「第三者調査委員会設置のお知らせ」にて公表のとおり調査委員会を設置し、調査を開始しております。後任の一時会計監査人候補者の選定は、当該調査結果後に開始する予定としておりますので、決定次第、速やかにお知らせいたします。

3月決算で、総会の5日前に辞任の公表を行うというのはレアケースです。こちらも後任の会計監査人が見つからなかったようですが、監査意見は不表明であり且つ「第三者調査委員会」を設置しており、何らかの不正問題等が起こっている事案です。

横田公認会計士事務所

監査リソース・監査法人の人的リソース不足を理由に異動等した事例

【事例③】

株式会社エージェント/TOKYO PRO Market(7098)

IR公表日 :2024/06/14

異動年月日:2024/06/14

監査人: 有限責任大有監査法人

異動理由:[異動取消し]

2024年5月31日付「公認会計士等の異動に関するお知らせ」にてお知らせの通り、現公認会計士等より、必要な監査リソースが確保できないことを理由に、2023年1月期の監査手続き完了の時をもって退任すること、および新たな公認会計士等が当社の 2024年1月期の会計監査を受嘱する見込みであることを公表いたしました。その後、訂正発行者情報等の監査意見確認中に、監査日程の見直しを踏まえ、現公認会計士等と再度協議したところ、2024年1月期については監査リソースの確保が可能である一方、2025年1月期については、監査リソースの確保が困難であることを確認致しました。つきましては、上記の通り、公認会計士等の異動予定を取消しの上、2024年1月期の会計監査につきましては、現公認会計士等と監査契約を継続するものです。

⇒一度、会計監査人が退任することを公表したにもかかわらず、再度異動予定を取り消し、直近の決算監査は受けるが、来期は退任するという非常にレアなケースです。

これも、後任の公認会計士等がまったく見つからなかったのでしょう!

【事例④】

株式会社広済堂ホールディングス/東証プライム(7868)

IR公表日 :2024/06/14

異動年月日:2024/06/27

退任監査人: 興亜監査法人

就任監査人: 監査法人アヴァンティア

異動理由:[一時会計監査人]

当社の会計監査人である興亜監査法人より、重要な会計処理には十分に議論が必要であり、当社の業容拡大に伴い、監査時間が増大し、監査法人の人的リソースの関係から次年度以降の監査時間を十分確保できないリスクが生じるため、契約の継続が難しいとの申し入れがありました。当社は体制構築のための監査報酬額のアップや監査計画などについて協議を重ね、対応策について検討してまいりましたが、合意に至りませんでした。そのため、当社監査役会は、当社の事業規模、業務内容に適した監査対応、監査費用の相当性等を検討した結果、定時株主総会後における興亜監査法人辞任後の一時会計監査人として監査法人アヴァンティアの選任を予定することといたしました。

⇒これも人的リソース不足のため辞任の申し出があったにも関わらず、後任の公認会計士等がなかなか見つからなかったのでしょう。結局、株主総会には間に合わず、一時会計監査人として監査法人アヴァンティアが就任することとなったようです。

今後監査難民による上場廃止が相次ぐ兆候か!

結局、6月の公認会計士等の異動の9社中、4社の会計監査人が辞任(辞任の取り消しによる来期辞任1社)し、うち、3社は来期(進行年度)の就任監査人が決まっていない状況です。

もうこの状況は、監査難民の時代が来たと言って差し支えないでしょう。

公認会計士業界の人手不足→監査の人的リソース不足→監査報酬の値上げ→監査難民の多発→会計監査を受けられない上場会社の上場廃止

もうこの時点で、上記のトレンドの「監査難民の多発」まで来ているようです。

最近は、個人的にも上場会社以外の監査クライアントにおいても、経理部門の能力不足による決算の遅延が多くなっているように感じます。

監査の人的リソース不足だけではなく、世の中全体が、人的リソース不足になってきているようです

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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