平均監査報酬は8年連続増加(公認会計士等の会計監査報酬2021年度)

公認会計士 3

●はじめに

監査実施状況調査2021年度が先週日本公認会計士協会より公表されました。

2021年度というのは2021年4月期から2022年3月期に係る被監査会社等の監査の実施状況となっています。

被監査会社等というのは金商法、会社法対象の会社はもちろん学校法人や医療法人との各種法定監査をすべて含む被監査組織を含んでいます。

そのためここで取り扱う平均監査報酬とは、世の中の公認会計士等の監査を受けているすべて(任意監査は除く)の法人等の監査報酬の平均額となります。

極端な話、グローバル企業であるトヨタ自動車なども含み、逆に、公認会計士監査が行われている近所の幼稚園等も含まれているのです。

詳細は、日本公認会計士協会のホームページの以下のリンクをご覧ください。

監査実施状況調査(2021年度) | 日本公認会計士協会 (jicpa.or.jp)

●平均監査報酬額の推移

年度 会社数

平均監査報酬額

(千円)

前年比
2021 20,765 15,294 101.34%
2020 20,399 15,093 101.25%
2019 19,909 14,906 100.55%
2018 18,433 14,285 101.97%
2017 17,891 14,538 100.88%
2016 17,392 14,412 102.65%
2015 17,246 14,040 101.66%
2014 17,022 13,810 100.18%
2013 16,919 13,785 99.40%

上記の通り平均監査報酬額は、2013年度に前期比減少して以来、2014年度から8年連続して増加傾向が続いており、2020年度には15,000千円を超える水準にまで達しています。

●監査報酬額はなぜ増加するのでしょうか

昨年は円安やウクライナ危機により原油供給が不安定となり、物価は上場していますが、それまでの日本経済では長らく物価が上昇せず、賃金が上昇しない状況が続いています。

これに対して、一貫して公認会計士等の監査報酬は増加しているのです。

なぜでしょうか?

第一に、日本の監査報酬が他の諸外国に比べて低かったことが根底にあります。

そのような状況下、上場企業の会計不正が多発したことにより、いわゆる監査の厳格化と言われるように公認会計士等の監査に求められる手続きが増加したことが原因となっています。

第二に、監査手続が増加すると監査時間が増加しますが、公認会計士数はそれほど増加していません。そこで公認会計士業界で人手不足が発生しているのです。

人手不足により公認会計士の監査単価が増加しているのも原因の一つと言ってよいでしょう。

●おわりに

大手監査法人等では、効率の悪い被監査会社(いわゆる手間がかかるが監査報酬が安い)を手放して、効率の良い会社だけを監査する傾向がはっきり表れています。

それが、ここ数年続いている監査人の異動の増加です。ここ3年程毎年監査人の異動が増加しています。昨年は上場会社の監査人の異動が250社程度となりました。

3年前は年間の異動は140社程度だったのです。

大手監査法人から中小監査事務所へというトレンドはまだ数年は続くと考えられます。

参考ブログ)監査契約辞退:公認会計士が等が会社を選ぶ時代へ

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

上場会社を監査している監査法人等と比較し、費用面を抑えて実質的な監査を行うことを基本方針にしています。効率性の高い柔軟な会計監査を行うことが可能です。

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