会計監査人:公認会計士不足により中小監査法人も辞任!個人の公認会計士事務所へ変更のトレンドか!?
はじめに
ここ数年、会計監査人の異動が急増し、大手監査法人から中小監査法人への大きなトレンドが発生していますが、とうとう中小監査法人も人的資源に限界が来ているようです。
中小監査法人から中小監査法人への変更の割合も多くなってきていますが、
参考ブログ)会計監査人の異動!5月は109社!大手監査法人から準大手・中小への流れ加速!
中小監査法人の受け皿も限界が近づいているようです。
特に、不適切な会計処理など決算内容がグレーな会社において、新年度4月以降、すでに2社の上場会社が中小監査法人から個人の公認会計士事務所の共同監査へ会計監査人を変更する事例が発生してきました。
以下、該当する2社および会計監査人の異動内容などのIR情報をご紹介します。
1.株式会社オウケイウェイヴ/名証ネクスト(3808)の監査人の異動
IR公表日 :2022/05/23
異動年月日:2022/04/28
退任監査人: 南青山監査法人
就任監査人: 柴田洋、大瀧秀樹
異動理由:[一時会計監査人]
会社は、債権の取り立て不能の案件を公表し、債権の回収に向けた対応の検討を行っていましたが、
「監査法人から事実関係が不透明なことに加え、当該取引先からの情報提供が不足しており与信管理について不十分な現状においては、監査手続を続行することは困難であり監査契約を継続しない意向である旨が伝えられ、今後の監査対応等について協議しました結果、2022年4月28日付で同監査法人との監査及び四半期レビュー契約を合意解約することとなりました。当社はこれに伴い、会計監査人が不在となる事態を回避し、適正な監査業務が継続的に実施される体制を維持するため、新たな会計監査人の選定を進めてまいりました結果、2022年4月28日開催の監査役会において、公認会計士柴田洋および公認会計士大瀧秀樹を一次会計監査人に選任することを決議いたしました。
会計監査人の候補者とした理由は会計監査人に必要な専門性、独立性、適切性、品質管理体制、並びに監査報酬等を具備していることを確認し、必要となる会計監査に適すると判断したことによります。」
以上が会社のIRによる、会計監査人の異動理由です。
2.株式会社サカイホールディング ス/東証スタンダード(9446)
IR公表日 :2022/06/08
異動年月日:2022/06/08
退任監査人: 栄監査法人
就任監査人: 早稲田智大、堀江将仁
2社目の会社は、不適切な会計処理絡みの案件となります。以下、会社のIR情報の抜粋です。
「2022年3月31日に開示いたしました2022年9月期第1四半期並びに過年度の決算及び四半期決算の訂正にかかる会計監査、またその後の2022年9月期の第2四半期にかかる会計監査について、いずれも栄監査法人より無限定適正意見を付した監査報告書を受領しております。その後、同監査法人から、2022年9月期の第3四半期以降に係る監査業務体制等については、現時点の監査状況等を踏まえ監査品質の維持に必要な工数の確保が難しいとの打診を受け、同監査法人と誠実に協議し、その結果、本日付で監査契約を合意解約し、同監査法人が当社の会計監査人を辞任することについて合意いたしました。当社は、これに伴い、会計監査人が不在となる事態を回避し、適正な監査業務が継続的に実施される体制を維持するために、新たな会計監査人の選定を行い、本日開催の監査役会において、公認会計士早稲田智大氏及び公認会計士堀江将仁氏を一時会計監査人に選任することを決議いたしました。
当社の監査役会が会計監査人としての独立性及び専門性の有無、当社の業種や事業内容等総合的に勘案した結果、当社の会計監査が適正かつ妥当に行われることを確保する体制を備えており、適任と判断したためであります。」
おわりに
会計監査人の異動のトレンドは、
第一波:大手監査法人から準大手監査法人へ
第二派:大手監査法人・準大手監査法人から中小監査法人へ
第三派:中小監査法人から更に規模の小さな中小監査法人へ
第四派:中小監査法人から個人の公認会計士事務所の共同監査へ
現在の会計監査人の異動のトレンドは上記、第一波から第四派までが同時に発生しているようです。
東芝の不適切な会計問題の発生以降、上場会社の会計監査人は、個人の公認会計士事務所による共同監査は退任し、監査法人による会計監査へのトレンドがありましたが、現在は、大手・準大手監査法人、更には中小監査法人でも規模の大きい監査法人は、公認会計士不足の影響により新規の監査受嘱はもちろん、報酬の値上げに応じられないクライアントは容赦なく、契約解除するトレンドが日に日に強くなっているようです。
そして、不適切な会計処理等いわゆる「問題案件を抱えた上場会社」については、中小監査法人でさえも監査契約を解除し、個人の公認会計士事務所だけが最後の受け皿になっているといっても過言ではないでしょう。
それでは、これから先はどうなるか?更に、個人の公認会計士事務所による共同監査が増えるかどうかについては、金融庁が上場会社の監査事務所についての要件を厳しくする可能性があることから不透明と言わざるを得ません。
個人の公認会計士事務所が受け皿にならないと、会計監査人が不在となり、上場を維持することが困難な会社が頻発する可能性があり、今後の会計監査人の異動のトレンドについては、最終的には会社の規模に応じて、大手、準大手、中小監査法人、個人の公認会計士事務所が就任するという自然な流れになるのではないかと個人的には考えています。
以上
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