公認会計士等の異動:2023年2月は30社と大幅増加!監査報酬値上げトレンド継続か!

上場

はじめに

2023年2月の監査人の異動の上場会社のIR公表社数が30社に達しました。前年同月と比較しても4社増加。1月の監査人異動が2社と少なかったのですが、2月に入り公認会計士等の異動のIR公表社数が激増しました。

内訳は、

・大手監査法人から大手監査法人が4社

・大手監査法人から準大手監査法人が5社

・大手監査法人から中小監査事務所(個人事務所を含む)が11社

・準大手監査法人から中小監査事務所が4社

・中小監査事務所から中小監査事務所が6社

以上となっています。

異動理由は、

「近年、監査報酬が増加傾向にあることなどを契機として、当社の事業内容や規模に適した監査対応と監査費用の相当性を考慮~」

というお決まりの文言などで、監査報酬の値上げを理由に監査人を変更する会社が23社となっています。

この監査報酬の値上げのトレンドはいつまで続くのでしょうか。

また、1社ではありますが、昨年から急増している金融庁の行政処分関連の監査法人(ハイビスカス)からの変更もありました。

では、具体的なIRの内容の概要を3社程度取り上げましょう。

公認会計士等の異動(2月IR公表)

『1例目』●典型的な大手から中小へ監査報酬の値上げを理由とした案件

株式会社小野測器/東証スタンダード(6858)

IR公表日 :2023/02/16

異動年月日:2023/03/17

退任監査人: EY新日本有限責任監査法人

就任監査人: 晴磐監査法人

異動理由:[任期満了]

~当社は、近年、監査報酬が増加傾向にあることなどを契機として、当社の事業内容や規模に適した監査対応と監査費用の相当性を考慮のうえ、複数の監査法人を対象に比較検討を実施してまいりました。~以下省略

『2例目』●準大手で一番アクティブに大手の受け皿となっている某監査法人の案件

六甲バター株式会社/東証プライム(2266)

IR公表日 :2023/02/21

異動年月日:2023/03/29

退任監査人: EY新日本有限責任監査法人

就任監査人: 太陽有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性について総合的に検討した結果、会計監査人の交代により、新たな視点での監査及び機動的な監査が期待できることに加え、会計監査人に必要とされる専門性、独立性、品質管理体制及び監査報酬の水準等を総合的に勘案し、~以下省略

『3例目』●アクティブな某準大手監査法人でも監査報酬を理由に交代となった案件

株式会社リベルタ/東証スタンダード(4935)

IR公表日 :2023/02/27

異動年月日:2023/03/27

退任監査人: 太陽有限責任監査法人

就任監査人: 監査法人Bloom

異動理由:[任期満了]

~当社の事業状況および監査環境の変化等により監査工数および監査報酬が増加傾向にあることを踏まえ、当社の事業状況に適した監査費用と監査対応の相当性等について他の監査法人と比較検討した結果、監査法人Bloomを新たに会計監査人の候補者として選任することといたしました。

おわりに

監査報酬の値上げは、物価の高騰と同じような理由でまだ収まる兆しは見えません。今年も公認会計士等の異動は昨年を超える社数となりそうです。

一方、1月27日に金融庁が監査法人ハイビスカスに行政処分を決定しました。監査法人ハイビスカスの行政処分は2回目です。

更に、1月20日には金融庁はひびき監査法人に行政処分を勧告しました。

昨年より、約1年間で金融庁から行政処分勧告を受けた監査法人は、

   仁智監査法人(令和4年1月21日)

   UHY東京監査法人(令和4年4月1日)

   監査法人ハイビスカス(令和4年6月3日)

   ひびき監査法人(令和5年1月20日)

以上4法人です。

令和3年は1法人。それ以前は令和元年の2法人であった事を考えるとこの1年の行政処分勧告数は群を抜いて多くなっています。

公認会計士等の異動により、多くの会社が大手から中小監査法人等へ交代していますが、今後もこの流れに応じて、中小監査法人の行政処分が増加するのではないかと危惧しています。

監査報酬の値上げによる中小監査法人への公認会計士等の交代については、公認会計士等の監査制度に対する信用にかかわる問題でもあります。

今後も公認会計士の一人として、公認会計士等の異動と監査法人の行政処分については注意してみていきたいと思っています。

以上

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