リース事業協会「2025年度税制改正について」公表

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、公益社団法人リース事業協会が、「2025年度税制改正について」を公表し、新リース会計基準を踏まえて改正されたリース税制の概要を説明し、例えば、上場企業等の会計処理の流れに沿って税務上の取扱いを示した事についてご紹介します。
会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。
3月決算法人の場合、近年の公認会計士の人材不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする可能性が大きいことについてご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース
新リース会計基準の適用対象
新リース会計基準を適用するのは上場企業等(※)の借手です。
ファ イナンス・リースとオペレーティング・リースを分類せず、原則としてすべてのリースをバランスシートに計上(使用権資産・リース負債)することになりました。
※新リース会計基準の適用対象は、2027年4月1日開始事業年度から、上場会社など金融商品取引法上の開示対象会社及び会社法上の大会社に対して強制適用されます。
一方、貸手については、従来どおりファイナンス・リースとオペレーティング・リースの分類が存続されており、それぞれの分類に基づく会計処理を行います。
横田公認会計士事務所ブログ

2025年度税制改正(新リース会計基準)
新リース会計基準を踏まえ、2025年度税制改正が行われましたが、税務上は、ファイナンス・ リースとオペレーティング・リースの分類が借手、貸手の両方に在置されています。このため、 借手側のファイナンス・リースに関しては、残価保証(所有権移転外ファイナンス・リース) に係る取扱いを除き、大きな変更はありません。これに対し、貸手側では、リース譲渡特例が廃止されることとなりました。
また、オペレーティング・リースを賃貸借処理した借手が支払うリース料は、これまで法人税法第22条第3項及び同条第4項3に基づき損金算入が認められてきましたが、2025年度税制改正により、「別段の定め」としての法人税法第53条が新設され、債務が確定した支払リース料の損金算入が可能となることが示されました。
これにより、新リース会計基準に基づき借手が計上する費用(使用権資産の減価償却費及び 利息相当額)は、税務上の損金算入が認められず、債務が確定した支払リース料の額と差異がある場合には、申告調整が必要となります。
なお、新リース会計基準を適用しない中小企業等の借手(以下「中小企業等」といいます。) については、前述の残価保証に係る取扱いを除き、今回の税制改正による影響は原則としてありません。
【図表】新リース会計基準と税制の適用関係(借手)
FL:ファイナンス・リース OL:オペレーティング・リース

出所:リース事業協会「2025年度税制改正についてP.3の図表2を基に作成
横田公認会計士事務所ブログ(会社法の監査実施状況調査について)
短期リース・少額リース
上場企業等は、現行基準と同様に、短期リース(1年以内のリース)と少額リース(1契約のリース料総額が300万円以下)について、リース開始日に使用権資産及びリース負債を計上せず、借手のリース料をリース期間にわたって原則として定額法により費用として計上(賃貸借処理)することができます(指針第20項~第23項)
これらの税務上の取扱いは、従来から賃貸借処理により支払ったリース料を「みなし償却費」として、損金算入することが認められており(法人税法施行令第131条の2)、減価償却に関する明細書の添付も不要(法人税法施行令第63条)とされていることから、実務上の取扱いが変わるものではありません。
また、短期リースと少額リースがオペレーティング・リースに該当する場合は、賃借料のうち債務が確定したものを損金算入することになりますが(法人税法第53条)、これまでも債務が確定した賃借料の損金算入が認められていたため、実務上の取扱いが変わるものではありません。

残価保証の取扱い
残価保証とは、リース契約において、リース期間終了時に、リース物件の処分価額が契約上取り決めた保証価額に満たない場合、借手に対して、その不足額を貸手に支払う義務が課せられる条件をいいます。
所有権移転外ファイナンス・リースについて、現行基準では、借手による残価保証額をリース料総額に含めるものとされ、当該保証額はリース資産の残存価額とされていました。 税務上も、残価保証額がリース資産の取得価額に含まれている場合には、その保証額を取得価額から控除する取扱いとされていました(改正前法人税法施行令第48条の2)。
一方、新リース会計基準においては、残価保証に基づく支払見込額を借手のリース料に含めることとされていますが(基準第19項)、所有権が借手に移転しないリース(所有権移転外ファイナンス・リース及びオペレーティング・リース)については、残存価額をゼロとすることが示されており(基準第38項)、残価保証額を取得価額から控除しないことになります。
これを踏まえ、法人税法施行令第48条の2が改正され、2027年3月31日以前に契約を締結したものを除き、残価保証額を取得価額から控除せずにリース資産を減価償却するとされました。また、2027年3月31日以前に契約したものについての経過措置が講じられており、リース資産の改定取得価額(=取得価額-償却累計額)を残リース期間で償却することが認められています。この経過措置を適用するためには、所轄税務署への届出書の提出が必要です。
上記のほか「2025年度税制改正について」では、貸手の取扱い、消費税や法人事業税についても記載されています。詳細は、リース事業協会の下記のホームページより確認ください。


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