2023年5月私立学校法改正の全体的な概要

2023 年4月26 日に私立学校法の一部を改正する法律(以下「改正私立学校法」という。)が成立し、5月8日に公布されました。

「改正私立学校法の」全体的な改正の概要は

「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」の考え方から、理事・理事会、監事及び評議員・評議員会の権限分配を整理し、私立学校の特性に応じた形で、「建設的な協働と相互けん制」を確立するため、次の改正がなされています。

① 役員等の資格・選解任の手続等と各機関の職務・運営等の管理運営制度の見直し

② 学校法人の意思決定の在り方の見直し

③ その他

以下、上記①~③について概要を見てみましょう。

なお、本改正は、2025年4月1日から施行とされています。

役員等の資格・選解任の手続等と各機関の職務・運営等の管理運営制度の見直し

理事・理事会
・理事選任機関を寄附行為で定める。理事の選任に当たって、理事選任機関はあらかじめ評議員会の意見を聴くこととする(第29 条、第30条関係)。

・理事長の選定は理事会で行う(第37条関係)。
監事
・監事の選解任は評議員会の決議によって行い、役員近親者の就任を禁止する(第31条、第45条、第46条、第48条関係)。
評議員・評議員会
・理事と評議員の兼職を禁止し、評議員の下限定数は、理事の定数を超える数まで引き下げる(第18条、第31条関係)。

・理事・理事会により選任される評議員の割合や、評議員の総数に占める役員近親者及び教職員等の割合に一定の上限を設ける(第 62条関係)。

・評議員会は、選任機関が機能しない場合に理事の解任を選任機関に求めたり、監事が機能しない場合に理事の行為の差止請求・責任追及を監事に求めたりすることができることとする(第33条、 第67条、第140条関係)。
会計監査人
・大臣所轄学校法人等では、会計監査人による会計監査を制度化し、その選解任の手続や欠格要件等を定める(第80条~第87条、第144条関係)。

学校法人の意思決定の在り方の見直し

大臣所轄学校法人等においては、学校法人の基礎的変更に係る事項(任意解散・合併)及び寄附行為の変更(軽微な変更を除く。)につき、理事会の決定に加えて評議員会の決議を要することとする(第 150条関係)。

その他

・監事・会計監査人に子法人の調査権限を付与する(第53条、第86条 関係)。

・会計、情報公開、訴訟等に関する規定を整備する(第101条~第107 条、第137条~第142条、第149条、第151条関係)。

・役員等による特別背任、目的外の投機取引、贈収賄及び不正手段での認可取得についての罰則を整備する(第157条~第162条関係)。

「計算書類等の改正の概要」「会計監査人関係の改正の概要」については別途ブログにて随時アップします。

以上

公認会計士 3

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