アスカ監査法人に金融庁が2度目の行政処分等!調書改ざんなど

金融庁報告書

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、令和6年11月1日、金融庁に金融庁の公認会計士・監査審査会がアスカ監査法人に行政処分その他の措置を講じるよう勧告を行い、金融庁が勧告を受けて令和7年1月17日に行政処分等を行った内容や今後についてご紹介します。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

決算期(特に3月決算)によってはここ数年の公認会計士不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

横田公認会計士事務所ニュース

行政処分等の内容

・監査契約の新規の締結に関する業務の停止6月(令和7年1月20日から令和7年7月19日まで)

・業務改善命令

横田公認会計士事務所ブログ

金融庁

行政処分等の理由

「業務管理体制」~一部抜粋~

「経営管理担当者である代表社員及び品質管理担当責任者である代表社員は、職業的専門家としての倫理感が欠けており、法人内において、外部検査等での指摘の回避を最優先事項とし、職業的専門家としての誠実性・信用保持を軽視する風土が形成され、まん延する状況を助長・放置している。このため、業務執行社員が、監査報告書日後の追加的な監査手続の実施、監査調書の事後的な作成や改ざん等を指示し、監査補助者が当該指示を躊躇なく実行するなど、社員及び職員において、法令、監査の基準、倫理規則等を遵守して業務を遂行する意識が保持されていない。

「品質管理体制」

利益相反取引の承認

「経営管理担当者である代表社員は、他の社員の過半数による承認を受けることなく、当該代表社員が代表社員を務める税理士法人との顧問契約の締結、当該代表社員が代表取締役を務める株式会社との業務委託に関する契約の締結等を行っている。」

②(日本公認会計士協会の)品質管理レビューに対する不適切な対応

「当監査法人の社員及び職員は、令和4年度品質管理レビュー(通常レビュー)及び令和5年度品質管理レビュー(改善状況の確認)において、レビュー対象個別監査業務とする監査業務に係る通知を受けてから、協会のレビューアーに当該監査業務に係る監査ファイルを提出するまでの期間において、監査調書の改ざんを組織的に行っている。

③(公認会計士・監査)審査会検査に対する不適切な対応

「当監査法人の社員及び職員は、今回の審査会検査において検証対象個別監査業務とする監査業務に係る通知を受けてから、審査会検査の検査官に当該監査業務に係る監査ファイルを提出するまでの期間において、監査調書の改ざんを組織的に行っている。

監査調書の管理及び最終的な整理(監査調書の変更等)

「当監査法人は、監査報告書日後に実施した監査手続の結果に基づき、監査調書を新たに作成する行為等を防止するための措置を講じておらず、監査調書の事後的な作成や、監査調書の改ざんを組織的に行っている。

その他にも

審査担当社員は、監査調書の査閲を十分に実施することなく審査を完了させており、重要な不備を含む複数の不備を指摘できていない。など最後には以下の文言で締めくくられています。

「このように、当監査法人の品質管理態勢については、検証した範囲において、利益相反取引の承認、審査会検査及び協会が実施する品質管理レビューに対する不適切な対応、監査調書の管理及び最終的な整理(監査調書の変更等)並びに監査業務に係る審査に関して重要な不備が認められるほか、広範かつ多数の不備が認められており、著しく不適切かつ不十分である。

「個別監査業務」

ここでも様々な不備が具体的に記載されており結論として

検証した個別監査業務において、重要な不備を含む広範かつ多数の不備が認められており、当監査法人の個別監査業務の実施は著しく不適切かつ不十分なものとなっている。」として締めくくられています。

全文に興味のある方は、以下の金融庁の報道発表資料を参照ください。

監査法人の処分について

横田公認会計士事務所ブログ(2024年5月)

アスカ監査法人の前回の行政処分

アスカ監査法人は金融庁から2017年9月22日にも処分が行われていますが、当時の処分理由は

相当の注意を怠り、重大な虚偽のある財務書類を重大な虚偽のないものとして証明した。」でした。

今回よりも公認会計士としてはかなり問題のある処分理由ですが、行政処分の内容は

・契約の新規の締結に関する業務の停止 3月

・業務改善命令

今回の新規の監査契約締結の停止期間6カ月より半分も短いものでした。

金融庁の処分結果も、2度目の行政処分等の原因を重く見ているようであり、以前よりかなり厳しいものになっています。

アスカ監査法人の今後はどうなるのか?

直近で、2度の行政処分がなされた他の監査法人としては「仁智監査法人」のケースがありました。

2015年に「業務改善命令」、2022年5月に「契約の新規の締結に関する業務の停止1年」と「業務改善命令」でした。

その後「仁智監査法人」は2022年12月31日に解散しています。

2度目の行政処分後は1年間、新規の契約は出来ないのですが、既存の監査契約の更新は可能でした。しかし結局は、社会的な信頼が失墜し、既存顧客の流出が相次いだ結果でしょう。

さて、アスカ監査法人はどうなるのでしょう。

すでに顧客の流出が始まっています。12月決算の千代田インテグレ株式会社のIRを見てみましょう。

千代田インテグレ株式会社/東証スタンダード(6915)

IR公表日 :2025/02/13

異動年月日:2025/03/28

退任監査人: アスカ監査法人

就任監査人: 監査法人アヴァンティア

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人であるアスカ監査法人は、2025年3月28日開催予定の第69回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。同監査法人においては、公認会計士・監査審査会による検査の結果に基づいて、2024年11月1日付にて同審査会から行政処分などの措置の勧告が金融庁に対して行われ、2025年1月17日付で当勧告を踏まえた金融庁から契約の新規の締結に関する業務の停止6月及び業務改善命令の行政処分を受けたことに鑑み、監査役会は、新たな会計監査人の選任を視野に複数の監査法人の検討を行って参りました。

として、監査法人を変更しています。

また、アスカ監査法人の事務所全体の2024年度の監査報酬の3分の1を占めていたAbalance株式会社の監査人としては、2024年9月の株主総会にてアスカ監査法人は辞任しています。

アスカ監査法人は1987年設立であり、中小監査法人の中では比較的老舗の監査法人のひとつですが

・今後も監査人を退任する会社がどれだけ増えるのか?

・登録上場会社等監査人に本登録されるのか?

以上2点については今後数カ月は注目してみましょう!

CPA背景

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