医療法人の会計監査

医療法人経営の透明性をより確保するために、平成27年9月に「医療法の一部を改正する法律」が成立し、一定規模以上の医療法人に対して、公認会計士・監査法人による監査(会計監査)を受けることが義務付けられました。(改正医療法第51条及び第70条の14)これにより、医療法人は医業経営において更なる効率性と透明性を求められています。

公認会計士監査の対象となる一定規模以上の医療法人

  1. ・医療法人のうち、最終会計年度に係る負債額の合計が50億円以上、または、収益額の合計が70億円以上であるもの
  2. ・社会医療法人のうち、最終会計年度に係る負債額の合計が20億円以上、または収益額の合計が10億円以上であるもの
  3. ・社会医療法人のうち、社会医療法人債発行法人であるもの
  4. ・地域医療連携推進法人

医療法人の会計監査の目的

会計監査の目的は、監査を受ける医療法人を取り巻く多様な利害関係者(地域社会、利用者、職員、国、地方公共団体、金融機関等)に対し、公認会計士が独立した第三者として監査を受ける法人の財務報告の信頼性を担保することにあります。

公認会計士監査導入のメリット

  1. 財務情報の信頼性の向上およびガバナンスの強化、これらによる法人の社会的信頼性の向上に寄与します。
  2. 適時、適切な経営判断に不可欠な信頼性の高い財務情報を適時に把握できる管理体制の整備・経営力強化に寄与します。
  3. 職業的専門化との定期的なコミュニケーションにより、経営課題を明確化し、課題解決に共に取り組みます。
  4. 不正の防止、発見効果が上がります。
  5. 職務プロセスの見える化により、効率的な経営の実現に寄与します。

公認会計士監査に対する誤解-税理士や行政監査との違い-

公認会計士監査については税理士への毎月の試算表作成(チェック)や行政監査と同様のイメージを持っている方や、1日~2日来て終わるといったイメージをされている方もいますが、実際はだいぶ異なります。

公認会計士監査はあくまで独立した第三者として(この点が税理士と異なります)

財務諸表に対する(この点が行政監査と異なります)意見を表明することを目的とします。

また、日数についても一年間の作業日数は50人日前後はかかると考えていただいたほうがよいかと思います。

監査対象となる書類

 事業報告書等(事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、 関係事業者との取引状況に関する報告書、純資産変動計算書 及び附属明細表)の内、監査対象となるのは以下の書類です。

●財産目録

●貸借対照表(注記含む)

●損益計算書(注記含む)

監査の進め方

会計監査人は、財務諸表を構成する勘定科目について監査要点を設定し、この監査要点を検証することで、計算書類が適切に作成されていることを確かめます。

監査要点を具体的に説明すると、

・実在性(本当にあるのか)

・網羅性(漏れがないか)

・権利と義務の帰属(当該法人のものか)

・評価の妥当性(価額は適切か)

・期間配分の適切性(正しい期間に計上されているか)

・表示の妥当性(開示は適切か)

などです。

会計監査人は、監査要点の検証を効率的、効果的に進めるため、リスク・アプローチにより監査計画を作成し、監査に当たります。リスク・アプローチとは、限られた人員や時間の中で、全ての項目に対して総括的に監査を行うのではなく、経済環境、法人の特性などを勘案して、計算書類の重要な虚偽記載につながるリスクのある項目に対して、重点的、効果的に監査を行う手法のことです。

内部統制とは

会計監査人監査の導入に当たって、必ず整備しなければならないのが内部統制です。

組織が自ら十分な内部統制を構築し、適切に運用していくことで、虚偽の表示が行われる可能性は低くなり、リスク・アプローチによる監査も効率的に実施することができます。
しかし、一般的には、内部統制は少し馴染みが薄い言葉かもしれません。

一般に、内部統制の目的は4つあるとされています。
① 業務の有効性・効率性 ・・・ 事業活動の目的を達成するために、業務の有効性・効率性を高めること。
② 財務報告の信頼性   ・・・ 財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある情報の信頼性を確保すること。
③ 事業活動に関わる法令等の遵守 ・・・ 法令その他の規範の遵守を促進すること。
④ 資産の保全  ・・・ 資産の取得・使用・処分が正当な手続及び承認のもとに行われるようにすること。

上記の内部統制の目的を医療法人に置き換えてみると、以下のとおりとなります。
① 医療事業の目的を達成するために、業務の改善や平準化を図り、標準化をする。

   正しい財務諸表を作成する。

③ 法令等を遵守する。

④ 医療事業を営む上で必要な資産を適切に管理する。

これらのことが医療法人の皆様にとって重要なことはよくお分かりでしょう。

内部統制というと難しく聞こえますが、要は、
・業務の水準が一定程度保証される仕組み。同じ業務であれば、担当者が違っても結果が変わらない、など。
・法令違反や資産の流用がしにくい、あるいは自ずと発見される仕組み
など、組織内部の不正や誤りを防止、発見する仕組みのことです。

私共は、これまでの経験を活かして、貴法人が内部統制の整備を進めていかれるために、適切なアドバイスをいたします。

個人公認会計士事務所による監査の利点

監査法人監査でよくある不満としては、

  • ・監査報酬が高い
  • ・監査手続があまりに杓子定規
  • ・監査責任者が現場にほとんど来ない
  • ・監査担当者がしょっちゅう変わり、毎回同じ質問を受ける
  • ・監査メンバーに新人をOJTとして連れてくる
  • ・意思決定が遅い
  • ・税務に疎い

以上のような不満を感じたことはないでしょうか

以上のような不満をお持ちの会社であれば、横田公認会計士事務所がその不満を解決します。

・「監査報酬が高い」

監査法人は、国際ネットワーク維持費をはじめ、多くの間接費がかかります。個人公認会計士事務所であれば、これらはほとんどかかりません。監査法人の監査報酬よりも少なくとも1~2割、場合によってはこれ以上、お安くできる可能性があります。

・「監査手続があまりに杓子定規」

上場会社の監査先を持っている監査法人は、国際ネットワークのもつ基準や公認会計士協会のレビュー及び金融庁の検査にも対応する必要があり、法人内共通の杓子定規な手続をこなす必要がでてくるのです。形式的な監査範囲の基準に準拠することを求めるあまり、足元の重要なリスクを看過する可能性もあると考えています。この点につき、個人公認会計士であれば、監査基準に準拠しつつも、より臨機応変に、効率的な方法を模索して対応することが可能になります。

・「監査責任者が現場のほとんど来ない」「監査担当者がしょっちゅう変わり、毎回同じ質問を受ける」「監査メンバーに新人をOJTとして連れてくる」

これらについては、私をはじめ、独立した大手監査法人出身の経験豊富な公認会計士でチームを構成し、固定しますので、効率的で深度のある監査を実施できると確信しています。

・「意思決定が遅い」

監査法人は大なり小なり似たような組織構成で、品質管理上、分業体制をとっており、意思決定に時間がかかるのはやむを得ません。個人の公認会計士であれば、監査チームとのコミュニケーションは密に行いますので、その場で意思決定を行うことも可能です。

・「税務に疎い」

公認会計士は試験合格後、まずは大手監査法人に勤務するケースがほとんどで、税務申告書を作成した経験のある人はほとんどいません。その後、監査で申告書をレビューすることはあるものの、申告書別表(四)、別表(五)程度のレビューであり、作成手続を経験している公認会計士は監査法人にはほとんどいません。当事務所の監査チームは、大手監査法人経験後、独立して税務申告書の作成や税務相談業務を経験したメンバーで構成します。税務のご相談も監査業務に付随することに限っては対応致します。

ただし、以下のような会社については、監査法人の監査を継続すべきです。

「規模が大きく現状監査人が毎回5人以上往査に来る」「大手のブランド志向がある」

医療法人に関して言えば、

医業収益が1,000億円を超過するような超巨大医療法人であれば、大手監査法人に依頼すべきですが、そうでなければ監査法人に依頼するメリットはあまり多くないと考えられます。