消費税の2割特例!翌課税期間以降の課税方式の選択適用の可否

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、令和5年10月以降を含む課税期間(個人事業者は令和5年分確定申告)に2割特例を適用した適格請求書(インボイス)発行事業者は翌課税期間(個人事業者は令和6年分確定申告)以降について原則課税(本則課税)を適用したほうが消費税額等の納付が少ない場合の原則課税の適用の可否及び次年度以降の2割特例の再適用の可否についてご紹介します。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

決算期(特に3月決算)によってはここ数年の公認会計士不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース

インボイス制度の2割特例とは

インボイス制度の2割特例とは、消費税の納税額を売上税額の2割に軽減できる制度のことです。通常であれば「原則課税」または「簡易課税」により、納付税額を計算します。

しかし、2割特例の適用を受けることにより、売上に係る消費税額から売上税額の80%を差し引いて納付税額が計算できるようになるのです。すると、売上・収入を把握するだけで消費税の申告が行えるようになるため、事業者の税負担・事務負担が軽減されます。

2割特例を適用できる期間は、令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間となります。

横田公認会計士事務所ブログ

2割特例の適用対象

2割特例は、インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった方が対象です。

ただし基準期間(2年前)の課税売上が1,000万円以下等の要件を満たす必要があります。

2割特例の対象外となる事業者は、以下の通りです。

なお、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になった場合でも、2割特例の適用を受けられます。ただし令和5年分の確定申告では、2割特例の適用を受けられません。令和6年分の確定申告以降2割特例の適用を受けられます。

横田公認会計士事務所ブログ(2024年5月)

2割特例の適用要件

2割特例は、本来免税事業者に該当する事業者がインボイス発行事業者に該当することになったことにより課税事業者となる事業者について適用するものです(平28改正法附則51の2①本文)。

2割特例の適用に当たっては、事前の届出は必要なく、消費税の申告時に消費税の確定申告書に2割特例の適用を受ける旨を付記することで適用を受けることができます(平28改正法附則51の2③)。

 また、2割特例を適用して申告した翌課税期間において継続して2割特例を適用しなければならないといった制限はなく、課税期間ごとに2割特例を適用して申告するか否かについて判断することができます

インボイス制度イメージ

結論

個人事業者の場合、令和5年分の確定申告で2割特例の適用を受けた場合であっても、令和6年分以降、引き続き基準期間(2年前)における課税売上高が1,000万円以下であれば、原則課税と2割特例どちらか有利な方を選択できます。

令和6年分で原則(本則)課税が有利であれが原則課税により申告し、令和7年分で2割特例の方が有利であれば2割特例を適用できます。

また、インボイス発行事業者となり課税事業者となった基準期間の売上高が1,000万円以下の事業者は、簡易課税制度の選択届出書を提出した場合でも、2割特例適用期間中は2割特例を適用できます。

注意するのは基準期間の課税売上高が1,000万円以下であることだけです。課税期間ごとにどちらを選択する方が有利か判断し、2割特例適用期間中はいつでも2割特例の適用が可能です。

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