公認会計士等の異動(2023年5月)は90社!前年同月を上回る!!

監査②

会計監査事務所の規模別異動状況

多い順に

1.大手監査法人→中小監査事務所……・・31社

2.中小監査事務所→中小監査事務所‥‥28社

3.大手監査法人→大手監査法人・‥・・・・・8社

4.大手監査法人→準大手監査法人・・・・・・8社

5.準大手監査法人→中小監査事務所・・・・7社

6.中小監査事務所→大手監査法人・・・・・・5社

7.中小監査事務所→銃大手監査法人・・・・・3社

以上の90社となっています。前年同月は87社であり、4月に減少傾向にありましたが、やはり増加に転じ、公認会計士等の異動の高止まりは継続しているようです。

上記のうち、監査報酬の値上げ(当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性を考慮し...)を理由に公認会計士等を交代した上場企業は57社となり、全体の63.3%となり、若干低下傾向にあるかのように見えますが、これは中小から中小への交代について監査報酬の値上げではなく、継続年数だけを理由に挙げている上場会社が増加したためです。

ここで、注目したいのが上記赤色の中小から大手・準大手が8社あったことです。

これは、後ほど説明しますが、昨年来金融庁の検査の結果、行政処分や行政処分勧告があった中小監査法人からの交代があったことによります。

行政処分等を理由として交代13社(14.4%)。

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公認会計士等の異動IRの具体例

●監査報酬の値上げを主とした理由として交代を決めた上場企業

具体例1:株式会社エーアイ/東証グロース(4388)

IR公表日 :2023/05/11

異動年月日:2023/06/22

退任監査人: 有限責任あずさ監査法

就任監査人: アスカ監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である有限責任 あずさ監査法人は、2023年6月22日開催予定の第20回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。近年、監査報酬が増加傾向にあり、次期以降も増加することが見込まれることなどを契機として、当社の企業規模、利益規模に適した監査対応と監査報酬の相当性について検討してまいりました。

具体例2:日本ルツボ株式会社/東証スタンダード(5355)

IR公表日 :2023/05/11

異動年月日:2023/06/28

退任監査人: 有限責任監査法人トーマツ

就任監査人: グローリー監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である「有限責任監査法人トーマツ」は、2023年6月28日開催予定の第183定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。監査報酬の増額要請を契機に、当社の事業規模に適した監査報酬の妥当性について複数の監査法人と比較検討した結果、

やはり、大手監査法人を中心とした監査報酬の増額は来期も続いているようです。

行政処分等を受けた監査法人から交代事例

次に、5月の特徴は、金融庁から行政処分や行政処分の勧告を受けた中小監査法人から大手監査法人等へ交代する会社が目立ちました!

●行政処分等を理由として交代を決めた上場企業

具体例1:株式会社シャルレ/東証スタンダード(9885)

IR公表日 :2023/05/10

異動年月日:2023/06/27

退任監査人: ひびき監査法人

就任監査人: 海南監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人であるひびき監査法人は、2023年6月27日開催予定の第48回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。ひびき監査法人は、2023年1月20日に公認会計士・監査審査会より金融庁長官に対し、同監査法人に対して行政処分その他の措置を講ずるよう勧告があり、2023年3月31日に金融庁から業務改善命令の処分が行われたこと等に鑑み、当社の監査の相当性を確保する観点から、他の監査法人と比較検討を行ってまいりました。

具体例2:ニプロ株式会社/東証プライム(8086)

IR公表日 :2023/05/10

異動年月日:2023/06/28

退任監査人: ひびき監査法人

就任監査人: 海南監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人であるひびき監査法人は、2023年6月28日開催予定の第70期定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。同監査法人は、2023年3月31日付けで金融庁から業務改善命令の行政処分を受けたことに鑑み、監査役会は、新たな会計監査人の選定を視野に入れ、複数の監査法人の比較検討を行ってまいりました。

具体例3:株式会社ASJ/東証グロース(2351)

IR公表日 :2023/05/12

異動年月日:2023/06/23

退任監査人: 赤坂有限責任監査法人

就任監査人: ゼロス有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である赤坂有限責任監査法人につきまして、2023年3月17日に公認会計士・監査審査会より金融庁長官に対し、赤坂有限責任監査法人に対して、行政処分その他の措置を講ずるよう勧告があったこと等に鑑み、当社の監査業務の相当性及び品質管理体制を確保する観点から、新たな会計監査人の選任に向け検討を行ってまいりました。

ひびき監査法人は、5月だけで11社が交代を発表し、赤坂有限責任監査法人はまだ行政処分勧告であり、行政処分は決まっていませんが、5月に2社交代が発表されました。

公認会計士・監査審査会/品質管理レビューの審査・検査 (fsa.go.jp)

金融庁の公認会計士監査審査会の行政処分勧告の内容の詳細に興味のある方は上記リンクより各監査法人への勧告内容をご覧ください。

おわりに

公認会計士等の異動はピークである5月(3月決算の決算発表)に前年同月を上回りました。

今後、更に、公認会計士等の監査の監査費用が増額するのであれば、この監査人交代の高止まりの状況はしばらく続くと考えられます。

一方で、監査人の交代により、上場会社の監査を中小監査法人が行う比率が高まれば、金融庁の検査に対応できない中小監査事務所が金融庁から行政処分が発表される事例も増加するでしょう。

結果、中小から大手や準大手に交代するケースも少なからず発生する可能性があります。

監査費用の増額傾向は続きそうですが、金融庁の検査結果を受けての、中小監査法人の行政処分の増加動向には注意が必要です。

今後どちらも増加するなら、公認会計士等の異動は更に加速する可能性があるからです!!!

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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