改正電子帳簿等保存制度の概要
はじめに
経済社会のデジタル化を踏まえ、経理の電子化による生産性の向上、記帳水準の向上等に資するため、令和3年度の税制改正において、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法の特例等に関する法律(電子帳簿保存法)」の改正等が行われ(令和4年4月1日施行)、帳簿書類を電子的に保存する際の手続き等について、抜本的な見直しがなされました。
【電子帳簿保存制度とは】
1.個別税法等により紙保存が義務付けられている帳簿や書類 (国税関係帳簿書類)について、条件付きで、 電子データ保存を容認する制度(紙廃棄を容認する制度)
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2.個別税法等による保存義務がない電子取引記録について、 電子データ保存を義務づける制度
①電子帳簿等保存・・・仕訳帳、総勘定元帳、財務諸表、請求書控
②スキャナ保存・・・紙の請求書、領収書
③電子取引に係る データ保存・・・EDI取引 電子メール取引
【こうやればできる「電子帳簿等保存」】
令和4年1月1日以後、最初に開始する事業年度より適用することが可能(事前承認不要)
(用意するもの)
①システムの操作説明書と事務手続を明らかにした書類
②見読可能装置(パソコン・モニター・プリンター・ソフト)
③ダウンロードの求めに応じる
④正規の簿記の原則に従い処理
電子計算機、プログラム、ディスプレイ及びプリンター並びにこれらの操作説明書を備え付け、電磁的記録を ディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び 明瞭な状態で、速やかに出力することができるように しておくこと。(規則3①四)
【こうやればできる「スキャナ保存」】
令和4年1月1日以後に行うスキャナ保存について適用
(用意するもの)
①見読可能装置(パソコン・モニター・プリンター・ソフト)
②ダウンロードの求めに応じることができるようにすること
③訂正削除履歴が残る又は訂正削除できないクラウド等に保存
④事務処理規程
⑤スキャナ
【こうやればできる「電子取引保存」】
令和4年1月1日以後行う電子取引について適用
(用意するもの)
①見読可能装置(パソコン・モニター・プリンター・ソフト)
②ダウンロードの求めに応じることができるようにすること
③検索機能(ファイル名に規則性を持たせる か 索引簿作成)
④事務処理規程
4つの「措置」のうちいずれかで保存すれば良いということになっており、タイムスタンプ不要の方法(③④)も用意されています。(④がおすすめです)
①タイムスタンプが付されたデータを受け取り保存
②受け取ったデータに遅滞なくタイムスタンプを付して保存
③訂正削除の履歴が確認できるか、訂正削除ができないシステムを利用する
④訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定して規程に沿った運用、備付を行う
おわりに
以上、電子帳簿等保存制度の概略についてみてきました。
この制度は「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引保存」の三本柱から成り立っています。
それぞれ用意するものとして記載したものを用意すればできる制度であると理解ください。
当事務所のメイン業務である、会計監査においても電子帳簿等保存制度が適用されれば、監査現場の風景も様変わりすることでしょう。
また、当該制度について詳細が判明すればアップしていきます。
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