会計監査人の異動2022年9月は6社!中小への変更は4社!トレンド継続!

監査②

はじめに

9月に株主総会を開催する上場会社は6月決算であり、3月決算が大多数を占め、続いて2月(8月)の小売業の決算が多い日本企業の中では、6月決算はかなり少ないのが現実です。

そのような中、6社が会計監査人の異動を公表しています。

個別にみていきましょう。

6社中4社は大手・準大手・中小から中小監査事務所へ

   大手監査法人から中小監査事務所へ・・・1社

   準大手監査法人から中小監査事務所へ・・・2社

   中小監査事務所から中小監査事務所へ・・・1社

   大手監査法人から準大手監査事務所へ・・・1社

   中小監査事務所から準大手監査法人へ・・・1社

上記のうち、③はハイビスカスから中小監査事務所への変更のため、金融庁の行政処分が影響しています。

以下の章で、今年一番多い①の監査人の異動のIRと⑤の中小から準大手という一見、監査報酬の値上げが原因ではないと思われる監査人の異動について取り上げます。

会社のIR公表事例

それでは、①の事例です。

【株式会社カラダノート/東証グロース(4014)】

IR公表日 :2022/09/15

異動年月日:2022/10/26

退任監査人: 有限責任監査法人トーマツ

就任監査人: アスカ監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である有限責任監査法人トーマツは、2022年10月26日開催予定の第14回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。近年、監査報酬が増加傾向にあり、次期以降も増加することが見込まれることなどを契機として、当社に適した監査対応と監査報酬の相当性について検討してまいりました。

やはり、監査報酬の増加及び次期以降も報酬の増加が見込まれるようです。当該IRはかなり正直に理由を書かれている印象を受けます。

大手・準大手から中小監査事務所への変更においても、監査報酬の増加を理由に挙げていない会社も多くみられますが、個人的に私の主観ですが、会計不正以外の大手等から中小監査事務所への変更は監査報酬の増加が原因の中心であると感じています。

次に、中小から準大手への変更の⑤のIRを見てみましょう。

【BRUNO株式会社/東証グロース(3140)】

IR公表日 :2022/09/06

異動年月日:2022/09/28

退任監査人: 東邦監査法人

就任監査人: 太陽有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である東邦監査法人は、2022年9月28日開催予定の第27回定時株主総会終結の時をもって任期満了により退任いたします。現在の会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を十分に備えていると考えておりますが、現会計監査人である東邦監査法人の監査継続年数を考慮し、また、太陽有限責任監査法人を起用することにより、当社の親会社であるRIZAPグループ株式会社と会計監査人を統一することによりグループ全体の監査の効率化が期待できることに加え、~以下省略~

太陽さんへの変更であったため、準大手の中で一番アグレッシブに監査人の就任を行っている太陽さんが中小監査事務所の案件まで取りに行ったのかと少し驚きましたが、実情は親会社の会計監査人と統一するためでした。

上記IR公表会社は直近監査報酬21百万円の東証グロース上場の会社であり、中小監査事務所で監査的には充分であったのでしょうが、親会社の太陽さんの意向が反映されたとも考えられますので、単なる連結グループでの会計監査人の統一を会社が選択したのかどうかは当事者のみ知ることですが。

おわりに

昨年、2021年の会計監査人の異動は219社でした。その前の2020年は142社です。それに対し、今年2022年は9月までの9か月で211社となっています。

このペースで推移すると今年の会計監査人の異動は250社を超えると予想しています。

一方で、今年は中小監査法人を中心に、金融庁の検査の結果、行政処分(監査体制が十分ではないと金融庁が判断した)を受けた監査法人はすでに3法人となっています。こちらも過去最高の行政処分のペースです。

今も、金融庁が中小監査事務所に対し検査を行っているという公認会計士業界の裏情報も漏れてきています。今行われている金融庁の検査もかなり、ピンポイントで厳しいと伝わってきていますので、年末までに中小監査事務所の中からもう1法人に対して行政処分の勧告がある可能性があります。

公認会計士の会計監査を巡る情勢から目が離せなくなっていますが、監査報酬の増加傾向は来期も続くと予想されることから、大手・準大手監査法人から中小監査事務所への会計監査人の異動のトレンドは今後も続き、金融庁が上場会社を監査する監査事務所に対するガバナンス・コードの状況など、なにか変化があれば、今後もブログを通して発信していきます。

非上場会社(会社法・学校法人・医療法人・労働組合など)で、当事務所の監査にご興味のある方は以下のブログを参照ください。

参照ブログ)個人の公認会計士事務所による監査はメリットだらけ(監査報酬見直し、高品質保証)

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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