家賃支援給付金の支給が始まっています!

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はじめに

新型コロナウイルスの影響により売上が減少した中小企業やフリーランスなどへの、家賃支援給付金の支給が2020年8月3日から始まりました。すでに持続化給付金を申請済みの事業主でも、家賃支援給付金の存在を知らないケースがあるようです。また、電子申請ができないとあきらめるケースもあるようですが、地域にサポート会場が用意されています。

今回は、家賃支援給付金の支給対象や、申請に必要な書類、準備、注意点など細かく解説しますで、申請で戸惑っている人はぜひご一読ください。

家賃支援給付金とは?

家賃支援給付金とは、経済産業省(中小企業庁)の支援策の1つで、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の延長などにより、売上が減少した企業などへの家賃負担を軽減することを目的にした給付です。

それでは、ご自身の会社が支給対象に該当するのかをはじめ、申請期間やいくら支給されるのかなど、前回より詳細かつ具体的に説明します。

●支給対象について

新型コロナウイルスの影響で売上が減少した中堅企業、中小企業、小規模事業者、フリーランスを含む個人事業主が対象となります。医療法人、農業法人、NPO法人、社会福祉法人も対象に含まれています。

支給対象となる事業者は、次の4つの要件を満たす必要があります。

1.資本金額または出資総額が10億円未満であること

資本金額などが定められていない場合は、常時使用する従業員数が2,000人以下であること

2.2019年12月31日以前から事業収入があり、今後も事業継続する意思があること

3.2020年5月~12月の売上高について、いずれか1か月の売上が前年の同じ月と比べて50%以上減っていること

もしくは、連続する3か月の合計が前年の同期間の売上合計と比べて30%以上減っていること

4.自らの事業のために占有する、他人の土地・建物の賃料を支払っていること

●給付額の上限

給付額は、法人に最大600万円、個人事業者に最大300万円が一括支給されます。

一律額の給付ではなく、法人、個人事業主それぞれにおいて、申請時の直近1か月に支払った月額賃料に基づいて算定されます。

【給付額の算定方法】

月額の支払賃料 給付額の算定方法
法人(最大給付額600万円) 75万円以下 支払賃料×2/3×6
75万円超

(50万円+(支払賃料-75万円)×1/3)×6

※下線部は上限100万円

個人事業者 37.5万円以下 支払賃料×2/3×6
37.5万円超

(25万円+(支払賃料-37.5万円×1/3×6

※下線部は上限50万円

上記の算定方法により、申請前に給付額を把握できますが、申請の段階で自動的に計算されるので、あらかじめ金額を打ち出さなくても問題なしです。

計算よりも大変なのが、申請にあたり用意する書類の準備です。次の項目で、詳しく説明します。

スムーズな給付金の申請&支給のための準備

家賃支援給付金における必要書類は持続化給付金の申請時よりも多いのが特徴です。1つでも準備不足書類があると、スムーズな申請や支給がなされません。また、法人と個人事業主では申請に必要な書類が異なりますが、大まかな部分や流れはほぼ同じと理解ください。

以下に紹介する申請内容の詳細は、中小企業庁の【家賃支援給付金ポータルサイト】で再度確認ください。法人・個人事業主別の詳細や、丁寧に作られた<動画でわかる電子申請>も設置されています。同サイト内<給付の流れ>から、<申請にあたっての注意>や<よくある不備>にも目を通しておきましょう!

家賃支援給付金ポータルサイト

●申請期間

申請の期間は2020年7月14日から2021年1月15日までです。電子申請の締め切りは2021年1月15日の24時までで、締め切りまでに申請の受付が完了したもののみが対象となります。

●メールアドレスとプリンターの準備

申請にあたりログインIDを新たに作るため、メールアドレスが必要です。持続化給付金のログインIDは使えませんので注意ください。また、申請内容によっては、入力中に追加が必要となることもあるので、プリンターも用意しておきましょう。

●業種や設立年月日の確認

基本情報入力の段において、住所や氏名などのほか、業種(大分類・中分類・小分類)や設立年月日を記載する箇所があるので、あらかじめ確認しておきましょう。

●必要書類の準備

【家賃支援給付金ポータルサイト】の<申請する>ボタンを押すと、申請前に準備するものが提示されます。書類によっては該当箇所がわかるように印をつけるため、申請前にすべてのファイルを準備しておきましょう。

とくに、最初に求められる「誓約書」を準備していないとつまずきやすいので、ポータルサイト下部にある<資料ダウンロード>からダウンロードし、ファイル化しておくとスムーズに申請作業が進みます。

資料ダウンロード

1.誓約書

代表者自署の誓約書で、ページ内のフォーマットをダウンロードして署名します。PDF・JPG・JPEG・PNGのいずれかで保存しておきましょう。

2.売上に関する書類

申請に用いる月や期間、売上などには、下線や枠で囲む作業も必要です。

   2019年分の確定申告書別表一の控え(法人)

   法人事業概況説明書の控え

   受信通知(※e-Taxにて申告をおこなっている場合のみです)

   申請に用いる売上が減った月・期間の売上台帳など

   に関して、個人事業主は確定申告書第一表の控えとなり、収受日付印の押印、または電子申告の日時・受付番号の記載が必要です。郵送で申告した場合で収受日の押印がない場合、所得金額を証明する「納税証明書(その2)」を税務署で請求するか、オンラインまたは郵送で取り寄せておきましょう。詳細は、【国税庁HP・納税証明書の交付請求手続】でご確認ください。

国税庁HP・納税証明書の交付請求手続

3.賃貸借契約に関する書類

①賃貸借契約書の写し

②直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類

支払い実績では、銀行取引明細書(振込明細書)、賃貸人からの領収書、通帳の写しなどを準備します。通帳の写しを用いる場合は、3か月分がわかるようにコピー&画像ファイル保存します。複数画像添付できるので、3枚の画像になっても大丈夫です。

契約書や通帳の該当部分には枠などの印をつける必要があるので、ポータルサイト内の<準備する書類>を参考に作業し、画像ファイルとして保存しておきましょう。

注意点として、申請手続内の<土地・建物に関する賃貸借契約情報の入力>画面で必要な「賃貸借契約書」のファイルは1枚しか添付できないため、複数画像を1つのファイルに統合する必要があります。

なお、住居兼事業所は、事業用の地代・家賃として税務申告している部分のみ、給付の対象となります。賃料の欄には、該当額を記載してください。

4.口座情報に関する書類

①給付金の振込先がわかる口座情報

通帳の表紙だけでなく、通帳をひらいた1.2ページ目も必要です。電子通帳の場合は、金融機関名、支店名、口座種別、口座番号、名義人が表示されている画面を画像として添付できます。なお、申請者以外は認められないので注意してください。

支店名に「ヶ」がある場合、「ケ」と全角で入力しないとエラーとなる可能性が大きいので、はじかれた場合は参考にしてください。

5.本人確認に関する書類(個人事業主のみ)

①本人確認書類の写し

以下のいずれかを画像ファイル化してください。

  運転免許証(両面)

  個人番号カード(オモテ面のみ)

  写真付きの住民基本台帳カード(オモテ面のみ)

              在留カード、特別永住者証明書、外国人登録証明書(両面)

●電子申請が困難な場合

家賃支援給付金の申請は電子申請が基本ですが、ハードルが高いと感じる場合は、国が準備した「サポート会場」を利用してください。

お住まいの都道府県内に複数設置されており、事前の予約が必要です。会場にはコピー機がないため、必要書類のコピー(できれば現物)を持っていきます。

予約の手順や設置場所なども【家賃支援給付金ポータルサイト】から検索できます。

おわりに

新型コロナウイルスによる売上が減少した法人や個人事業主は、要件に合致していれば家賃支援給付金を受給できます。必要書類の準備は大変ですが、1つずつ確認しながら準備万端整えて、申請に臨んでください。