東証、3月決算の“有報”提出期限後の「期中レビューの義務付け要件該当会社一覧」を公表

はじめに(当事務所のご紹介と今回のブログの概要)

当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。

当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、効率性の観点から、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先しています。

他方で、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、東京証券取引所が3月決算“有報”提出後の2024年7月1日時点での「期中レビュー義務付け要件該当会社一覧」を公表したことから、該当会社についてご紹介します。

期中レビューの義務付け要件とは、「直近の有価証券報告書等において、無限定適正意見以外の監査意見等が付される場合」などとなります。

すなわち、有価証券報告書等に不適切会計などの問題点を発見した場合や内部統制に重要な不備がある場合などの会社が該当します。

会社法監査やその他法定監査・任意監査のご依頼はまだ受け付けておりますので、問い合わせフォームよりお申し込みください。

決算期(特に3月決算)によっては人的資源に限りがあるためお断りする場合があることをご了承ください。

期中レビュー義務付け要件該当会社一覧

【2024年7月1日時点】

義務発生日コード会社名義務レビュー対象
2023/12/222498オリエンタルコンサルタンツホールディングス2024年9月期
2023/12/262388ウェッジホールディングス2024年9月期
2023/12/271783fantasista2024年9月期
2024/1/42667イメージ ワン2024年9月期
2024/1/43556リネットジャパングループ2024年9月期
2024/1/43691デジタルプラス2024年9月期
2024/1/47676グッドスピード2024年9月期
2024/3/257354ダイレクトマーケティングミックス2024年12月期
2024/3/293449テクノフレックス2024年12月期
2024/3/293777環境フレンドリーホールディングス2024年12月期
2024/3/299271和心2024年12月期
2024/4/14169ENECHANGE2024年12月期
2024/4/19612ラックランド2024年12月期
2024/4/262776新都ホールディングス2025年1月期
2024/5/154448kubell2024年12月期
2024/5/157069サイバー・バズ2024年9月期
2024/5/302338クオンタムソリューションズ2025年2月期
2024/5/317719東京衡機2025年2月期
2024/5/318273イズミ2025年2月期
2024/6/147831ウイルコホールディングス2024年10月期
2024/6/196594ニデック2025年3月期
2024/6/249025鴻池運輸2025年3月期
2024/6/261960サンテック2025年3月期
2024/6/265103昭和ホールディングス2025年3月期
2024/6/265989エイチワン2025年3月期
2024/6/266185SMN2025年3月期
2024/6/274720城南進学研究社2025年3月期
2024/6/276365電業社機械製作所2025年3月期
2024/6/284069BlueMeme2025年3月期
2024/6/285856エルアイイーエイチ2025年3月期
2024/6/286706電気興業2025年3月期
2024/6/287677ヤシマキザイ2025年3月期
2024/7/12156セーラー広告2025年3月期
2024/7/14623アサヒペン2025年3月期
2024/7/15161西川ゴム工業2025年3月期
2024/7/15994ファインシンター2025年3月期
2024/7/17256河西工業2025年3月期
2024/7/18070東京産業2025年3月期
2024/7/19468KADOKAWA2025年3月期
2024/7/19682DTS2025年3月期

4月1日時点公表時と比較し15社から40社へ25社増加、名立たる大企業も

期中レビュー義務付け会社は、1.6倍の25社増加となっていますが、それ以上に5月後半以降の義務付け会社はいわゆる大企業と呼ばれる会社が新たに増加していることに注目したいと思います。

・5月31日に義務発生日となった「イズミ」は、2024年2月期の有報を期限内に公表できませんでした。

・6月19日に義務発生日となった「ニデック」(旧社名:日本電産)は、内部統制に重要な不備があったことによります。

・6月24日義務発生日となった「鴻池運輸」も、内部統制に重要な不備があったことによります。

・7月1日義務発生日となった「アサヒペン」は、有価証券報告書の提出期限を7月末に延長しています。

・7月1日義務発生日となった「西川ゴム工業」は、有価証券報告書の提出期限を8月末に延長しています。

・7月1日義務発生日となった「KADOKAWA」も、有価証券報告書の提出期限を7月末に延長しています。

再考:期中レビュー義務付け要件とは

以下の1~5のいずれかの要件に該当したケース(=開示すべき重要な不備がある)においては、「要件に該当した日」から「該当しなくなる日」までの間に開示する四半期累計期間(第2四半期を除く)に係る四半期財務諸表等に対し、公認会計士等による期中レビューを受けなければならないことになります(有価証券上場規程施行規則第405条第2項)。

1.直近の有価証券報告書、半期報告書または四半期決算短信(期中レビューを受ける場合)において、無限定適正意見(無限定の結論)以外の監査意見(期中レビューの結論)が付される場合

2.直近の内部統制報告書において、無限定適正意見以外の監査意見が付された場合

3.直近の内部統制報告書において、内部統制に開示すべき重要な不備がある場合

4.直近の有価証券報告書または半期報告書が当初の提出期限内に提出されない場合

5.当期の半期報告書の訂正を行う場合であって、訂正後の中間財務諸表に対して期中レビュー報告書が添付される場合

上記のように、会計処理や内部統制に不備があり、監査人が無限定適正意見を表明できないような財務諸表等について重要な問題を抱えている企業は、第1・第3四半期決算短信のレビューが義務付けされます

おわりに(第2四半期決算短信⇒半期報告書の提出期限に向けて)

第1・第3四半期の公認会計士等の期中レビューは任意となりましたが、期中レビュー義務付け要件に該当し、結果、期中レビューを受けなければならない上場会社は急増しています。

第1四半期に期中レビューを受けない会社においても、第2四半期はレビューを受けなければなりません。

日本の大多数の会社は3月決算であり、第2四半期においては、2024年4月1日より、第2四半期報告書と同程度の内容の半期報告書を提出しなければなりません。

半期報告書はレビューの対象であり提出期限は、3月決算会社の場合9月30日から45日後の11月15日となります。

第1四半期決算短信でレビューを受けない会社で、半期報告書のレビューを受けた後に監査上の問題点が発覚し、11月15日期限の半期報告書の提出延期をする会社が急増するのではないでしょうか。

そうなると、結果、第3四半期決算短信のレビューは義務付けされます。

新しい四半期制度が始まりましたが、第1四半期の任意のレビューを受けない会社がどの程度あり、結果、第2四半期(半期報告書)の提出期限を延長する会社がどの程度発生するか今後の状況に注視していきましょう。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

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