四半期開示は四半期決算短信への一本化に向けた具体策を提言!
●はじめに
金融庁は12月27日、金融審議会「ディスクロージャーワーキング・グループ」(DWG)報告を公表しました。
四半期開示の今後のあり方を取りまとめています。四半期開示は金商法の四半期報告書の開示義務を廃止し、四半期決算短信への一本化に向けた具体策を提言しています。
●四半期決算短信義務付けの有無
第1・3四半期の金商法上の開示義務を廃止するが、当面は四半期決算短信を一律に義務付けられ、決算短信任意化は継続的に検討するようです。
なお、適時開示と四半期のような提示開示は性質が異なるとして、「必ずしも適時開示の充実により四半期開示を代替できるわけではない」との意見を記載しています。
結論として、第1・3四半期の決算短信は任意化され、第2四半期決算短信必須となります。
現実的には、第1・3四半期も各社提出されることになると考えられます。
●四半期決算短信の開示内容
開示内容については、投資家から要望が強い「セグメント情報」「キャッシュ・フローの情報」などを開示内容に追加することを取引所で検討されます。
●監査人の四半期レビューの有無
監査人の四半期レビューは一律に義務付けず、企業がレビューを受けるかは「任意」とする方向です。一方、会計不正などが生じた場合は、一定期間レビューを義務付けることとなります。
現実的には、第1・3四半期を提出する会社の場合はレビューを受ける方向になると考えられます。
●虚偽記載に対する罰則
証券取引所が罰則を適切に実施する方向のようです。
●半期報告書
現行の第2四半期報告書と同程度の記載内容と監査人のレビューを求めることとなります。提出期限も決算後45日以内となり金商法の四半期報告書が第2四半期のみ残るイメージです。
●公衆縦覧期間の延長
現行の四半期報告書の公衆縦覧期間は3年間となっていますが、半期報告書・臨時報告書の公衆縦覧期間を、課徴金の除斥機関である「5年間」へ延長となります。
●おわりに
第1・3四半期の決算短信は任意化され、監査人のレビューも任意化されますが、逆に、現行記載が必要のない「セグメント情報」「キャッシュ・フロー情報」等が追加されることとなりそうです。
恐らく、上場会社の大半は、投資家の要望に応えようと任意化された、第1・3四半期決算短信を公表することでしょう。また、公表する以上、監査人のレビューも大半の上場会社は受けることとなると考えます。
一方、第2四半期報告書は半期報告書として記載内容は現行と同程度で監査人のレビューも必要となります。
結論として、上場会社は決算短信と四半期報告書の二重開示の手間を省くことができますが、第1・3四半期決算短信の記載内容が「セグメント情報」「キャッシュ・フロー情報」などが増えることとなり、四半期開示の一本化による企業の事務負担軽減の目的はそれほどないと考えられます。また、大半の上場会社が任意化された決算短信を開示するならば、監査人のレビューも現行と変わらないこととなります。
以上
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