改正私立学校法における計算書類等の改正の概要
はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログ)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、主には、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。
他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2023年5月私立学校法改正における計算書類、附属明細書及び財産目録関係の改正の概要をご紹介します。
会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、の問い合わせフォームよりお申し込みください。
計算書類(貸借対照表及び収支計算書)及びその附属明細書について
まず、適用する会計基準について、改正前では法令の定めはありませんが、改正私立学校法では、学校法人会計基準に従うこととされています(改正私立学校法第101条)。
また、会計帳簿についても、改正前において法令の定めはありませんが、改正私立
学校法においては、適時に正確に作成し、10年間保存することが義務付けられています(改正私立学校法第102条)。
最後に、計算書類(貸借対照表及び収支計算書)及びその附属明細書については、次の改正がなされています。
現 行 | 改 正 後 (括弧内は改正私立学校法の 根拠条項) | |
作成期限( 理事会承認期限) | 毎会計年度終了後2か月以内 | 毎会計年度終了後3か月以内(第103条第2項) |
定時評議員会招集通知への添付 | 法令の定めなし | 計算書類・監査報告の添付が必要(第105条第1項) |
評議員会への報告 | 毎会計年度終了後2か月以内に報告し、意見を聴く。 | 定時評議員会で報告し、意見を聴く( 第105 条第3 項)。 |
備置き | 作成の日から5 年間、各事務所に備え置く。 | 定時評議員会の日の1週間前の日から5年間、主たる事務所に備え置く(第106条第1項)。 (従たる事務所には、写しを3年間備え置く(※1)(第106条第2項) |
閲覧請求権 | 大学所轄学校法人:何人も 知事所轄学校法人:利害関係人 | 大学所轄学校法人等:何人も(第149条第1項) 大学所轄学校法人等以外の法人:利害関係人(第106条第3項第4項) |
インターネット等による公表 | 大学所轄学校法人:義務 知事所轄学校法人:規定なし | 大学所轄学校法人等:義務(第151条) 大学所轄学校法人等以外の法人: 努力義務( 第137 条) |
電磁的記録による作成 | 法令の定めなし | 電磁的記録による作成が可能な旨規定( 第103 条第3項) |
保存 | 法令の定めなし | 作成した時から10年間保存する(第103条第4項) |
(※1)計算書類等・監査報告を電磁的記録で作成し、閲覧請求に応ずる措置として文部科学省令で定めるものを取っている場合を除く。
上記の改正は、2025年度の決算書類から適用とされています(改正私立学校法附則第4条第1項)。
財産目録について
現 行 | 改 正 後 (括弧内は改正私立学校法の 根拠条項) | |
作成基準 | 法令の定めなし | 学校法人会計基準に従う(第107条第1項) |
作成期限(理事会承認期限) | 毎会計年度終了後2か月以内 | 毎会計年度終了後3か月以内(第107条第1項) |
備置き | 作成の日から5 年間、各事務所に備え置く。 | 定時評議員会の日から5年間、主たる事務所に備え置く(第107条第3項)。 (従たる事務所には、写しを3年間備え置く(※1)(第107条第4項)。 |
閲覧請求権 | 大学所轄学校法人:何人も 知事所轄学校法人:利害関係人 | 大学所轄学校法人等:何人も(第149条第2項) 大学所轄学校法人等以外の法人:利害関係人(第107条第5項) |
インターネット等による公表 | 大学所轄学校法人:義務 知事所轄学校法人:規定なし | 大学所轄学校法人等:義務(第151条) 大学所轄学校法人等以外の法人: 努力義務( 第137 条) |
電磁的記録による作成 | 法令の定めなし | 電磁的記録による作成が可能な旨規定( 第107 条第2項) |
(※1)計算書類等・監査報告を電磁的記録で作成し、閲覧請求に応ずる措置として文部科学省令で定めるものを取っている場合を除く。
上記の改正は、2025年4月1日から適用とされています。ただし、2024年度末の財産目録については、従来の作成方法で作成し、2025度末の財産目録から新会計基準を適用する予定とされています(改正私立学校法附則第1条)。
学校法人会計基準の根拠
学校法人会計基準については、今回の改正により、根拠が私立学校法に位置付けられることを受け、「補助金の適正配分と効果」を目的とした基準から、「学生、保護者、地域住民などのステークホルダーへの情報開示」を目的とする基準として再整備される必要があるでしょう。
根拠 | 目的 | 適用対象 | |
現行の会計基準 | 私立学校振興助成法 | 補助金の適正配分 | 経常費補助を受ける学校法人 |
新会計基準 | 私立学校法 | 情報開示 | すべての学校法人 |
上記の改正は、2025年度の決算書類から適用とされています(改正私立学校法附則第4条第1項)。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。
監査等のご依頼・ご相談は、問い合わせフォーム(24時間年中無休)にてご連絡ください。
以下のアドレスに直接メールされる方は、①お名前・②所属組織・③連絡先・④問い合わせ内容を記載して送信ください。所属組織や連絡先の記載がない問合せはお断りします。
各種法定監査や合意された手続業務・税務顧問のご依頼・ご相談は気軽に問い合わせください。
依頼を伴わないご相談のみの場合は、30分5,000円(税抜)の相談料が発生します。