学校法人の会計監査:高等教育の修学支援制度の概要と会計処理

はじめに

大阪では、新型コロナウイルスの感染者が第三派を迎えていると吉村知事から発表がありました。全国的にも増加傾向にあります。昨日の大阪の感染者は226人です。8月6日以来の200人越だそうです。一方でファイザー社のワクチン開発が話題になり、株価は連日高値を更新しているのとは対照的ですね。コロナの第三派は、これからの忘年会シーズンや年末年始の移動を考えている方は気になっていると思います。

コロナにより家計に影響が出ている方も多いでしょうが、今回の高等教育の修学支援制度はコロナ対策ではなく、昨年の消費税増税による財源で実現した制度です。

1.概要

本制度は、我が国における急速な少子化の進行及び大学等における修学の重要性に鑑み、総合的な少子化対策を推進する一環として、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、社会で自立し、活躍することができる豊かな人間性を備えた創造的な人材を育成するために必要な質の高い教育を実施する大学等における修学に係る経済的負担の軽減を図るため、次の支援措置が講じられたものです。

2.支援対象となる学校種等は次の通りです

支援対象となる学校種 大学・短期大学・高等専門学校・専門学校
支援内容 ① 授業料等減免制度の創設

② 給付型奨学金の支給の拡充

支援対象となる学生 住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生

(2020年度の在学生(既入学者も含む。)から対

象)

財源 少子化に対処するための施策として、消費税率引

上げによる財源を活用

国負担分は社会保障関係費として内閣府に予算計

上、文科省で執行

3.上記2.①の授業料等減免に関しては、各大学等が、次の上限額まで

授業料等の減免を実施するとされている。減免に要する費用は公費か

ら支出される。

国公立 私立
入学金 授業料 入学金 授業料
大学 約28万円 約54万円 約26万円 約70万円
短期大学 約17万円 約39万円 約25万円 約62万円
高等専門学校 約8万円 約23万円 約13万円 約70万円
専門学校 約7万円 約17万円 約16万円 約59万円

会計処理

1.2019年11月25日付で文科省より以下のように示されています。

・国から私立大学等を設置する学校法人に対する「授業料等減免に要する費用に充てるための資金の交付」(注)は、「(大科目)補助金(収入)」、「(小科目)国庫補助金(収入)」に計上し、減免額を「(大科目)教育研究経費(支出)」、「(小科目)奨学費(支出)」に計上していただくものと考えます。

(注)国においては、「授業料等減免費交付金」(仮称)を予定(※)

・なお、都道府県から私立専門学校を設置する学校法人に対する「授業料等減免に要する費用に充てるための資金の交付」は、「(大科目)補助金(収入)」、「(小科目)地方公共団体補助金(収入)」に計上し、減免額を「(大科目)教育研究経費(支出)」、「(小科目)奨学費(支出)」に計上していただくものと考えますが、都道府県において、別途指導・助言がある場合には、それに従い計上してください。

(※)国が資金を交付する際に使用する費用の正式名称については、私立の大学・短大・高専に対する減免に要する費用に充てるための資金は「授業料等減免費交付金」、私立の専門学校に対する減免に要する費用に充てるための資金は「授業料等減免費負担金」に決定している。

2.なお、計算書類の作成に当たっては、学校法人会計基準第2条第3号において「財政及び経営の状況を正確に判断することができるように必要な会計事実を明りょうに表示すること。」が求められ、また、小科目に関しては、学校法人会計基準別表第一 資金収支計算書記載項目(第10条関係)(注)1において、「適当な科目を追加し、又は細分することができる。」とされています。

3.上記2.を踏まえると、上記1.の「(小科目)奨学費(支出)」については、他の奨学費(支出)とは区分して、高等教育の修学支援新制度に基づく減免額であることが分かるような小科目名を付して計上することも考えられます。

おわりに

高等教育の修学支援制度には、給付型奨学金もあります。また支援対象者の要件もありますので詳細は以下文科省のホームページを参照ください。

 文部科学省(高等教育の修学支援制度)

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