会計監査人の異動 2022年10月は8社!7社が監査報酬値上げを理由に!
はじめに
「会社の規模に適した監査対応と監査費用の相当性」などの理由の下、要するに監査報酬の値上げを理由に会計監査人の交代が相次いでいます。
10月は8社中7社が若干異動理由の表現に違いがありますが、『監査工数の増加及び単価上昇による監査報酬増額の申し出を受けたことを踏まえ』て、会計監査人の異動を公表しています。
この流れはいつまで続くのでしょうか。
また、特記すべき事項として、7社中3社は某準大手監査法人が就任している点です。大手から中小への大きなトレンドの中、某準大手監査法人がかなりアグレッシブに大手監査法人から会計監査人の交代を成し遂げています。
それでは、その某準大手監査法人とは?
また、個別の異動理由についても数社を例に挙げて検証してみます。
10月の会計監査人の異動および異動理由の個別内容、更に某準大手監査法人とは?
・10月最初のIR公表会社
株式会社メディア工房/東証グロース(3815)
IR公表日 :2022/10/07
異動年月日:2022/11/25
退任監査人: 有限責任あずさ監査法人
就任監査人: 太陽有限責任監査法人
異動理由:[任期満了]
当社の現会計監査人である有限責任あずさ監査法人は、2022年11月25日開催予定の第25回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。~中略~、監査業界を取り巻く環境が大きく変化する中、当社の事業規模に適した監査対応と監査費用の相当性について意見が相違しましたため、他の監査法人と比較検討を行った結果、監査実績等が当社の事業規模に適していること、~以下省略~
いきなり、某準大手監査法人の名が飛び出してきました!そうです、準大手監査法人の中でもトップのクライアント数を誇る太陽有限責任監査法人さんです。
そして、もう一つ太陽さんへの異動会社のIRをご紹介しましょう。
株式会社プラップジャパン/東証スタンダード(2449)
IR公表日 :2022/10/20
異動年月日:2022/11/29
退任監査人: 有限責任あずさ監査法人
就任監査人: 太陽有限責任監査法人
異動理由:[任期満了]
当社の会計監査人である有限責任あずさ監査法人は、2022年11月29日開催予定の第52回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。~中略~監査継続年数が22年と長期にわたっていることや、当社の事業規模に見合った監査対応と監査費用の相当性を総合的に検討した結果、~中略~当社の事業規模に適した新たな視点での監査が期待できることから、~以下省略~
もう1社もあずさ監査法人から太陽さんへの異動です。
太陽さんはあずさ監査法人を狙い撃ちしているのでしょうか?たまたまなのかもしれませんが、1か月に3社も同じ監査法人間の異動というのは偶然としてもかなりレアなケースと言えるのではないでしょうか。
その他の中小監査事務所への会計監査人の異動理由等
では、太陽さん以外の中小への会計監査人の異動についても取り上げてみましょう。
株式会社デザインワン・ジャパン/東証スタンダード(6048)
IR公表日 :2022/10/24
異動年月日:2022/11/29
退任監査人: 有限責任監査法人トーマツ
就任監査人: 監査法人Bloom
異動理由:[任期満了]
当社の会計監査人である有限責任監査法人トーマツは、2022年11月29日開催予定の第17回定時株主総会の終結の時をもって任期満了となります。同会計監査人については、会計監査が適切かつ妥当に行われていることを確保する体制を十分に備えているものと考えておりますが、当社の事業状況および監査環境の変化等により監査工数及び監査報酬が増加傾向にあることを踏まえ、当社の事業状況に適した監査費用と監査対応の相当性等について他の監査法人と比較検討した結果、監査法人Bloom を新たに会計監査人の候補者として選任することといたしました。~以下省略~
上記のように、いずれの会社も監査報酬の増加傾向が続いていることを異動理由に挙げています。
おわりに
公認会計士業界の人手不足は深刻です。そのような中、大手監査法人が監査報酬の値上げに踏み切り、実質的に監査報酬が低く、採算の合わない被監査会社を切り捨てるような行動に出ているようにも感じます。
監査報酬の値上げに耐えられない会社の会計監査人の受け皿としては中小監査事務所が中心となっているのが現状のトレンドです。その中で目立っているのが準大手監査法人の代表でもある太陽有限責任監査法人の積極的な監査受嘱です。太陽さんは公認会計士不足による人的資源の不足にどう対応されているのか不思議でなりません。
今年だけでも当事務所の集計では37社の会社の会計監査人として、大手からクライアントを引き受けています。異動理由を見ても、太陽さんへ交代した会社の監査報酬は「事業規模に見合った監査対応と監査費用」との文言が目立ちます。ということは監査報酬を値上げせず監査人の異動を引き受けていることになります。
今後も太陽さんへの会計監査人の異動はまだ続くのでしょうか?
中小監査事務所は受け皿としてどれだけ成長しているのでしょうか?
今年も2か月、会計監査人の異動の状況に注目していきたいと思っています。
以上
横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。
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