オルツの不正会計の概要と結末、IPOへの東証の対応について

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、AI開発ベンチャーの株式会社オルツが2025年に発覚した大規模な不正会計事件により、上場からわずか10ヶ月で上場廃止となり、2025年7月30日に民事再生法の適用を申請し、上場廃止となった問題とこの問題を受けて東京証券取引所が会計不正の早期発覚・未然防止について協議している事についてご紹介します。
会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。
3月決算法人の場合、近年の公認会計士の人材不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする可能性が大きいことについてご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース
会計不正の概要
オルツは、AI議事録サービス「AI GIJIROKU」を主力製品としていましたが、売上高の最大9割が架空であったと第三者委員会が指摘しています。
主な手口は「循環取引スキーム」と呼ばれるものでした。
- 販売代理店や関係企業を通じて架空の売上を計上し、売上高を偽装しました。
- 取引を成立させるために、広告宣伝費や研究開発費として巨額の費用を表面上支出していました。
- 実際には有料契約が利用されていないにもかかわらず、売上が過大に計上されていました。
2021年12月期~2024年12月期までの期間で、売上高の約8割~9割にあたる約119億円が過大計上されていたと第三者委員会の調査で報告されています。
横田公認会計士事務所ブログ

オルツ上場から上場廃止までの経緯
- 2024年10月: 東証グロース市場に上場しました。
- 2025年4月: 証券取引等監視委員会の調査が開始され、粉飾の疑義が生じました。
- 2025年7月: 第三者委員会の調査報告書により、不正会計の全容が判明しました。
- 2025年7月30日: 民事再生法の適用を申請し、上場廃止が決定しました。
横田公認会計士事務所ブログ(2025年8月)
刑事事件に発展
第三者委員会の調査報告書の公表を受け、東証は今年7月、東証のグロース市場に上場していたオルツの上場廃止を決定し、同社は今年10月、元役員等が金融商品取引法違反容疑により逮捕・起訴され、同法の両罰規定により法人としてのオルツも起訴されたと公表し、会計不正問題は刑事事件に発展しました。
調査報告書によると、オルツでは上場準備段階で監査法人の交代があり、会計監査人の引継ぎにおいて、前任の監査法人(大手監査法人?)は2022年、「循環取引のおそれがある」などと指摘し、後任の中小監査法人である監査法人シドーは前任から「循環取引の疑義が生じた」との指摘を受け取っていたものの、同社から当該取引について実態があるかのような事実と異なる虚偽の資料の提出を受けていたことにより、【無限定適正意見】を表明していました。
オルツは東証の上場審査部による上場審査でも、事実と異なる説明をしていたということです。

東証の対応:監査法人の交代時の引継ぎへの関与
東証が10月8日に開催した「第4回IPO連携会議」では、上場後に会計不正が明らかになる事例が散見されることを受け、監査法人や証券会社などが参加し、上場準備期間中における監査法人の交代や循環取引などの会計不正の早期発見・未然防止などについて協議が行われました。
同会議では、上場準備期間中の監査法人等の交代については、東証から例として、3年以内に交代が行われた場合にも事情を確認するなどの対応が提案されています。
監査法人の交代時における引継ぎに関しては、後任は前任に引継ぎを求めなければならないとされています(監査基準報告書900)。
今回の会議での提案は、東証が前任の監査法人等から事情を確認するものです。
監査法人の引継ぎは後任が前任に質問する形式で行われるため、東証は、「後任監査法人の質問の仕方に依拠する部分が大きい」と指摘しています。そのうえで「取引所としてはどういった引継ぎ行っているかをまずは後任監査法人に確認したうえで、消化不良があれば前任監査法人に確認するような順番になると思います」と説明しました。
この提案に対して監査法人側からは、「非常に賛成。上場準備会社では監査途中の段階で引き継がれるため、より慎重に検討すべきだ」などの意見が上がっています。
東証は今回の会議の議論の内容を踏まえて、今後取り組むべき点について整理するとしています。

横田公認会計士事務所ブログ(2025年7月)

横田公認会計士事務所ブログ
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