オルツの不正会計 東証が会計監査人交代時は前任者への経緯等確認などの再発防止策を公表

目次
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、東京証券取引所が12月9日に開催した「第5回IPO連携会議」にて、上場準備期間に会計監査人(監査法人)や主幹事証券会社が交代した場合に、取引所が前任者に交代経緯等を確認するなどの再発防止策を示した事についてご紹介します。
会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。
3月決算法人の場合、近年の公認会計士の人材不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする可能性が大きいことについてご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース
オルツの不正会計(粉飾決算)とは
AI開発のオルツは、主力製品「AIGIJIROKU」の販売において、「SPスキーム」と呼んでいた広告代理店などを介した循環取引を繰り返し、2021年6月から2024年12月までの期間に売上高約119億円、広告宣伝費約115億円を過大に計上していました。
2025年7月に公表された第三者委員会の調査報告書によると、売上の大半が実態のない架空取引であり、上場直後から不正が常態化していました。
この責任を取り創業社長らは辞任し、オルツは民事再生法の適用を申請、上場廃止となりました。報告書は、経営陣のコンプライアンス意識の欠如と、市場を欺く悪質性を厳しく指摘しています。
横田公認会計士事務所ブログ

東証、新規上場時の不正防止に向けた議論の総論
東証からこれまでの総論として、「会計不正などの新規上場に関する不正行為に関しては、IPO関係者(取引所、主幹事証券会社、会計監査人)がそれぞれの役割を果たしつつ、共同してこれを防いでいくことが重要」、「過度な対応はIPOマーケットを縮小させかねないので慎重に考えていく必要がある」などの認識が共有された。
会計監査人の交代については、「上場準備中の監査法人や主幹事証券会社などのゲートキーパーの交代は不正を示唆するアラート」とし、不正情報の収集に関しては「不正会計の発見には事情を知る者からの情報提供が重要」との認識が示されました。
横田公認会計士事務所ブログ(2025年8月)
東証、新規上場時の不正防止に向けた5つの柱
上記の総論を受けて、東証は12月9日の「第5回IPO連携会議」で取引所が取り組む再発防止策として次の5つの柱を示しています。
1.不正リスクに応じた上場審査の深堀
2.内部通報体制の確認と不正情報の早期収集
3.経営者・役員への「上場責任」の啓発
4.IPO関係者との連携強化と審査能力の向上
5.自主規制法人における不正リスクに関する上場審査能力の向上に向けた取組み

不正リスクに応じた上場審査の深堀
上場準備期間中に会計監査人(監査法人)が交代している場合、前任者に対して交代経緯等をヒアリングする。主幹事証券会社や監査法人・主幹事証券会社の主要な担当者が交代している場合も同様に取引所が経緯等を確認する。ヒアリングに当たっては、聞き取り内容等を会社側に伝達しないなど前任者に配慮した形で行うことが想定されています。
また、代理店の利用比率が高いビジネスモデルについては、循環取引等を防止するため、上場申請時の提出書類において、主要な最終仕入先・販売先の会社概要等の記載項目を追加することが検討されています。

内部通報体制の確認と不正情報の早期収集
新規上場申請会社において経営陣から独立した通報窓口の設置状況等について確認する。
なお、これらの対応についてはスタートアップ育成の観点も踏まえ、上場準備会社の過度な負担を回避するため、不正リスクに応じたメリハリのある対応を行うとしています。
一方、日本公認会計士協会は9日開催した記者会見で、オルツの監査に関わった監査法人を調査していると説明がありました。南成人会長は「本件は最優先課題としているとして早急な調査の完了を目指している」とし、調査結果は公表される予定です。

横田公認会計士事務所ブログ(2025年7月)

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