ニデックの監査報告書「意見不表明」で、上場廃止の可能性も

目次
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、ニデックの会計処理問題が長期化しており、不適切な会計処理の疑いを受け、監査を担当するPwCジャパンが9月26日、同社の2025年3月期の有価証券報告書(有報)に対して「意見不表明」を突きつけた事、および東京証券取引所が10月28日、ニデック株式を特別注意銘柄に指定した事についてご紹介します。
会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。
3月決算法人の場合、近年の公認会計士の人材不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする可能性が大きいことについてご了承ください。

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監査報告書の「意見不表明」とは
意見不表明とは、会計監査人が監査報告書において監査意見を表明しないことを指します。これは、財務諸表に対する意見表明ができないほど、会計記録が不十分であったり、監査証拠の入手が困難な場合に限られます。
意見不表明は、監査報告書を提出しないという意味ではなく、監査意見を表明しない旨を記載した報告書を提出します。これは、監査人が十分な監査証拠を入手できないため、財務諸表が適正かどうかについて意見を表明できない場合に用いられる表現です。
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ニデックにおける不適切な会計処理の疑い
今回のニデックについて監査法人が「意見不表明」とした大きな理由が、現在進行形で不適切会計を巡る調査が実施されているからです。ニデックは2025年6月に、イタリア子会社での未払い関税の問題で有報の提出期限の延長を発表しました。その後、中国のグループ会社で不適切会計の疑いがあることが分かり、社内調査を続けていました。
9月には、資産評価減を巡る不適切な会計処理に経営陣が関与している疑いが新たに発表され、第三者委員会が立ち上がりました。
ニデックの有報の監査報告書では、PwCジャパンが「意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手することができなかった」と発表しています。また、意見不表明とする根拠の一つとして、第三者委員会の調査によって未発表の虚偽表示が見つかった場合に、連結財務諸表に重要かつ広範な影響が及ぶ可能性がある点が挙げられています。
横田公認会計士事務所ブログ(2025年8月)
東京証券取引所(東証)の動き
上記の状況を受け、東証は10月28日「上場会社の財務諸表等に添付される監査報告書等において意見不表明等が記載され、内部管理体制等について改善の必要性が高いと認められる」(有価証券上場規程第503条第1項第2号b)として、株式市場において特別注意銘柄に指定しました。

内部管理体制を整備できなければ上場廃止も
特別注意銘柄は、公認会計士等会計監査人の監査報告書等に「不適切意見」や「意見不表明」が記載されたり、重大な上場規則違反を行ったりした会社に対して内部管理体制等の改善を促すため、2007年に導入されました。
原則として、指定から1年経過後の審査までに内部管理体制等を適切に整備・運用することが求められています。審査までに内部管理体制が適切に「整備」されていないと判断されれば上場廃止となる可能性もあります。
東証によると、制度が見直された2024年1月以降ではニデックを含め6社(プライム2社、スタンダード3社、グロース1社)が指定を受け改善に取り組んでいます。


横田公認会計士事務所ブログ(2025年7月)

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