新リース会計基準の概要及び法務省の会社計算規則改正案の公表

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、新リース会計基準の概要と法務省が2月5日公表した会社計算規則の改正案についてご紹介します。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

決算期(特に3月決算)によってはここ数年の公認会計士不足の影響を当事務所も受けており、人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

法改正

横田公認会計士事務所ニュース

新リース会計基準の対象会社

新リース会計基準の対象となる会社はメインは上場会社及びその子会社、その他会計監査人を設置している会社法監査の対象会社(大会社)等であり、会計監査人が設置されていない中小企業等は対象外です。

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改正の主なポイント

①「形式」より「実態」を重視

改正により、契約書に「リース」と記載が無い契約であっても、「実態」として自社の資産のように使用できるものであれば、リースに該当し、オンバランスされます。

②原則すべてのリースが貸借対照表に計上(オンバランス)

現行のリース基準はファイナンス・リースとオペレーティング・リースの2種類があります。ファイナンス・リースとは、途中解約ができず、使用に伴う費用のほとんど全てを実質的に借主が負担する契約です。オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースです。ファイナンス・リースは実質的に自社の資産と考えられるため、ファイナンス・リースに該当するリース契約では、リース資産とリース債務がオンバランスされます。

一方で、オペレーティング・リースでは、支払ったリース料が損益計算書に計上されるだけであり、貸借対照表にリース資産とリース債務は計上されません(オフバランス)。

日本企業の多くはオフバランスによる実務的なメリットがあるため、オペレーティング・リースを多用して来ました。

しかし、改正により、原則として全てのリースが貸借対照表(使用権資産とリース負債)に計上され、台帳等での継続管理が必要になります。また、使用権資産及びリース負債が計上されることで、自己資本利益率(ROE)と総資産利益率(ROA)が悪化するため、会社の経営判断にも影響を与えることになります

例外規定もあります。1契約あたりの総額が300万円以下または新品時の資産価値が5,000米ドル以下のリース契約はオフバランスが可能です。また、リース期間が12ヵ月以内で購入オプションを含まないリース契約もオフバランスが可能です。

現行のオペレーティング・リースは、リース期間に渡りリース料を定額で費用に計上しています。しかし、オンバランスにより現行のファイナンス・リースと同様に、減価償却費と支払利息を計上することになります。

③リース期間は契約期間ではなく、延長及び解約オプション期間を考慮する

現行のファイナンス・リースについてはリース契約期間に基づいてリース期間を決定し、リース資産とリース債務の計上額を計算しています。しかし、新リース会計基準になると、リース契約期間ではなく、リース契約の延長または解約オプションを含めたリース期間を決定する必要があるため、リース期間≠契約期間になる可能性があります。

法務省の会社計算規則の改正案

法務省は2月5日、「会社計算規則の一部を改正する省令案」を公表しました。

企業会計基準委員会(ASBJ)が昨年9月に公表した企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等へ対応するためです。同基準を踏まえた使用権資産の貸借対照表上の取扱いやリースに関する注記を追加しています。

横田公認会計士事務所ブログ(会社法の監査実施状況調査について)

使用権資産の貸借対照表上の区分

改正案では使用権資産を「リースの対象となる資産を使用する権利」と定義しています(会社計算規則案2条3項56号)。その上で、貸借対照表上の区分について、使用権資産はリースの対象となる資産に応じた区分(ex有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産)に属するものとしています(同74条)。

また、リース負債は、1年内に期限が到来するものは流動負債に、それ以外のものは固定負債に属するものとしています(同75条)。

リースに関する注記

改正前の「リースにより使用する固定資産に関する注記」を「リースに関する注記」に改め、個別注記表における記載項目としています(会社計算規則案98条)。

具体的には、以下を記載するとしていますが、重要性が乏しいものは省略することができます。

(1)借り手である場合

①会計方針に関する情報

②リース特有の取引に関する情報

③当期および翌期以降のリースの金額を理解するための情報

(2)貸手である場合

①リース特有の取引に関する情報

②当期および翌期以降のリースの金額を理解するための情報

なお、新リース会計基準を適用しない株式会社にあっては、従前と同様に、リースの対象となる資産の内容を開示することになります。

改正「会社計算規則」の適用時期

2027年4月1日以後に開始する事業年度に係る計算書類について適用する(2025年4月からの早期適用も可能)。

また、経過措置として、適用初年度におけるリースに係る会計方針の変更については、計算書類の主な項目に対する影響額に代えて、次に掲げる事項を注記することができるとされています(会社計算規則案附則2条2項)

・適用初年度の期首の貸借対照表に計上されているリース負債に適用している借手の追加借入利子率の加重平均

・加重平均後の追加借入利子率で割り引いた適用初年度の前事業年度の末日において開示したリース(ファイナンス・リースを除く)の未経過リース料と、適用初年度の期首の貸借対照表に計上されているリース負債との差額の説明

CPA背景

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