少額リース資産、会社の規模によっては300万円超でも対象になる?!

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、新リース会計基準では、少額リースに該当する場合、リース開始日に使用権資産とリース負債を計上しないことができます。実務上、少額リースの金額の基準や判定に含める金額、判定する時点などの疑問点についてご紹介します。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

3月決算法人の場合、近年の公認会計士の人材不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする可能性が大きいことについてご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース

少額リースの定め

従来の基準である「リース取引に関する会計基準(企業会計基準第16号)」においても例外的な措置として、少額リース資産については簡便的な取り扱いが認められていました。

新基準においても少額リース資産については、簡便的な取り扱いを適用すると判断した場合には、オンバランスが不要となっています。

少額リース資産については、今般公表された新基準のベースとなった国際会計基準のIFRS第16号において「資産と負債を認識しないことができる」とされていました。

IFRS第16号の定めを取り入れて開発された新リース会計基準においても、重要性の乏しい少額リース資産については、使用権資産およびリース負債を計上しないことができるとされています。

【リース会計基準適用指針第33号22項】(少額リースに関する簡便的な取扱い)

1.重要性が乏しい減価償却資産について、購入時に費用処理する方法が採用されている場合で、借手のリース料が当該基準額以下のリース

2.次の①又は②を満たすリース

①企業の事業内容に照らして重要性の乏しいリースで、かつ、リース契約1件当たりの金額に重要性が乏しいリース

②新品時の原資産の価値が少額であるリース

横田公認会計士事務所ブログ

重要性が乏しいリースとは

リース会計基準適用指針の本文に具体的な金額が示されていませんが、結論の背景に「リース契約1件当たりの金額に重要性が乏しいリースは、企業会計基準適用指針第16号において定められていたリース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下であるかどうかにより判定する方法を踏襲することを目的として取り入れたもの」と記載されています。

日本基準においては、結論の背景も本文と同様に規範性のあるものとされており、新リース会計基準においても300万円という金額基準は変わらないと考えるのが一般的だと考えられます。

横田公認会計士事務所ブログ(2025年8月)

少額リースの判定に含めるもの

重要性が乏しいとされる300万円基準は、従来、機器等の所有権移転外ファイナンスリースに適用されていました。

新リース会計基準では、借手のリースの分類がなくなり、不動産などにも適用することができるようになりました。不動産に300万円基準を適用する際に、「リース契約1件当たりの金額」に何が含まれるのかが問題となります。

この点、不動産契約におけるリース契約1件当たりの金額には、賃料のほか、将来返還されない敷金や礼金、更新料についても、リース料の前払の性格を有するのもとして、判定の金額に含めることが考えられます。

また、共益費に居ついては、その性質がリースを構成しない部分(サービス)である場合には、判定から除外することができると考えられます。

少額リースの判定の対象期間

少額リースの判定の対象期間は、原則として「借手のリース期間」ですが、「契約期間」とすることもできます。

例えば、延長オプションを考慮し、借手のリース期間が4年間である社宅であっても、契約期間が2年であればその2年間の金額で少額リースの判定をすることができます。

例えば、少額リースに該当した賃貸契約でも、契約更新のタイミングで賃料の増額を求められることがあることから、契約更新後の金額が300万円以下であれば、引き続き少額リースとして処理し、300万円超となる場合には、オンバランス処理行うことがあり得ます。

最後に300万円を超える金額の設定は可能か

少額リースの300万円基準については、その金額を目安と考え、500万円など会社の規模に合った金額を設定したいという企業も多いでしょう。

この点、現時点では会計監査人としては、300万円を超える金額を設定した場合、新リース基準に準拠した会計処理とはいえないとも考えられるでしょう。

一方で、企業会計原則における一般的な重要性の観点から、新基準に準拠しない処理であっても監査上許容できるケースも一部では想定されているようです。

ただし、監査人が会社の利益水準によって500万円なら重要性がないとして許容した場合でも、ある期に業績が悪化したことで、重要性の観点から監査上許容できない処理と判断されれば、その時点からオンバランスを求められることが考えられます。

その点、新基準に準拠せず独自の重要性を採用した場合は、業績等によって突然オンバランス処理しなければならなくなることに留意が必要です。

横田公認会計士事務所ブログ(2025年7月)

CPA背景

横田公認会計士事務所ブログ

横田公認会計士事務所ブログ

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。

以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。

各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。

依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。