会計監査人の異動2025年4月は15社!前年同月3社から5倍に激増!

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2025年4月、1か月の上場会社の会計監査人の異動は15社であり、前年同月が3社であったのに対し5倍に激増した背景や異動理由ついてご紹介します。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

決算期(特に3月決算)によってはここ数年の公認会計士不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース

監査人の規模別異動状況

上記のとおり、大手から中小と中小から中小が共に40%を占めており、就任監査法人に限れば中小監査事務所が就任するケースが大半の80%を占めている状況です。

ある意味、ここ数年は大手から中小への異動から始まり、前年は中小から中小への異動が最多でしたが、そのトレンド通りの異動状況です。

ただし、中小から中小への異動については、今年に入っての特徴である新たに始まったより厳しい上場会社等監査人登録制度への本登録が出来ない中小監査事務所が実質的に辞任するケースが目立っています。

横田公認会計士事務所ブログ

監査人の異動理由

上記の「任期満了により実質的に契約継続辞退」の『実質的に』と記載しているのは、個人的に契約辞退していると推定されるアスカ監査法人が退任している会社が4社あるからです。

なぜ、アスカ監査法人は監査契約を実質的に辞退していると言えるのかについてご説明します。

アスカ監査法人は2025年1月に金融庁から行政処分等により、具体的には新規の監査契約締結は6か月停止および業務改善命令を受けております。

また、新たな法改正により、より事務所の品質管理等が厳しくなった「上場会社等監査人登録制度」の申請締切期限が2024年9月30日でしたが、アスカ監査法人は同制度への本登録がまだ認められていない状況で金融庁による行政処分を受けています。

この様な状況で、登録制度への本登録は非常に厳しいと言えるでしょう。本登録が認められなければ、次年度以降の監査契約継続は出来なくなります。

2025年1月以降、アスカ監査法人が監査人を退任した会社は4月の4社を含め、合計7社となっています。

上記の状況からアスカ監査法人は、上場会社の監査から退く方向性であることが推測されます。結果としてあくまで個人的な推測ですが、アスカ監査法人の任期満了等による退任は実質的には、監査契約継続辞退(辞任)していると考えています。

横田公認会計士事務所ブログ(会社法の監査実施状況調査について)

監査②

アスカ監査法人の退任を公表した会社のIR具体例

1.日本ラッド株式会社/東証スタンダード(4736)

IR公表日 :2025/04/01

異動年月日:2025/06/25

退任監査人: アスカ監査法人

就任監査人: 清友監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査法人でありますアスカ監査法人は、2025年6月25日開催予定の第54回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。監査継続年数、会計監査人としての専門性、独立性、品質管理体制、当社の事業規模と今後の展開予定など総合的に勘案し、複数の監査法人との比較検討をした結果、当社の会計監査人として、新たに清友監査法人を選任するものであります。

2.KYCOMホールディングス株式会社/東証スタンダード(9685)

IR公表日 :2025/04/18

異動年月日:2025/06/24

退任監査人: アスカ監査法人

就任監査人: 誠栄有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査法人でありますアスカ監査法人は、2025年6月24日開催予定の第58期定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。監査継続年数、会計監査人としての専門性、独立性、品質管理体制、当社の事業規模など総合的に勘案し、複数の監査法人との比較検討をした結果、当社の会計監査人として、新たに誠栄有限責任監査法人を選任するものであります。

3.株式会社セレスポ/東証スタンダード(9625)

IR公表日 :2025/04/23

異動年月日:2025/06/17

退任監査人: アスカ監査法人

就任監査人: 監査法人アヴァンティア

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人であるアスカ監査法人は、2025年6月17日開催予定の第48回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。同監査法人においては、2025年1月17日付で金融庁から契約の新規の締結に関する業務の停止6月及び業務改善命令の行政処分を受けたことに鑑み、監査役会は、新たな会計監査人の選任を視野に複数の監査法人の検討を行って参りました。

上記いずれも、アスカ監査法人から監査契約辞退の申し出があった旨を記載していません。しかし、このブログ執筆時の5月10日時点において、5月前半でさらに2社のIRによりアスカ監査法人の退任が公表されています。

監査報酬の値上げ(増額)傾向を理由に異動した具体例

1.株式会社アルバイトタイムス/東証スタンダード(2341)

IR公表日 :2025/04/10

異動年月日:2025/05/27

退任監査人: 有限責任監査法人トーマツ

就任監査人: アーク有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である有限責任監査法人トーマツは、2025年5月27日開催予定の第52回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。当該会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えているものの、監査継続年数が長期にわたることに加え、監査環境の変化による継続した監査報酬の増額が見込まれることから、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性について複数の監査法人を比較検討した結果、アーク有限責任監査法人を新たな会計監査人として選任することといたしました。

2.株式会社瑞光/東証プライム(6279)

IR公表日 :2025/04/10

異動年月日:2025/05/16

退任監査人: EY新日本有限責任監査法人

就任監査人: 太陽有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である EY 新日本有限責任監査法人は、2025年5月16日開催予定の第62回定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。現会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えていると考えておりますが、監査継続年数が長期にわたること、また、監査環境の変化による段階的な監査報酬の増額が見込まれること等から、当社の事業規模に適した監査対応と監査報酬の相当性等を踏まえ、複数の監査法人を対象として総合的に比較検討を行いました。

3.オープングループ株式会社/東証プライム(6572)

IR公表日 :2025/04/22

異動年月日:2025/05/28

退任監査人: 有限責任あずさ監査法人

就任監査人: 監査法人アヴァンティア

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である有限責任 あずさ監査法人は、2025年5月28日開催予定の第26回定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。同会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えていると考えておりますが、監査業界を取り巻く環境が変化する中、段階的な監査報酬の増額が今後も見込まれることから、当社の事業規模に適した監査対応と監査報酬の相当性等を踏まえ、複数の監査法人を対象として総合的に比較検討を行ってまいりました。

上記のように「段階的な監査報酬の増額が見込まれる」ことを理由に監査人を異動している会社はほとんどが大手監査法人から準大手・中小監査法人への異動となっています。

おわりに(3月決算発表集中月の5月末に向けて)

昨年度は、2020年の水準まで会計監査人の異動が減少しましたが、それでも5月だけを見ると、50社(年間145社)の異動が公表されました。

2025年の今年の5月は、上記のとおり監査報酬の増額傾向も継続しています。

一方で、新たな「上場会社等監査人登録制度」への本登録が出来ていない監査法人からの異動も最盛期を迎えることから100社を超える監査人の異動が発表されても不思議ではありません。

現時点(2025年5月9日)で本登録が認められていないみなし登録上場会社等監査人』は、

〇アスカ監査法人

〇霞友監査法人

〇恒栄監査法人

〇ゼロス監査法人

〇爽監査法人

〇監査法人ナカチ

〇監査法人まほろば

など9監査事務所となっています。その中で日本公認会計士協会から登録が拒否されたとの何らかの報道があった事務所は、恒栄監査法人、霞友監査法人、爽監査法人です。

5月の監査人の異動の状況については以下の2点が注目となるでしょう。

登録制度に登録できない監査事務所からの異動社数

監査報酬(費用)の値上げ(増額傾向)による異動社数

上記二つのトレンドにより、例年以上に会計監査人の異動が活発化すると考えられます。

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