免税・課税事業者の期間が併存する令和5年に係る経理方式は税込経理方式のみ?!

インボイス②

はじめに

免税事業者である12月や3月決算法人等が、事業年度の途中の令和5年10月1日から課税事業者(インボイス発行事業者)になる場合、同一事業年度中に“免税事業者の期間“と”課税事業者の期間“が併存することになります。

そのような事業年度における消費税等の経理方式について、“免税事業者の期間”に適用する税込経理方式を“課税事業者の期間”にまで継続して適用すべきなのかどうかという問題がありますが、”課税事業者の期間“に課税仕入れ等の税額があるため、期首から税抜経理方式を適用することも可能です。

免税事業者の期間と課税事業者の期間があるため税込経理方式は強制されない

「消費税法の施行に伴う法人税の取り扱いについて(法令解釈通達)」では、法人(免税事業者を除く)が行う取引に係る消費税等の経理処理について、税抜経理方式または税込経理方式のいずれかの方式に統一して法人税の課税所得金額を計算するとされています(同経理通達2)。

一方で、免税事業者の消費税等の経理処理については、税込経理方式を適用して法人税の課税所得金額を計算するとされています(同経理通達5)。

インボイス制度の開始時期が本年「10月1日」という中途半端な日付で一律に開始されるため、同日以後に課税事業者(インボイス発行事業者)となり、事業年度の中途で免税事業者でなくなる場合には、「免税事業者の期間」が含まれるその事業年度のすべての取引について、税込経理方式を適用しなければならないのかという問題が生じることになります。

この点、同一事業年度中に「免税事業者の期間」と「課税事業者の期間」が併存する場合、「課税事業者の期間」においては消費税の納税義務があるため、税込経理方式または税抜経理方式のどちらでも採用することができます。

おわりに(税抜経理方式を採用した場合の免税期間の会計処理)

令和5年10月1日を跨ぐ事業年度においては、消費税経理通達2に基づき、その事業年度のすべての取引について税込経理方式または税抜経理方式のいずれかの方式を統一的に適用することができます。

ただし、税抜経理方式を適用する場合、「免税事業者の期間」については、会計処理にかかわらず、取引の対価の額と消費税等の額を区分し、消費税等の額を「ゼロ」として課税所得金額を計算します。

「免税事業者の期間」でありながら税抜経理方式を適用することになりますが、区分されるべき消費税等の額が「ゼロ」であるため、事実上、税込経理方式と同様の方式により課税所得金額を計算することになります。

以上

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