テレワークの交通費が「報酬」として社会保険料の標準報酬月額に含まれる?!

はじめに

働き方の多様化を推進する観点から、某大企業が全従業員の半数を原則テレワークとする報道が先日話題となりました。

原則テレワークの従業員が一時的に出社する際の電車代等の額が、社会保険料の算定基礎となる「報酬」に該当するかどうかは、『労働契約上の労務の提供地』によって異なることになります。

社会保険料の算定

社会保険料は、1か月に支給された報酬を一定の等級で区分し決定される標準報酬月額によって確定します。

ここでの「報酬」とは、名称を問わず従業員が労働の対償として受け取るものです(厚生年金保険法3①三等)。

原則出社の場合の通勤手当は、経常的実質的収入の意義を有しており、労働の対償として従業員が受け取るものであり、報酬に含まれます。

一方、職務遂行上支出する出張旅費は、労働の対償ではなく、実費弁償的なものであり、報酬に含まれません。

テレワークの従業員の一時的な電車代等はどうなるか

原則テレワークをする従業員が一時的な出社で支出した電車代等は、『労働契約上の労務の提供地』が

   事業所の場合、原則テレワークだとしても『労働の契約上の労務の提供地』が事業所であれば、出社する際の電車代等は通勤手当(労働の対償)として報酬に含まれます。

   自宅の場合、業務命令により一時的に出社し、その電車代等の実費を会社が負担するのであれば、出張旅費と同様の実費弁償(労働の対償ではない)として報酬に含まれません。

おわりに

テレワークを導入する企業が、社会保険料の算定において従業員の電車代等を報酬に含めずに取り扱うには、従業員の『労働契約上の労務の提供地』を見直すことが求められます。

以上

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