四半期開示の簡略化議論再開!監査人のレビューや中間監査も検討課題!
はじめに
金融庁・金融審議会は10月5日、2022年度の「ディスクロージャーワーキング・グループ」(DWG)の第1回会合を開催しました。
前回のDWGで金融商品取引法上の四半期開示義務(第1と第3四半期)を廃止し、四半期決算短信に一本化する方向になったことを受けて、その具体化に向けた課題を検討しました。
議論された主な課題は6つ
前回のDWGから四半期開示の見直しに向けた議論が本格化しています。6月に公表された報告では、金融商品取引法上の四半期開示義務の第1と第3四半期を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に一本化することが提案されています。
今回のDWGでは、四半期短信への一本化に向けた議論が行われました。
四半期開示に関する主な課題
① 四半期短信の義務付けの有無
② 適時開示の充実
③ 四半期短信の開示内容
④ 四半期短信の監査人によるレビューの有無
⑤ 四半期短信の虚偽記載に対するエンフォースメント
⑥ 半期報告書・中間監査の在り方
以下、6つの課題についての論点の概要をご紹介します。
四半期短信の義務付けの有無
海外では、米国では義務化、欧州では基本的に任意化。金融庁は、シンガポールでは任意化したうえで、監査人が不適正意見等を表明した場合について四半期開示を求めるという事例を紹介しています。
投資家・アナリストからは「四半期短信は企業の中長期的な経営の進捗確認として必要」と、引き続き義務化を求めているようです。
四半期短信の開示内容
四半期短信と四半期報告書を比べると、非財務情報面では、「事業等のリスク」「経営上の重要な契約等」「研究開発活動」に重要な変更があった場合、四半期報告書では記載が必要であるが、短信では求められていません。
財務情報の点でも、短信はキャッシュ・フロー(CF)の情報やセグメント情報などは要請されていません。
短信に一本化する場合、どこまで情報を記載するかが焦点となります。企業側からは現行の短信を基本とする意見が多く、一方、アナリスト等はCFやセグメントなどは短信でも開示してほしいとの意見が多かったようです。
四半期短信の監査人によるレビューの有無
監査人の委員は「財務情報の公表を義務付けるなら、レビューも義務付けるべきだ。適正財務報告のアカウンタビリティを果たしたい企業にとって、独立監査人のレビューを受けるメリットがあり、資本市場の信頼性確保や投資家保護にもつながる」とのもっともな指摘がありました。
他の委員からは「仮に義務付けないならば企業の任意でレビューを受けるようにすべき」との意見もあったようです。
レビューを行う場合には、提出時期の遅れが生じる懸念についても議論が行われており、まだまだ結論には至らないようです。
四半期短信の虚偽記載に関するエンフォースメント
金融庁によると、第1・第3四半期のみを対象とした開示書類の虚偽記載は過去に1件のみとの報告がありました。
委員の多くは、業績予想の重要性を踏まえ「取引所の枠組みで十分ではないか」との声が上がっています。
半期報告書・中間監査の在り方
現行の第2四半期報告書の水準と変える必要はないのではないかとの意見が大半のようです。
中間監査については、国際的な整合性の観点から反対の意見が多く、現在求められている非上場企業の半期報告書も不要との大胆な意見もあったようです。
おわりに
「速報性」と「適正報告」は相反するものであり、速報性を求めると監査人のレビューの必要性は遠ざかり、適正報告を求めると、速報性を満たすことができなくなります。
この点、どちらを重視するかでしょうが、公認会計士としての意見としては、短信を発表してからでも監査人のレビューを行い、万が一虚偽記載があれば訂正報告書を提出するという観点で十分ではないでしょうか。第1・第3四半期の虚偽記載が過去に1件のみという現実を考えるとそれで「速報性」を「適正報告」の両方を満たせるのでないかと考えます。
どちらにしても、私が監査する非上場会社(会社法・学校法人・医療法人等)の監査には影響がないので、第三者の公認会計士としての意見ですが。
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以上
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