企業版ふるさと納税(令和2年度改正・見直し)
はじめに
今週は新型コロナウイルス感染症の陽性者が各地で下げ止まる中、首都圏の緊急事態宣言が解除されました。東京都の陽性者は前週の同じ曜日の陽性者数を上回る水準が毎日続いています。このような状況では、陽性者急増の第4派がいつ来てもおかしくない状況です。4月以降訪れる企業等の3月決算の決算作業や公認会計士監査が無事に行われることを祈るばかりですが、まずは各自がこの一年で学んだ感染対策をきっちりと行うしかないと感じています。
さて、令和2年度改正で見直しが行われた地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、寄附を募る自治体が大幅に増えているようです。寄附の受け皿となる事業はさまざまで、新型コロナウイルス感染症に対応した事例も見受けられます。
企業側のタイミングで寄附が可能であり、税額控除が受けられるのは寄附の支出時の属する事業年度、と活用しやすい状況が整っています。決算が近い年度末は寄附が集中しやすく、税の軽減効果も高いだけに利用促進に期待が集まっているようです。
企業版ふるさと納税の内容
企業版ふるさと納税の創設前から、企業による自治体への寄附は損金算入という形で約3割に相当する減税がされていましたが、企業版ふるさと納税の創設により、さらなる減税を受けることができるようになりました。
企業版ふるさと納税では、企業が国の認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して寄附を行った場合に、「損金算入による軽減効果(寄附金額の約3割)」と合わせて、寄附金額の6割がさらに法人関係税から税額控除され、企業は最大で寄附額の約9割が軽減されます。
さらに、認定手続きの簡素化等が行われたことで、自治体が認定を受けやすくなり、改正後には945団体(改正前428団体)と大幅に増加しました。改正後の事業認定件数も1,011件(改正前668件)と増加し、寄附の受け皿となる事業も多様で、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、コロナ対応の寄附を受け付けているところもあります。
寄附のタイミングや手続き
改正後の企業版ふるさと納税制度は、企業側のタイミングで寄附することが可能となっています。通常の手続きの流れは、「企業版ふるさと納税ポータルサイト」から対象事業を探し、各自治体の窓口に連絡を取って、必要書類の提出等を行います。その後、寄付金を支払い、自治体から受領書が送付され、寄附金控除の申告手続きを行います。
おわりに(企業版ふるさと納税の留意事項)
注意したい点は、以下の事項です。
・「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」へ寄附を行うことの代償として経済的な利益を受け取ることは禁止されています(返戻品を受けることはできません)。
・企業の本社が所在する地方公共団体への寄附については対象となりません。
・地方交付税の不交付団体への寄附は対象となりません。
・1回当たり10万円以上の寄附が対象となります。
企業版ふるさと納税ポータルサイト - 地方創生推進事務局 (kantei.go.jp)
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