会計監査人の異動2025年1月~2月は31社!前年同期17社より大幅増!

目次
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2025年1月~2月の上場会社の監査人の異動は前年同期の17社に比べて14社も増加し31社に達したこと及び2025年2月までに特有の退任会計監査人と就任会計監査人の特徴についてご紹介します。
会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。
決算期(特に3月決算)によってはここ数年の公認会計士不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース
監査人の規模別異動状況

上記の通り、2025年2月までの監査人の異動は、大手から準大手・中小への異動が58%と大半を占めており、大手からの流出が目立っています。一方、2024年年間で一番多い中小から中小への異動のトレンドは2月までに限り落ち着いているようです。
横田公認会計士事務所ブログ

監査人の異動理由
監査人の異動理由としては、2025年の上記31社中21社(67.7%)は、監査報酬の値上げ傾向等を多かれ少なかれ理由に挙げています。その他の理由は、監査人が契約を辞退2社、新たな視点による監査を期待する事のみを上げている会社が2社、親会社と同一の監査法人へ変更する会社が2社、グローバル化により規模が拡大するためより大きい監査法人へ異動するとの理由が2社などとなっています。
前章の大手から準大手・中小への異動のほとんどは監査報酬の値上げ傾向を理由に、いわゆる「当社の事業規模に適した監査対応と監査費用を勘案した結果」他の監査法人へ変更したと言えるでしょう。
監査報酬の値上げのトレンドと人員不足のトレンドはここ数年継続していますが、2025年の2月までもそのトレンドはより顕著になり、監査人の異動が前年同期比1.8倍以上となっています。
横田公認会計士事務所ブログ(会社法の監査実施状況調査について)

今年の主たる退任監査人・就任監査人の特徴
2025年2月までの監査人の異動で、それぞれ一番多い監査法人は
・退任監査人・・・あずさ監査法人10社
・就任監査人・・・太陽監査法人 7社
となっています。退任監査人であずさに続くのはトーマツの8社であり、就任監査人で太陽監査法人以外は、多くても2社止まりとなっています。
まずは、退任監査人で一番多い「あずさ監査法人」について、少し詳しく見てみましょう。
ほとんどは、監査費用を理由に退任しているのですが、自ら監査契約を辞退している例もありますので具体的にご紹介します。
【具体例1】
「株式会社マーキュリアホールディングス/東証プライム(7347)
IR公表日 :2025/02/19
異動年月日:2025/03/25
退任監査人: 有限責任あずさ監査法人
就任監査人: EY新日本有限責任監査法人
異動理由:[任期満了]
当社の会計監査人である有限責任あずさ監査法人は、2025年3月25日開催予定の第4回定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。同会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えていると考えておりますが、同監査法人より、監査業界を取り巻く環境が変化する中、監査品質を確保するための人員確保が困難であるとして、任期満了をもって監査契約の継続を辞退したい旨の申し出がありました。これを受けて、当社といたしましても他の監査法人への交代を検討してまいりました。」
上記の通り、「人員確保が困難」であるとして監査契約の継続を辞退しています。
大手監査法人で人員確保が困難を理由に監査契約を辞退するのはかなり珍しいケースと言えるでしょう。ほとんどの大手監査法人は、監査報酬の値上げをして会社の方からより安い監査報酬の監査法人に変更するケースですが、今回のケースでは大手から大手への異動であり、値上げをしても根本的に「人員確保そのものが困難」と捉えかねない状況になっているのでしょうか?今後の「あずさ監査法人」の動向に注目しましょう。

アクティブさを加速した某準大手監査法人
あずさ監査法人とは対照的に、準大手の太陽監査法人は2025年に7社、新規に就任監査法人となりました。
太陽監査法人は、2023年12月に金融庁から行政処分が下され、2024年1月から3月までは新規の監査契約の締結を停止されていました。
行政処分前の2023年は、12社の就任監査法人となり、準大手の中ではアクティブに監査契約を締結していましたが、行政処分後の2024年4月から12月は流石にそれほど目立たず、就任監査人は7社でした。
2024年は9カ月で7社の就任だったのが、2025年は2か月ですでに2024年と同数7社の就任監査人となっています。
具体例を1社ご紹介しましょう。
【具体例2】
「株式会社ブロンコビリー/東証プライム・名証プレミア(3091)
IR公表日 :2025/02/14
異動年月日:2025/03/25
退任監査人: 有限責任あずさ監査法人
就任監査人: 太陽有限責任監査法人
異動理由:[任期満了]
当社の会計監査人である有限責任 あずさ監査法人は、2025年3月25日開催予定の第43期定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。同監査法人については、会計監査が適切に行われることを確保する体制を十分に備えていると考えておりますが、当社の事業規模に対して今後の監査報酬に対する動向、さらには、監査等の継続期間が長期にわたることも勘案し、他の監査法人と比較検討を行ってまいりました。」
上記の通り、会社は今後の監査報酬の動向について異動理由に挙げています。
金融庁による処分が行われてから1年で、処分前よりも更にアクティブに新規の監査契約獲得に奔走しているように思われます。
こちらも今後の動向に注目しましょう。

おわりに(2025年の監査人の異動)
会計監査人の異動は、当事務所集計で2022年の249社をピークに2023年は192社、2024年は145社まで減少しました。
2025年2月までの累計で31社というのは、2023年の32社に並ぶ水準となります。
2024年は145社まで減少し、会計監査人の異動はピークアウトしたかに見えましたが、2024年は一過性だったようです。
大手からの流出が多いことは、2025年は2023年の水準まで増加するのではないでしょうか。
また、上場会社等監査人登録制度により上場会社の監査人の品質管理が厳格化されています。
厳格化前の「みなし登録上場会社等監査人」でまだ登録が認められていない中小監査法人が複数存在しています。
登録が認められない「みなし登録上場会社等監査人」のクライアントは、直近の決算までは監査を受けることができますが、次の決算には新規の「登録上場会社等監査人」に異動しなければならないでしょう。
これらの会計監査人の異動も含めると、今年、2025年の会計監査人の異動は2023年を超えることも予想されます。 2月決算と3月決算会社の動向に特に注意しながら、今後の会計監査人の異動について注目しています。


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