社外取締役の増加傾向は今後も!その権限・役割について解説!

はじめに

社外取締役とは、文字通り、社外から招いた取締役のことです。

取締役は、企業の業務執行に関する意思決定をする重要な役割を担いますが、社外取締役は社内で昇格した人材ではないため、社内の利害関係にとらわれずに任務を遂行することが可能です。

欧米では社外取締役の設置が当然のこととみなされ、取締役の半数以上を社外取締役が占めるとも言われています。日本でも、改正会社法の成立により、上場企業を中心に社外取締役の設置が増加傾向にあります。

l  社外取締役の権限・役割

(1) 社外取締役の職務

取締役会の権限事項(362Ⅱ、Ⅳ、363Ⅰ②)を、会議体である取締役会の一員として行うことです。

(2) 社外取締役の責任の種類

① 一般の取締役と同様、法的責任と経営責任がある。

② 法的責任は、会社に対する忠実義務・善管注意義務違反による損害賠償責任等、法的効果に基づくものである。

③ 経営責任は、経営の結果に対する責任であり、法的な効果を持たないものである。

(3) 社外取締役の経営責任

① 社外取締役も、取締役として経営責任を負う。

② 経営責任の取り方は、社外取締役の職務、期待される役割(経営のモニタリング等)に応じたものでなければならず、その責任の取り方には、退任、辞任、報酬の返上・減額等がある。

(4) 社外取締役の法的責任

取締役としての法的責任を負う。

会社に対する忠実義務・善管注意義務を果たすため、社外取締役は、下記の職務を行う。

① 取締役会の上程(付議)事項に関して

ア.審議の過程について

説明や資料に基づき、必要な調査と検討が行われているか、合理的な手続が行われているかという観点から審査を行う。

イ.決議の内容について

取締役会の決定が、その業界における通常の経営者の経営上の判断として著しく不合理でないかという基準から検討する。

② 取締役会の上程(付議)事項以外について

ア.取締役相互間で役割の分担がなされ、相応の内部統制システム、リスク管理体制に基づいて職務執行に対する監視が行われていれば、次のイ.の場合を除き、担当取締役の職務執行が適法であると信頼することが許容される。

イ.社外取締役は、特に他の取締役の職務執行が違法であることを疑わせるような特段の事情がある場合には、適切な措置(監査役への報告等)を採る必要がある。

③ 内部統制システムの構築、運用等について

ア.社外取締役は、就任後のなるべく早期に、会社法上の内部統制、リスク管理体制の構築、整備について、会社の状況、業界の水準に応じた合理性を有する内容となっているか点検しておくことが推奨される。

イ.財務報告に係る内部統制については、独立監査人の監査証明を受けた内部統制報告書において有効であるとされている場合には、その後に粉飾決算等の財務計算に関する特段の不祥事等が現実に発生していない限り、報告時点において有効に整備、運用されていると信頼してよい(社外取締役が、公認会計士である等会計についての専門性を有する場合にも同様。前記第1、3(3)を参照。)。

ウ.会社に損失を発生させる事態、粉飾決算、反社会的勢力との取引等の不祥事が現実に発生した場合又は財務報告に係る内部統制報告書において開示すべき重要な不備があるとされている場合には、社外取締役は、内部統制、リスク管理体制の見直しを行うプロセスの監督責任を有する。(日弁連、社外取締役ガイドライン)

 おわりに

社外取締役は、上記法的責任に記載のある通り、会社の内部統制システムの構築、運用について早期に点検することが求められています。

また内部統制システムが相応であれば、他の取締役の違法性を疑う状態にない限り、取締役の職務執行が適法であると信頼することが許容されています。

すなわち、内部統制システムや会社のリスク管理体制に対してある程度精通している人物が社外取締役としてふさわしいと言えるでしょう。

その意味では、公認会計士を社外取締役に選任することがベストな選択肢と言えるのではないでしょうか。

以上

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