2023年5月の私立学校法の改正の概要
- ●はじめに(当事務所のご紹介)
当事務所は、非上場の法定監査・任意監査を専門に行う公認会計士事務所であり、上場会社の監査のご依頼は受けておりません。
当事務所の会計監査対応地域は東京を含む原則全国対応ですが、主には、大阪府(主として大阪市を含む北部大阪)、神戸市を含む主として兵庫県南部、京都市を含む京都市周辺地域のご依頼を優先いたします。
一方、当事務所のブログは上場会社の最新の公認会計士等の異動や制度改正など、監査・税務に関する環境変化については積極的に情報を発信する方針であり、今回は、2023年5月の私立学校法の改正の概要についてご紹介します。
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(1)改正の趣旨
1.本改正は、我が国の公教育を支える私立学校が、社会の信頼を得て、一層発展していくため、社会の要請に応え得る実効性のあるガバナンス改革を推進するための制度改正とされています。
2.幅広い関係者の意見の反映、逸脱した業務執行の防止を図るため、 理事、監事、評議員及び会計監査人の資格、選任及び解任の手続等並びに理事会及び評議員会の職務及び運営等の学校法人の管理運営制度に関する規定や、理事等の特別背任罪等の罰則について定められています。
(2)全体の改正の概要
1.「執行と監視・監督の役割の明確化・分離」の考え方から、理事・理事会、監事及び評議員・評議員会の権限分配を整理し、私立学校の特性に応じた形で、「建設的な協働と相互けん制」を確立するため、次の 改正がなされています。
① 役員等の資格・選解任の手続等と各機関の職務・運営等の管理 運営制度の見直し
② 学校法人の意思決定の在り方の見直し
③ その他
①「役員等の資格・選解任の手続等と各機関の職務・運営等の管理運営制度の見直し」については次の改正が行われています。
- 理事・理事会
・理事選任機関を寄附行為で定める。理事の選任に当たって、理事選任機関はあらかじめ評議員会の意見を聴くこととする(第29条、第30条関係)。
・理事長の選任は理事会で行う(第37条関係)。
- 監事
・監事の選解任は評議員会の決議によって行い、役員近親者の就任を禁止する(第31条、第45条、第46条、第48条関係)。
- 評議員・評議会
・理事と評議員の兼職を禁止し、評議員の下限定数は、理事の定数を超える数まで引き下げる(第18条、第31条関係)。
・理事・理事会により選任される評議員の割合や、評議員の総数に占める役員近親者及び教職員等の割合に一定の上限を設ける(第62条関係)。
・評議員会は、選任機関が機能しない場合に理事の解任を選任機関に求めたり、監事が機能しない場合に理事の行為の差止請求・責任追及を監事に求めたりすることができることとする(第33条、第67条、第140条関係)。
- 会計監査人
・大学、高等専門学校を設置する大臣所轄学校法人等では、会計監査人による会計監査を制度化し、その選解任の手続や欠格要件等を定める(第80条~第87条、第144条関係)。
② 「学校法人の意思決定の在り方の見直し」については、次の改正が行われている
・大臣所轄学校法人等においては、学校法人の基礎的変更に係る事項(任意解散・合併)及び寄附行為の変更(軽微な変更を除く。)につき、理事会の決定に加えて評議員会の決議を要することとする(第150条関係)。
「③ その他」については、次の改正が行われている
・監事・会計監査人に子法人の調査権限を付与する(第53条、第86条関係)。
・会計、情報公開、訴訟等に関する規定を整備する(第101条~第107条、第137条~第142条、第149条、第151条関係)。
・役員等による特別背任、目的外の投機取引、贈収賄及び不正手段での認可取得についての罰則を整備する(第157条~第162条関係)。
- ●おわりに
本改正は、2025年4月1日から施行とされています。なお、評議員会の構成等については経過措置が設けられています。
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以上
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