2022年の会計監査人の交代も高水準!異動理由は監査報酬の見直しが3分の2!

東証①

はじめに

2022年の上半期(1月~6月)に会計監査人の交代を公表した上場企業は183社となっています。

当事務所は1月から7月末までに監査人の異動を行う旨を6月末までにIRにて公表した上場企業数及び異動理由を集計しました。

・2019年の会計監査人の交代は1年間で142社

・2020年の会計監査人の交代も1年間で142社

・2021年の会計監査人の交代は1年間で219社

・2022年の会計監査人の交代は約半年間で183社

2021年より監査人の交代が急増しています。2022年もおよそ半年間で183社となり、2021年より増加する勢いです。ただし、およそ半年間で183社となっていますが日本の上場企業の多くが3月決算であり、監査人の交代(異動)は6月末までに行うことから2021年より増加するでしょうが、250社前後になると予想しています。

1.事務所の規模別で見た監査人の異動状況

先ず、大手監査法人、準大手監査法人、中小規模監査事務所の定義は

・大手監査法人・・・あずさ、トーマツ、新日本、PwCあらた

・準大手監査法人・・・仰星、三優、太陽、東陽、PwC京都

・中小監査事務所・・・上記以外

以上が一般的な定義となっています。

183社の監査人の異動を事務所の規模別でみると多い順に

「大手」から「中小」へが82社(構成比44.8%)2021年構成比42.0%

「大手」から「準大手」が39社(構成比21.3%)2021年構成比17.8%

「中小」から「中小」へ31社(構成比16.9%)2021年構成比20.1%

大手監査法人から準大手監査法人・中小監査事務所への異動傾向が2021年同様目立っていますが、更にその傾向が顕著になっています。

2.交代(異動)理由別でみた監査人の異動状況

・監査報酬の見直し(監査継続期間が長期でかつ監査報酬が増加傾向または規模に見合った監査費用など)122社(構成比66.7%)

・新たな視点での監査を期待など(監査費用については触れていない)29社(構成比15.8%)

上記二つの異動理由で全体の82.5%を占めています。

その他の異動理由は、親会社と監査人を統一や不適正な会計を契機に、また監査人員の確保が困難なため辞任するという大手監査法人もあります。

具体例)

株式会社ザッパラス/東証スタンダード(3770)

IR公表日 :2022/06/17

異動年月日:2022/07/27

退任監査人: 有限責任あずさ監査法人

就任監査人: 太陽有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社の会計監査人である有限責任あずさ監査法人は、2022年7月27日開催予定の第23回定時株主総会終結の時をもって任期満了となります。当社は、同監査法人より監査業界を取り巻く環境が変化する中、監査品質を確保した監査業務を提供するに当たり人員確保が困難であるとして、任期満了をもって契約更新を差し控えたい旨の申し出を受けておりました。~後、略

おわりに

監査報酬の見直しによる会計監査人の交代(異動)は、公認会計士業界の人員不足の影響も大きいため、まだ数年は続くのではないでしょうか。

2022年の監査人の交代(異動)のトレンドは、2021年に続き「大手」から「中小」へとなっていますが、2022年の上半期においては中小監査法人から個人の公認会計士事務所の共同監査も2件見受けられました。

公認会計士法の改正により、上場会社の監査を行う監査事務所の登録については、公認会計士協会の自主規制による枠組みから法律の下で運用する枠組みに変更されました。

何が変わるのか詳細についてはよくわかりませんが、上場会社の監査の受け皿である監査法人は人員確保が困難となっているのが実情で、個人の公認会計士事務所事務所がその受け皿の一部をになってきている現状は、法律改正と現実とがかい離しているように思えます。個人の公認会計士事務所へもガバナンス・コードの適用や事務所の情報開示を求めるのでしょうか。上場会社の監査制度の理想と現実のギャップが大きくなっているように感じます。

最後に、監査報酬の見直しによる監査人の交代(異動)理由について非常にわかりやすいIRについてご紹介して今回のブログの締めとします。

株式会社ファーストステージ/TOKYO PRO Market(2985)

IR公表日 :2022/06/13

異動年月日:2022/07/01

退任監査人: 有限責任あずさ監査法人

就任監査人: 新月有限責任監査法人

異動理由:[任期満了]

当社は、当社の事業規模に適した監査対応や監査報酬の妥当性について検討した結果、新月有限責任監査法人が当社の求める条件に即した会計監査を行って頂けると判断致しました。このため会計監査人として必要とされる専門性、独立性、品質管理体制の観点から監査が適正に行われると評価したことに加え、当社の事業規模に適した新たな視点での監査が期待できることから、新たに新月有限責任監査法人と監査契約を締結することといたしました。

以上

横田公認会計士事務所は、非上場の会社法監査、医療法人の会計監査、学校法人の会計監査、労働組合の会計監査など上場会社を除く法定監査・任意監査に特化した監査事務所です。

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